「鼻、折れた?」鼻骨骨折と術後の注意
Q.鼻骨骨折の問題は?
A. 一番の問題点は「鼻が曲がって治ってしまうこと」です。
鼻は鼻骨という骨(赤色部)と鼻中隔(真ん中線)で屋根のように形つくられています。鼻骨はとても薄いのでちょっとした外力で骨折し、屋根の形が崩れてしまいます(下図)。この屋根の形を治すのが鼻骨骨折の治療ですが、受傷してから1週間以上たってしまうと骨がくっつき始めて、整復が難しくなってしまいます。
Q.症状は何があるの?
A. 多くの場合で折れた直後に鼻血がでます。
疼痛・腫脹・鼻閉に加えて、“く“の字型変形や凹みなどが生じます。また、軽度の外力で受傷した場合には鼻骨単独の骨折で命に別状はありませんが、大きな外力の場合では頭蓋骨骨折や出血の可能性があります。その場合、受傷前後の記憶障害などの症状があったり、さらさらとした鼻水のような脳髄液が鼻から垂れてきます。つまり、整容面を気にしない人でも、「鼻骨が折れるほどの外力を受けた」場合、病院でCT検査を受けた方が安心です。
Q.どうやって診断するの?
A.レントゲン、超音波やCT検査にて診断を行います。
CT検査によって骨折部位や偏位など、どのように折れているか判断できるため、手術を行うかの判断や正確な手術のために役立ちます。また、頭蓋内に外傷が及んでいる可能性があるため、強い外力が加わった場合はCT検査は行うべきです。
Q.治療はどうするの?
A.局所麻酔(鼻の部分麻酔)または全身麻酔下で整復をします。
以下にそのメリットとデメリットを記載します。
(小児の場合や不安が強い場合、全身麻酔で行います。)
Q.手術はどうするの?
A.鼻骨鉗子(下図)を用いて骨を挟み、持ち上げながら元の位置に戻します。
整復後は鼻の中にガーゼを詰める“内固定”と鼻の外からギプスを当てる“外固定”を行います。
Q.術後の注意点は?
A.下記の注意書きを守り、心配なことがあれば日中に来院ください。
・鼻のガーゼ(内固定)は3日から1週間ほど、入れっぱなしにします。
内固定がとれた場合には日中の外来で入れなおします(緊急で受診する必要はありません)。
・ゆっくりお風呂につかる事や飲酒は1週間控えましょう、シャワーは問題ありません。血流が良くなり、出血や疼痛の原因になります。
・シャワーや洗顔は外固定をはずして行うことが可能です。外した外固定は、テープなどで鼻部分に乗せて固定します。
・運動は外固定が終了してから再開しましょう。
・外力により再変形しやすいので、1か月はぶつけたりしないよう注意しましょう。
・鼻をかまないように気を付けましょう。骨折線が頭蓋骨との交通がある場合、空気が脳の近くまで入ってしまう場合があります。