内科学(血液内科学)
内科学(血液内科学)/血液内科学 山口 博樹 大学院教授 |
当血液内科は造血器悪性腫瘍、各種貧血症、出血性疾患などすべての血液疾患を対象として最先端の専門的な治療を行っています。単に病気を治すだけでなく、患者さんの了解のもとに(インフォームド・コンセント)治療方針を決めています。病名の告知、検査の方法および結果、そして治療法の選択等に関してはすべて患者さんおよびご家族に正確に分かりやすくお話し、ご了解後に日本血液学会指導医および専門医の資格を持つスタッフのもとに複数の医師、血液疾患の治療に豊富な経験を持つ看護師、その他のコ・メディカル・スタッフとともにチーム医療を行っています。また当血液内科は大学における病院としての使命があり、次世代の医療を担う医学生および若手医師の教育にも力を注いだ医療を行っています。さらに当科では、臨床能力を磨くことだけではなく、すぐれた研究者育成も重要な目標で、後期臨床研修と同時に専門領域での研究も開始し、高度で先端的な研究活動を行い、優れた研究者、指導者育成を行っています。
数十年前には不治の病であった急性白血病、慢性白血病そして悪性リンパ腫などは治癒できる病気となりました。これには、病気の原因である遺伝子異常を同定する基礎的な研究の進歩に加え、かなりの症例数を基にした臨床治療研究がなされ、はっきりとしたエビデンスとして治療の有効性が論じられるようになったからです。われわれ日本医科大学血液内科医師はこの原因遺伝子を素早く解析追求し分子標的治療の世界の流れに先んじて最先端医療を心がけています。白血病、悪性リンパ腫の造血幹細胞移植も他施設と同等の成績を残し、骨髄移植に加えて末梢血幹細胞移植、臍帯血移植も進んで治療に取り入れています。
治癒が望めなかった慢性骨髄性白血病へのチロシンキナーゼ阻害剤による治療は10年前から比較するとランドマーク的に変化しています。当血液内科でも治癒となる患者さんも見られるようになりました。この分子標的薬幕開けの時代に当血液内科は臨床研究を含めて治療に取り組んでいます。
今後の研究の益々の発展と患者さんの苦悩を少しでも和らぐような医療の発展に先んじて尽力をしていきます。