頬骨骨折の症状、手術などについて
頬骨骨折って何?
頬骨は顔面骨を構成する骨の1つで、いわゆる「ほほぼね」ですが、「きょうこつ」と呼びます。この骨は比較的弱い構造をしており、外から受けた力を緩衝し、脳を守る役割があります。また、ぶつけやすい部分にあるため、頬骨骨折は顔面骨骨折の中で鼻骨骨折に次いで多い骨折であります。交通外傷や転落はもちろん、殴打や転倒などの比較的軽度の外傷でも生じることがあります。小児よりは成人に多く、高齢の方の転倒で骨折する場合が多く認められます。
どんな症状がでるの?
症状としては、「口の開きづらさ」、「頬と唇から歯にかけての痺れ」、「目の動きの異常や白目の出血」、「目の下や頬を押したときに痛みが出ること」などが特徴的です。見た目には頬が平坦化することがありますが、受傷直後は骨折部が腫れて分かりにくいことが多いです。
手術しなきゃいけないの?
骨折による頬骨のズレが大きく、口の開きづらさやしびれ、目の動きに異常がみられるような場合には、口の中、下まぶた、眉毛の近くを切開して骨折を整復します。この手術により頬骨の位置を戻すことで症状の改善が望める可能性がある場合には手術を行ないます。また、頬骨部分が平坦になるため、整容的な側面から手術を選択する場合があります。しかし、骨折によるズレが小さく上記のような症状がみられない場合には手術をしないこともあり、年齢や性別を考慮しながら個人に応じた治療方針を決めていきます。
どんな手術をするの?
骨折した骨の位置がズレた状態で長期間そのままにしていると、骨がその位置で固まってしまい、整復が難しくなってしまいます。そのため、通常、受傷後7~10日以内に全身麻酔下でプレートによる固定術行います。骨折箇所に応じて口の中や下まぶた、眉毛の外側から切開を行い、折れた頬骨の位置を専用の器具で元の位置に戻していきます。その後、骨の位置が正しく戻ったことを確認し、プレートで固定します。プレートはチタン製のものや吸収される材料があります。どちらを選ぶかは、骨折の状態や年齢などの条件を複合的に加味して判断を行います。チタン製のプレートは、長期に留置していても問題ないため、骨折が治癒したのちに取り出すことは必須ではありません。しかし、感染したり、本人の希望がある場合には、1年以上の間隔を置いて同じ切開腺からプレートを取り出す手術を行なう場合があります。吸収性のプレートにはそのような二期的手術は必要ありませんが、時間がたった時に吸収されきれずに腫れてくることがあり、その場合には切除を行うことが稀にあります。
入院と術後について
手術の前日に入院し、食事制限など、手術前の準備を行います。手術が終わり、数時間後からは飲水をはじめ、早い場合は術後半日で軽食から徐々に開始します。翌日に傷を確認し、早い場合には手術後2日で退院となります。口の開きづらさなどは、一時的に悪化することがありますが、徐々に軽快していきます。通常は、術後数日疼痛がありますが、痛み止めの飲み薬で我慢できる場合が多いです。退院してからは、飲酒と湯船につかるのは我慢していただきますが、シャワー浴は問題なく、手術後1週間で抜糸のため来院していただきます。抜糸までは、傷口は石けんで優しく洗って頂き、軟膏を塗ったガーゼをご自身であてていただきます。しびれがある方は、痺れの治療の飲み薬を内服したり、1~2カ月に一度、半年から1年の通院が必要です。