当院のドクターカーについて
ドクターカーについて
救命救急センターの最も大事な使命は、重症患者さんを救命することです。その救命の鍵の一つが時間です。重症患者さんへの治療を早期に行うために、日本医科大学多摩永山病院救命救急センターの行なっている取り組みの一つにドクターカー があります。ドクターカー で救急患者の発生した現場へ、病院から専用の車両で駆けつけることができれば、いち早く治療を開始することができます。当院で行っているドクターカー方式は医師、看護師などの医療従事者を緊急走行で現場へ駆けつけるもので、その後の患者搬送は、消防の救急車で行います。このようなドクターカー は、ラピッドカーという言い方をされます。2021年4月より、日本財団からの寄付により3代目の新型車両となりました。
【当院のドクターカー】
出動体制
救急科専門医、看護師、救急救命士による24時間365日出動体制です。
(現在は新型コロナウイルス感染症の影響により、出動時間を短縮しております。)
連携組織および出動キーワード
出動についての提携関係があるのは東京消防庁、稲城市消防本部、相模原市消防局です。これらの消防機関との提携に基づき、病院からおおむね10キロの範囲で出動します。消防機関からの依頼の基準については、通報時の内容から重症であることが想定される用語をキーワードとし、このキーワードが含まれる場合に出動依頼があるように提携をしています。この方法での出動方式は「キーワード方式」と呼ばれます。このキーワードについては、東京都内でドクターカー を運行している他の医療機関との間で、東京ドクターカー 協議会を設立し、東京都内において同一の基準で運行できるように東京消防庁と提携をしました。
同一の基準によるキーワードが設定されたことが功を奏し、消防庁側の認知度の向上とともに2016年以降は要請件数が増加傾向となりました。(2020年以降、新型コロナウイルス感染症の影響により活動時間の短縮等のため、出動件数に制限があります。)
【出動件数】(データは2023年12月まで)
東京ドクターカー協議会について
2014年1月時点で都内においてドクターカーを運行していた当院のほか、日本医科大学付属病院、東京医科歯科大学病院、国立病院機構災害医療センターの4病院で消防との連携向上を目指し、活動要請基準を統一するために協議会を結成しました。
2020年6月には更に済生会中央病院、都立広尾病院、日本赤十字社医療センター、武蔵野赤十字病院、多摩総合医療センターの5病院が参加し、より一層の連携を図るよう情報共有等適宜行っています。
【東京ドクターカー協議会施設】
対象疾患
ドクターカーの取り扱う主な対象症例は、蘇生処置の必要な心肺停止、重篤な意識障害、呼吸・循環不全、重症外傷、急性期脳卒中、急性心筋梗塞、重症心不全など救命救急センターへの搬送が必要と考えられる症例です。
重症患者さんを想定して出動しておりますが、現状では出動した全てが重症疾患ではありません。そのため、一旦われわれが関わった後に他の医療機関への搬送をお願いしたり、あるいは当院への搬送でも、救命救急科以外の先生方に診療をお願いすることもあります。重症疾患への早期診療開始による救命率の向上を目指して行っておりますが、今後はキーワードの精度を高め、より重症患者さんの発生症例に重点を置いた出動ができるか、そしてそれによって、いかに早く重症患者さんへの診療を開始することができるようになるかが課題となります。
【受傷機転】(データは2023年1月以降)
【現場到着時の状況】(データは2023年1月以降)
【疾患別】(データは2023年1月以降)
【搬送先】(データは2023年1月以降)
特徴
出動の連絡を受けて、約3分で出動、約10分で現場到着しています。患者さんご自宅や交通事故現場から診察が始まることがあります。ときに救急車が到着する前に到着することもあります。コロナ禍の現在は個人防護衣装着後の出動のため出動時間の遅れが危惧されましたが、活動時間全体への影響は少ないと思われます。
【活動時間】
教育と事後検証
出動後すぐにデブリーフィングし、改善点を探ります。その内容をもとに事後検証を行います。一方で活動記録表からも事後検証を行います。ここで出た課題からシミュレーション教育し、フィードバックしていきます。
動画通信
ドクターカー出動症例に対して病院で必要な処置を早期に整えるために、現場の状況を動画でモニタリングしております。また、この動画はドクターカー活動の院内の事後検証や、スタッフ教育にも用いられます。
費用
救急現場や救急車内等で行った医療行為については、医療費の一部が患者さんのご負担となります。ご了承ください。
当院近隣にお住まいの方々へ
急病(外傷)の患者さんに一刻も早く専門的治療を届け、救命し、後遺症を軽減するために、当救命救急センターのドクターカー 事業にご理解をいただけますようお願い申し上げます。