日本初の高度救命救急センターを有する日本医科大学付属病院。その活動を臨床、研究の両面から支えるのが救急医学教室です。優れた人材を育てることが1人でも多くの患者さんの生命を救うことにつながるとの信念のもと、科学的思考を持つ臨床家、すなわちScientific Clinicianの育成に取り組んでいます。
救命救急の現場には、今まさに生命の危機に瀕した患者さんが運ばれてきます。1人でも多くの患者様を救うべく、医学研究の歩みを止めることは許されません。1977年に日本で初めての救命救急センターとして認可され、1993年には日本第1号の「高度救命救急センター」として認定された高度救命救急センターのスタッフには、わが国の救急医療を先導してきた自負がある。「すべては患者さんのために」。臨床と医学研究に没頭し、自己研鑽を怠らない。こうした思いはなおのこと強いものがあります。
かつての救急医療では、とにかく目の前の患者様の生命を救うことのみに全力を尽くしていました。しかし現在では救命救急治療のその先の、QOLを意識した診療が、より重要と考えられます。すなわち、患者さんの予後を正しく予見し、その上で最適な治療の判断を下すことが重要になっています。世界でも類を見ない超高齢化社会になったわが国では今、こうしたアプローチはますます重要なものになってきました。救急というと一般的には臨床の最前線のイメージが強いと思われますが、研究の重要性が増してきているのもそのためです。臨床と研究を両輪とし、そのバランスのよさを重視したいと考えています。
現在、日本医科大学救急医学教室では蘇生後脳症、頭部外傷、敗血症、肺損傷等を重要なテーマとして研究に取り組んでいます。
医学の世界では臨床で起きたことがガイドラインとしてまとめられ、そこから課題を見いだして研究が進み、その成果を臨床にフィードバックすることで新しい知見が積み重ねられていきます。救急医学教室においても常にそうした、おわりのない取り組み、エンドレス・カスケードを意識しながら研究を行っています。
またAIの活用や再生医療の導入などのほか、他大学薬学部との連携による新規薬剤の開発にも取り組んでいます。
僻地医療を志して医療の道に進んだ私は、実際に僻地での実習に臨むことを通じて、救命救急の重要性について身をもって知りました。僻地においては何はともあれ目の前の患者様の命をつなぐことが最優先されます。その体験から最高の高度救命救急センターを備えた日本医大学付属病院に飛び込みました。その後は脳蘇生術の研究のために米国で学び、銃創の研究など、日本ではまず得られないであろう経験もしました。
こうしたキャリアを通じて、科学的な視点で先進の診療ができるScientific Clinicianこそ、救命救急医のあるべき姿だと知りました。当研究室においても、どんなに救命救急の現場で多忙に過ごそうとも、決して科学的な学びの姿勢を忘れないScientific Clinicianの育成を目指しています。救命救急の現場においては、無知であることは罪です。「知らなかった」で救えたはずの生命が救えなかったということのないよう、常に研究し続ける姿勢を大切にしていきたいと思います。
優れた救命救急人材を育成することは、そのまま患者さんの救命に直結します。そうした使命感のもと、指導・教育に取り組んでいきます。
日本医科大学附属病院 高度救命救急センター長
日本救急医学会 理事
日本救急医学会 専門医・指導医
日本脳神経外科学会 専門医・指導医
日本外傷学会 専門医・学術評議員
日本集中治療医学会 専門医
日本脳神経外傷学会 専門医 学術評議員
日本脳神経外科救急学会 評議委員
日本救急医学会関東地方会 幹事
日本頭部外傷データバンク 幹事
JPTEC 関東 世話人
日本脳神経モニタリング学会 幹事
JATEC・JPTEC・インストラクター
ADLS・BDLSインストラクター
国際協力機構 国際緊急援助隊医療チーム 講師
国際協力機構 Emergency Medical Team 検討委員会メンバー
1999年 | 群馬大学 医学部 卒業 |
2005年 | 日本医科大学大学院医学研究科 修了 |
1999年 | 日本医科大学付属病院 高度救命救急センター |
2000年 | 日本医科大学付属病院 麻酔科研修 |
2000年 | 日本医科大学 多摩永山病院 救命センター |
2000年 | 国立病院機構 東京災害医療センター 脳神経外科 |
2001年 | 日本医科大学 千葉北総病院 救命センター |
2001年 | 武蔵野赤十字病院 脳神経外科 |
2003年 | 日本医科大学付属病院 高度救命救急センター |
2005年 | 武蔵野赤十字病院 脳神経外科 |
2006年 | 日本医科大学付属病院 高度救命救急センター |
2010年 | 米国マイアミ大学医学部 脳神経外科 客員研究員 |
2013年 | 日本医科大学 講師 |
2018年 | 日本医科大学 救急医学教室 准教授 |
2020年 | 日本医科大学 大学院教授 |