眼窩底骨折(がんかていこっせつ)手術と後遺症と
眼窩底骨折のしくみ
『野球のボールが顔面に当たった』『喧嘩で殴られた』などのエピソードで受傷することが多い骨折です。眼窩とは、眼球がある顔面骨のくぼみですが、前頭骨・上顎骨・頬骨(きょうこつ:ほおぼね)・口蓋骨・蝶形骨(ちょうけいこつ)・涙骨・篩骨(しこつ)という7つの骨で構成されています。眼窩を構成する骨の中で下方と内方の壁は薄く、特に下方の壁は薄い構造です。眼球に急激な外力がかかると眼窩内での圧が高まり、構造的に薄い下方や内方の壁が骨折して圧を逃がします。このように骨折することで眼球破裂という最悪の事態を避けていると考えられています。
どんな症状が出るの?
主な症状としては頬~上口唇のシビレ、複視(物が二重に見える)、眼球運動障害(ある方向が見にくい)、眼球陥没(眼の落ち窪み)やなどが生じます。その他に腫れや皮下出血、眼痛や鼻血などがみられます。
手術は必要なの?
以下の基準に当てはまる場合、手術適応となることがあります。
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- 下直筋という眼球を動かく筋肉が骨折部位に挟まったり(絞扼)、引っかかっている場合
- 物が二重に見え、日常生活に支障が出る場合
- 眼球陥凹の左右差が2mm以上の場合
(※受傷早期には腫れなどでわからない場合もあります) - 視力障害や、小児の絞扼例では緊急手術が必要となることもあります。
どんな手術をするの?
手術は全身麻酔で行います。骨折箇所が眼窩底骨折のみであれば下まぶたや結膜から切開を行い骨折部にアプローチします。手術は基本的には、折れた骨を元に戻し、いずれ体に吸収されるプレートで固定します。また、自分の腰の部分の骨(自家骨移植)や、非吸収性の人工材料(シリコン、チタン材など)を骨折部に移植する場合もあります。
それ以外には、上顎洞という眼窩底の下にある空洞から風船を膨らませて骨片を挙上し、数週間留置しておく方法などがあります。
入院と術後について
手術の前日に入院し、食事制限など、手術前の準備を行います。
(※コロナの状況により、入院が数日早まる場合があります)
手術が終わり、数時間後からは飲水をはじめ、早い場合は術後半日で軽食から徐々に開始します。翌日に傷を確認し、手術後2~5日で退院となります。通常は、術後数日疼痛がありますが、痛み止めの飲み薬で我慢できる場合が多いです。退院してからは、飲酒と湯船につかるのは我慢していただきますが、シャワー浴は問題なく、手術後1週間で抜糸のため来院していただきます。抜糸までは、傷口は石けんで優しく洗って頂き、軟膏を塗ったガーゼをご自身であてていただきます。しびれがある方は、痺れの治療の飲み薬を内服したり、1~2カ月に一度、半年から1年の通院が必要です。
※顔面骨骨折全般に関しては下記リンクへ