解析人体病理学

 診断病理学は病理学の要であると同時に、臨床診療に直接反映されるとても重要な臨床医学です。さらに、病理医にとっては、疾病の成り立ちを具体的に学ぶ実際の場でもあります。日々の病理診断の過程で多くの疑問点が生じますが、それらを研究テーマとして、研究することにより解決する醍醐味も持ち合わせています。病理診断を行いながら、病理診断と研究病理学を融合した研究を展開し、実際の臨床診療に役立つ研究も進めています。
 各診療科との臨床病理カンファランスを日常的に行っており、臨床側、病理側の診断、治療における問題点を議論し、臨床所見と病理所見の整合性を確認し、診断の質を高めています。剖検例に関しては、内科合同CPC、卒後教育と関連した研修医CPC、マクロ・ミクロ検討会が行われており、診断、直接死因、治療効果などの検証をおこなっています。学外の各分野の診断、病態の勉強会、講習会にも積極的に参加しており、病理・細胞診断の標準化、精度管理にも力を注いでいます。

活動性を有するIgA腎症

活動性を有するIgA腎症

腎生検の光顕診断はHE染色、PAS染色、Masson染色、PAM染色を用いておこないます。この症例は、光顕で管内増殖性病変を伴う壊死性・細胞性半月体形成性糸球体病変を形成しています。蛍光抗体法ではIgAとC3のメサンギウム領域への沈着を認めています。電顕では mesangial electron dense depositsを認めます。それらの所見を総合し、活動性の高いIgA腎症と診断します。腎生検の病理診断は、光顕、電顕、蛍光抗体法の所見を総合しておこなっています。