人体で最大の臓器である皮膚および可視粘膜を研究対象とする。湿疹をはじめ、感染症、アレルギー・免疫疾患、皮膚腫瘍、代謝性疾患、全身疾患に関連する皮膚症状について総合的に学ぶ、また、近年、美容・整容面に配慮した治療法の開発、研究が社会的に要請されている。我々の講座は、美容皮膚科学を基礎的に研究する数少ない研究機関の1つである。以下に主たる研究分野を示す。

1. アトピー性皮膚炎の病態及び治療に関する研究

アトピー性皮膚炎の病態に関して、各種サイトカイン、ケモカインなどの関与の検討や遺伝学的解析を行っている。また、アトピー性皮膚炎に対する生物学的製剤などの治療に関する臨床研究を行っている。

2.乾癬の病態および治療に関する研究

乾癬の病態に関して、各種サイトカイン、ケモカインなどの関与の検討や遺伝学的解析を行っている。また、乾癬に対する生物学的製剤などの治療に関する臨床研究を行っている。

3.アレルギー・免疫学分野、慢性皮膚疾患患者の栄養調査

乾癬、アトピー性皮膚炎、掌蹠膿疱症、慢性特発性蕁麻疹などの慢性炎症性皮膚疾患の患者の食習慣を調査し、疾患の発症や重症化に関わる栄養素・食品を解明する。

4.美容皮膚科学分野

光老化皮膚(しみ、しわ)、座瘡(ニキビ)、母斑(アザ、ホクロ)、脱毛症、病態解明および新たな治療法の開発、現在、新たな外用療法、レーザー光療法、photodynamic therapy、chemical peelingについて研究中である。

5.腫瘍学

①細胞極性とがん
がん組織では、正常組織でみられる極性が破綻しているのが観察される。aPKC-PAR複合体は種を超えて細胞極性を制御している。 がん化するとなぜ極性が乱れるのか?aPKC-PAR複合体に着目して解析する。

②有棘細胞がん(SCC)の腫瘍内不均一性
最近がんの中に不均一性があることがわかってきたが、培養細胞を用いた研究ではこの問題にアプローチできない。2次元の培養SCC細胞から3次元のSCCができる時に、どのような遺伝子の発現の変化がみられるのかをシングルセル・レベルで解析し、SCC内に不均一性が生じるメカニズムを明らかにする。

6.皮膚病理学

主に、皮膚付属器腫瘍や、有棘細胞癌、基底細胞癌などの上皮性悪性腫瘍の臨床病理学的研究をおこなっている。