ホーム>病院のご案内>病院情報の公表>令和4年度日本医科大学武蔵小杉病院 病院指標

病院情報の公表

令和4年度日本医科大学武蔵小杉病院 病院指標

年齢階級別退院患者数

年齢区分 0~ 10~ 20~ 30~ 40~ 50~ 60~ 70~ 80~ 90~
患者数 1966 266 530 875 893 1141 1237 1799 1379 352
令和4年度の全退院患者数は10,438人でした。幅広い年齢層の患者さんが入院されてますが、最も多い年齢層は70~79歳で令和4年は1,799人でした。少子高齢化の時代と言われており、60歳以上の患者さんの割合は、45.7%となっています。NICU,GCUを有する当院は小児医療も充実しており、0~9歳の患者さんも18.8%を占めます。

診断群分類別患者数等(診療科別患者数上位5位まで)

小児科

DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
080270xxxx1xxx 食物アレルギー 小児食物アレルギー負荷検査 192 1.37 2.09 0.00 3.75
040100xxxxx00x 喘息 処置2なし 副傷病なし 102 6.04 6.05 0.00 3.04
180030xxxxxx0x その他の感染症(真菌を除く) 副傷病なし 76 6.07 9.48 0.00 1.64
040090xxxxxxxx 急性気管支炎、急性細気管支炎、下気道感染症(その他) 70 5.94 5.89 0.00 1.27
060380xxxxx0xx ウイルス性腸炎 処置2なし 44 4.86 5.70 0.00 4.50

日本医科大学武蔵小杉病院周産期•小児医療センターは、新病院では小児病棟を30床、新生児集中治療室・回復室(NICU,GCU)を21床に増床し、これまで同様に産科、新生児科、小児科、小児外科、心臓血管外科が協力して安心、安全な医療を提供して参ります。小児科は急な発熱、下痢、嘔吐、喘息発作、痙攣など急な疾患に対応する一般外来に加え、全ての臓器の診療を行うため専門の医師による特殊外来を設けて臓器別・疾患別に診療を行っております。
多く入院された疾患としては、気管支炎・肺炎 (RSウイルス感染も含む)などの呼吸器感染、 下痢・嘔吐・脱水などの胃腸炎、食物アレルギー負荷試験、 気管支喘息などのアレルギー疾患、川崎病、先天性心疾患などの循環器疾患、尿路感染症、血尿・蛋白尿などの腎・泌尿器疾患、低身長、甲状腺機能亢進症、糖尿病などの内分泌疾患など多種多様な疾患の患者さんが入院されています。
救急医療に関しましては、中部小児急病センターを365日行い一次救急の患者様を受け入れております。
急に発症されお困りのお子さんはご利用ください。 事前の予約は不要です。
また、救急車を中心とした二次救急患者は川崎市の二次輪番制度に沿って行っております。その他、保健所への医師の派遣、児童の結核検診・BCG接種後のコッホ現象対応、小児喘息事業への協力など地域保健事業に積極的に参画しております。さらに、川崎市学校児童生徒の心臓病、腎疾患、 糖尿病検診にも一次検診から三次検診まで協力し疾病の早期発見に努力しております。
このように、日本医科大学武蔵小杉病院は周産期・小児医療センターとして川崎市の小児医療において地域の中核病院としてその役割を果たしております。

整形外科

DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
160800xx01xxxx 股関節・大腿近位の骨折 人工関節置換術等 37 41.38 26.42 56.76 81.16
160760xx97xx0x 前腕の骨折 手術あり 副傷病なし 18 7.72 4.86 0.00 57.28
160700xx97xx0x 鎖骨・肩甲骨の骨折 手術あり 副傷病なし 16 7.31 5.37 0.00 46.94
07040xxx01xxxx 股関節骨頭壊死、股関節症(変形性を含む) 人工関節置換術等 15 26.27 20.14 6.67 67.40
160720xx01xxxx 肩関節周辺の骨折・脱臼 人工関節置換術等 15 14.13 14.17 6.67 71.00

当科で治療する患者は、頻度の高い外傷(大腿骨近位部骨折、橈骨遠端骨折、脊椎圧迫骨折 等)の急性期が中心です。手術適応のある患者に対しては、術後のリハビリの早期介入を行い、機能障害を最小にし、日常生活動作の低下を来さぬように努めています。

形成外科

DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
080007xx010xxx 皮膚の良性新生物 皮膚、皮下腫瘍摘出術等 処置1なし 36 4.03 3.94 0.00 46.56
080220xx97xxxx エクリン汗腺の障害、アポクリン汗腺の障害 手術あり 33 4.70 6.21 0.00 28.64
070570xx972xxx 瘢痕拘縮 その他手術あり 遊離皮弁術(顕微鏡下血管柄付きのもの) その他の場合等 26 6.96 7.60 0.00 45.31
070010xx970xxx 骨軟部の良性腫瘍(脊椎脊髄を除く) その他手術あり 処置1なし 24 3.88 4.50 0.00 44.08
160200xx02000x 顔面損傷(口腔、咽頭損傷を含む) 内視鏡下鼻中隔手術I型(骨、軟骨手術)等 処置1なし 処置2なし 副傷病なし 17 3.88 4.72 0.00 37.41

形成外科では、元々の得意分野である「ケロイド・肥厚性瘢痕」「皮膚がん」「乳房再建」「皮膚・軟部腫瘍」「あざのレーザー治療」「先天性耳変形」「多合指症」「下腿潰瘍」に加えて、近年では「腋臭症」「顔面神経麻痺」「リンパ浮腫」の患者さんが増えてまいりました。常勤総勢11名、非常勤3名の診療体制で、それぞれが特化した専門分野を持ち、広い疾患に対応しております。

脳神経外科

DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
100260xx9710xx 下垂体機能亢進症 手術あり 下垂体前葉負荷試験 処置2なし 24 14.96 15.61 4.17 52.00
010060x2990401 脳梗塞 3日以内かつJCS10未満 手術なし 処置1なし エダラボン 副傷病なし RankinScale0~2等 11 14.09 15.97 18.18 75.55
010050xx02x00x 非外傷性硬膜下血腫 慢性硬膜下血腫穿孔洗浄術等 処置2なし 副傷病なし 7 16.57 11.85 14.29 71.86
100250xx97xxxx 下垂体機能低下症 手術あり 7 14.14 17.51 0.00 67.71
100250xx99x20x 下垂体機能低下症 手術なし 内分泌負荷試験 下垂体前葉負荷試験を2種類以上 副傷病なし 6 3.00 4.43 0.00 45.83

下垂体腫瘍、頭蓋底腫瘍に対する内視鏡下経鼻的手術                                                                                                                当科の特徴として、体に負担の少ない低侵襲手術を積極的に行なっております。その中でも下垂体腫瘍に対する内視鏡下経鼻的手術に特に力を入れております。部長の田原はこの領域のスペシャリストであり、個人としての手術数は約2000例と本邦最多の件数を誇ります。また、下垂体腫瘍以外にも髄膜腫、頭蓋咽頭腫、脊索腫などの高難度頭蓋底腫瘍に対しても、内視鏡を用いた経鼻的手術を積極的に行っております。さらに、術後薬物治療やホルモン補充療法が必要な患者さんについても、当科で検査を行い、継続的な治療を行なっています。                                                                                                                     脳動脈瘤 (未破裂)
未破裂脳動脈瘤は、近年脳ドックや頭痛などの症状で頭部MRI検査を受ける方が増えたことにより、みつかる場合が増えてきています。脳動脈瘤が破裂すると多くはくも膜下出血になるので、診断された方は、精神的なストレスとなることも多いと考えられます。日本脳卒中学会のガイドラインでは、一般に直径5mm以上の動脈瘤は破裂のリスクがあることより、手術の適応とされています。ただし、大部分を占める直径10mm 未満の脳動脈瘤の破裂率は年間1%以下ですので、治療を急ぐ必要はありません。患者さんには十分にご理解を頂けるように数回に分けて説明しております。外科的治療には、従来から行われている開頭によるクリッピング手術と近年増加している血管内手術(コイリング)があります。当院では、脳卒中の外科学会専門医と血管内治療学会専門医が中心となり、脳神経外科全体で協議し、それぞれの患者の方の状態に合わせた、安全で確実性の高い方法で治療ができるよう診療を行っています。手術治療に際しては、各種神経モニタリング、術中蛍光動脈造影などを用いて、安全性の高い医療を心掛けています。                                                                                                                                       慢性硬膜下血腫
慢性硬膜下血腫は、高齢者に多い疾患です。転倒や軽微な頭部外傷後、1-3か月で脳の表面と頭蓋骨の隙間に血腫が貯まってきます。症状としては、運動麻痺やふらつき、歩行障害、頭痛、認知症などが見られやすいものです。この血腫は脳内には貯留しないので、適切な時期に治療を行えれば、後遺症なく治ることが期待できます。血腫が少ない時は、漢方薬を中心とした内服薬で治すことも可能ですが、症状が出るほどの大きさの血腫では外科治療が必要です。外科治療では、局所麻酔で約30分強の穿頭血腫洗浄術を行います。通常は、ご高齢の方でも安全に手術が受けられます。約10%に再発が起こりますが、再発を繰り返す場合には、神経内視 鏡手術や血管内手術の併用で対応します。                                                                                                                          水頭症                                                                                                                                          
水頭症は脳室に脳脊髄液が余分に溜まることにより、症状を呈する疾患です。認知症や歩行障害、尿失禁などが症状ですが、これらはシャント手術という脳脊髄液を抜く患者さんの負担が比較的軽い手技で治療が可能です。水頭症の診断には画像検査が大切ですが、こういった症状で内科などで治療されている患者さんの中に水頭症が隠れていることが少なからずあり、かかりつけの先生とご相談いただき、脳神経外科への受診をお勧めしたいと考えます。シャント手術の効果が期待できるかどうかの画像上の特徴やタップテストなどの結果で判断して、治せる認知症 の治療に取り組んでいます。                                                                                                                                                                     二分脊椎・脊髄脂肪腫                                                                                                                                         当院は周産期・小児医療センターを有し、積極的な小児の外来・入院診療が行われています。我々も同様に、小児脳神経外科治療の専門医により、意欲的に小さなお子さんの治療を行なっております。その中でも、お尻のくぼみやあざなどから発見される潜在性二分脊椎の治療には特に力を入れており、この分野でも内視鏡を用い、わずか1cmの皮膚切開での低侵襲な手術を行なっています。 

呼吸器外科

DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
040040xx97x00x 肺の悪性腫瘍 その他手術あり 処置2なし 副傷病なし 31 7.10 10.06 0.00 68.32
040200xx01x00x 気胸 胸腔鏡下肺切除術等 処置2なし 副傷病なし 31 8.23 9.68 0.00 28.26
040200xx99x00x 気胸 手術なし 処置2なし 副傷病なし 13 5.23 9.24 0.00 37.00
040020xx97xxxx 縦隔の良性腫瘍 手術あり 7 5.00 7.84 0.00 47.14
040200xx01x01x 気胸 胸腔鏡下肺切除術等 処置2なし 肺炎等 2 21.50 21.63 0.00 74.50

当科では原発性肺癌、転移性肺腫瘍、縦隔腫瘍、自然気胸など、外科的治療の必要とする胸部・呼吸器系疾患を対象に診察・治療を行っております。
 2022年の呼吸器外科手術実績は67件、その内訳は肺悪性腫瘍25件(原発性肺癌29件、転移性肺腫瘍6件)、気胸28件、縦隔・胸壁腫瘍7件、良性腫瘍3件、その他4件でした。
方針として肺癌を含めたほぼ全例に胸腔鏡を併用した低侵襲手術を施行しており、治療成績の向上と生活の質(Quality of Life)重視の両立を図っています。
特に肺癌症例においては、外科、内科、放射線科、病理部の連携が重要であり、当院では定期的に肺癌症例検討会を行うことにより、迅速かつ適切な診断・治療方針を決定、遂行しております。
また、近年肺癌症例の高齢化に伴い肺気腫・閉塞性肺疾患(COPD)や間質性肺炎(IP)などの呼吸器疾患を合併する手術症例が増加しております。このようなHigh Risk症例において、呼吸器内科及び麻酔科と連携し、術前、術中・術後を通してのきめ細かな管理と、胸腔鏡手術(VATS)による低侵襲治療を徹底し、合併症リスクの低減に努めています。
この結果、2022年当科における肺癌手術症例の術後平均在院日数は3.4日であり、術前も含めて1週間以内の入院治療が可能です(糖尿病や抗凝固療法中など術前コントロールの必要な症例は除きます)。
10~20代の若年者層が大半を占める自然気胸の手術治療(胸腔鏡下肺部分切除術)においては、術後平均在院日数は2.5日であり、退院後早期の仕事・学業への復帰を可能としています。
縦隔腫瘍に対しても当科では積極的に胸腔鏡手術を行っており、この結果、縦隔腫瘍における術後平均在院日数は2.0日と極めて短期間での退院が可能となりました。
また入院治療においては肺癌、縦隔腫瘍、転移性肺腫瘍、気胸などに対応した疾患別クリニカルパスを導入しており、看護師、薬剤師などのスタッフと連携した治療を心掛け、納得のいく医療、最善の医療を提供できるようスタッフ一同努めております(当科クリニカルパスは病院ホームページにて閲覧可能です)。

心臓血管外科

DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
050180xx02xxxx 静脈・リンパ管疾患 下肢静脈瘤血管内焼灼術等 23 3.91 2.66 0.00 66.74
050163xx02x1xx 非破裂性大動脈瘤、腸骨動脈瘤 大動脈瘤切除術 腹部大動脈等 中心静脈注射等 9 21.33 19.15 0.00 80.56
050080xx0101xx 弁膜症(連合弁膜症を含む) 弁置換術等 処置1なし 中心静脈注射等 8 23.75 21.78 0.00 68.50
050163xx01x1xx 非破裂性大動脈瘤、腸骨動脈瘤 大動脈瘤切除術 腹部大動脈以外等 中心静脈注射等 8 22.88 28.13 0.00 74.13
050161xx9901xx 大動脈解離 手術なし 処置1なし 中心静脈注射等 7 17.71 20.90 0.00 77.14

当院では主に成人心臓・大血管手術さらに末梢血管疾患に対する治療を行っています。心臓手術では冠動脈バイパス術を中心とし、患者さんの御体に負担が少ない低侵襲治療を心がけています。大動脈瘤手術は大動脈瘤の位置や形態だけでなく、患者さんの年齢や社会的背景を考慮した治療方法の選択を行い良好な成績が得られています。下肢静脈瘤に対する治療としてレーザーを使用し、入院日数を要さず短期間での治療が可能となっています。本治療の唯一の合併症とし神経障害がありますが、当院では術前後で神経機能をチェックするなど、神経障害を予防する取り組みを行っています。

小児外科

DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
060160x101xxxx 鼠径ヘルニア 15歳未満 鼠径ヘルニア手術等 68 3.07 2.78 0.00 3.25
140590xx97xxxx 停留精巣 手術あり 60 3.00 3.00 0.00 3.20
060170xx02xx0x 閉塞、壊疽のない腹腔のヘルニア ヘルニア手術等 副傷病なし 47 3.00 7.05 0.00 2.53
11022xxx01xxxx 男性生殖器疾患 鼠径ヘルニア手術等 33 3.00 3.73 0.00 3.76
140430xx97x0xx 腸管の先天異常 手術あり 処置2なし 8 10.63 12.67 0.00 3.50

当科で最も症例数が多いのは、鼠径(そけい)ヘルニア(脱腸)の手術患者さんです。1年間で68人の患者さんが入院しています。次いで停留精巣が60人、臍ヘルニアが47人、陰嚢水腫や精索捻転などの男性生殖器疾患が33人となっています。小児外科のよく見られる一般的な手術についてはほとんど2泊3日の入院でクリニカルパスを使用し、手術を行っています。5番目に多い疾患は腸管の先天異常で、新生児期の小腸閉鎖や十二指腸閉鎖、また乳幼児期のメッケル憩室や重複腸管が8人となっています。

女性診療科・産科

DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
120180xx01xxxx 胎児及び胎児付属物の異常 帝王切開術等 95 8.97 9.38 0.00 35.04
120140xxxxxxxx 流産 53 1.58 2.45 0.00 34.30
120220xx02xxxx 女性性器のポリープ 子宮内膜掻爬術 52 1.04 2.23 0.00 40.06
120260x001xxxx 分娩の異常 帝王切開術等 出血量2000mL未満 49 9.94 9.37 0.00 35.27
120170x199xxxx 早産、切迫早産 34週未満 手術なし 46 22.15 20.78 2.17 34.43

当院ではNICUを拡張した事もあり、母体合併症を有する妊婦の搬送も可能な限り受け入れております。双胎妊娠、高齢妊娠も多く、多数の早産、切迫早産、その他の異常妊娠の管理を行っております。また、放射線科の協力もあり産科危機的出血等に対しても可能な限り対処しております。婦人科領域では、種々の良性腫瘍・類腫瘍疾患を治療し、早期退院を目指しております。また、子宮筋腫、子宮内膜症にに対しての薬物療法、低侵襲手術療法に関しても豊富な経験を有しております。

眼科

DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
020160xx97xxx0 網膜剥離 手術あり 片眼 46 3.72 8.05 0.00 52.28
020200xx9710xx 黄斑、後極変性 手術あり 水晶体再建術等 処置2なし 39 2.41 5.80 0.00 65.95
020110xx97xxx1 白内障、水晶体の疾患 手術あり 両眼 36 2.78 4.67 0.00 77.03
020110xx97xxx0 白内障、水晶体の疾患 手術あり 片眼 35 2.43 2.63 0.00 70.46
020200xx9700xx 黄斑、後極変性 手術あり 処置1なし 処置2なし 11 2.18 5.80 0.00 73.09

当科入院では、内眼手術として白内障手術と硝子体手術、外眼手術として眼瞼下垂の手術をメインに施行しています。これらの手術は実績も多く、多数の紹介患者様が来院されています。

耳鼻咽喉科

DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
030350xxxxxxxx 慢性副鼻腔炎 101 6.37 6.23 0.00 48.70
030230xxxxxxxx 扁桃、アデノイドの慢性疾患 34 9.35 7.73 0.00 21.32
030250xx991xxx 睡眠時無呼吸 手術なし 終夜睡眠ポリグラフィー(1及び2以外) 21 2.00 2.03 0.00 52.90
030340xxxxxxxx 血管運動性鼻炎、アレルギー性鼻炎<鼻アレルギー> 19 6.42 5.40 0.00 39.79
030150xx97xxxx 耳・鼻・口腔・咽頭・大唾液腺の腫瘍 手術あり 15 7.80 6.81 6.67 53.13
*扁桃アデノイドの慢性疾患

成人の繰り返す扁桃炎は、増悪時に発熱や咽頭痛でつらいのみでなく、仕事や学校を休まないといけないなど患者さんの生活の質(QOL)を大きく損ない、このような場合は口蓋扁桃摘出術をお勧めします。また、小児のいびき・無呼吸は、成長に悪影響を及ぼし、寝起きの悪さやイライラなどを引き起こすこともあります。小児の場合、その原因がアデノイドや扁桃の肥大にあることも多く、その場合はアデノイド切除術、口蓋扁桃摘出術により症状の改善が期待できます。早期発見が大切ですので、お子様のいびき・無呼吸にお気づきの場合は一度ご受診をお勧めいたします。


*慢性副鼻腔炎
慢性副鼻腔炎は古くは蓄膿症と言われていた疾患です。最近では平成27年7月に難病に指定された成人型喘息に合併する難治性の副鼻腔炎である『好酸球性副鼻腔炎』が増加しております。当院では厚生労働省の研究班の報告に基づいた正確な診断と、患者さんの症状、生活背景も考慮した治療を心がけております。 アレルギー性鼻炎(血管運動性鼻炎も含む) には、埃やダニによる通年性のものと、スギやヒノキなどの花粉による季節性のものがあります。また、季節の変わり目、ストレスなどによる自律神経の失調等が関連した類似鼻炎もあります。これらは風邪ではありません。副鼻腔炎との鑑別も重要で、当科では従来の薬物治療や手術に加えて、保険診療として新しい免疫療法(減感作療法)にも力を入れております。どうぞご相談ください。


*突発性難聴
急激に発症する難聴で、明らかな誘因がなく、聞こえのセンサーである内耳に原因があると考えられるものを突発性難聴と言います。加療により改善する症例は66%程度と言われており、発症から2週間以上経過すると改善率が低下しますので、早期の受診をお勧めします。当院では保険診療上認められた標準的な治療を行っております。外来または入院での加療となりますが、糖尿病などの合併症がある場合は2週間程度の入院加療を要します。

*慢性中耳炎・真珠腫性中耳炎
慢性中耳炎は鼓膜に穴が開いた状態で、難聴や耳漏れ、めまいを生じる原因となります。鼓膜の穴を閉鎖することで、これらの症状を改善することができます。真珠腫性中耳炎は鼓膜の一部が凹みそこに垢が溜まることで、周囲の骨を壊してしまう病気です。このような状態になると、音を伝える耳小骨が破壊され難聴が生じるだけでなく、感染により耳漏れ、耳出血をきたしたり、進行すればめまいや、顔面神経麻痺、髄膜炎を生じることもあります。真珠腫性中耳炎の場合、難聴が軽度でも手術を要する可能性がありますので、耳漏れや耳出血がある場合には早期の受診をお勧めいたします。

*耳下腺、顎下腺(唾液を産生する大唾液腺)の手術も実施しています。唾石という「石」ができて腫れていたり、腫瘍として腫れていたりすることがあるので、耳の下・顎の下の腫れの自覚がある方はご相談下さい。

脳神経内科

DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
040081xx99x0xx 誤嚥性肺炎 手術なし 処置2なし 6 20.00 21.11 50.00 88.67
010160xx99x00x パーキンソン病 手術なし 処置2なし 副傷病なし 6 13.83 18.58 33.33 73.83
010080xx99x0x1 脳脊髄の感染を伴う炎症 手術なし 処置2なし 年齢15歳以上 5 14.40 16.85 20.00 26.00
010060x2990001 脳梗塞 3日以内かつJCS10未満 手術なし 処置1なし 処置2なし 副傷病なし RankinScale0~2等 4 21.25 6.30 25.00 77.50
161020xxxxx00x 体温異常 処置2なし 副傷病なし 3 4.67 6.70 0.00 87.00
本学脳神経内科は伝統的に脳血管障害の診療・研究で知られており,当院においても急性期治療はもとより,精査が必要な特殊な脳梗塞の評価・治療方針決定などに注力しています.
 近年治療が飛躍的に進歩している多発性硬化症,重症筋無力症などの神経免疫疾患では,最先端のすべての治療法を実施可能です.
 パーキンソン病などの神経難病においては,地元の訪問診療医と強い連携体制を構築し,緊急時の万全な受け入れ態勢ができるよう準備しています.
 また,川崎市の認知症疾患医療センターとして,どんな疾患で入院しても,認知症の患者さんが落ち着いた入院生活を送れるよう,認知症ケアチームが加入します.退院後もご本人とご家族を地域ぐるみで支援する体制を整えていきます。

皮膚科

DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
080010xxxx0xxx 膿皮症 処置等1 なし 14 9.71 13.50 0.00 62.50
080020xxxxxxxx 帯状疱疹 7 9.29 9.25 0.00 58.43
080140xxxxx0xx 炎症性角化症 処置2なし 3 17.67 13.52 0.00 67.67
080110xxxxx0xx 水疱症 処置2なし 2 23.50 28.56 0.00 70.00
080190xxxxxxxx 脱毛症 2 3.50 3.34 0.00 49.50


皮膚科入院で多い疾患としては、膿皮症(蜂窩織炎、丹毒、糖尿病に伴う感染性膿皮症)、帯状疱疹、円形脱毛症や水疱症などの自己免疫性疾患である。 急性膿皮症については、原因菌の同定に努め、適切な抗菌薬を選択し、必要に応じてデブリードマン、外用治療を行っている。 帯状疱疹については、抗ウイルス薬の点滴、痛みのコントロールを主に行っている。 自己免疫疾患は診断から治療まで期間を要するが、良好な病状コントロールを実施している。

泌尿器科

DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
110080xx991xxx 前立腺の悪性腫瘍 手術なし 前立腺針生検法 151 3.07 2.45 0.00 70.02
11012xxx02xx0x 上部尿路疾患 経尿道的尿路結石除去術等 副傷病なし 54 5.83 5.29 0.00 56.04
110070xx03x0xx 膀胱腫瘍 膀胱悪性腫瘍手術 経尿道的手術 電解質溶液利用等 処置2なし 47 10.06 6.85 0.00 76.28
110200xx02xxxx 前立腺肥大症等 経尿道的レーザー前立腺切除・蒸散術 ホルミウムレーザー又は倍周波数レーザーを用いるもの等 32 8.72 7.82 0.00 74.16
110080xx01xxxx 前立腺の悪性腫瘍 前立腺悪性腫瘍手術等 27 12.41 11.30 0.00 69.52

当科で開発した前立腺生検術(14か所18本生検)により前立腺特異抗原(PSA)4-10ng/mlにおける癌の検出率は60%を超えており、的確な診断ができております。またエンドウロロジー(経尿道的手術・腹腔鏡下手術)の分野を得意にしております。

呼吸器内科

DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
040040xx99200x 肺の悪性腫瘍 手術なし 経気管肺生検法等 処置2なし 副傷病なし 55 4.80 3.05 0.00 71.60
040040xx9900xx 肺の悪性腫瘍 手術なし 処置1なし 処置2なし 34 15.76 13.49 8.82 74.94
040110xxxxx0xx 間質性肺炎 処置2なし 34 18.09 18.57 8.82 74.76
040081xx99x0xx 誤嚥性肺炎 手術なし 処置2なし 23 27.70 21.11 17.39 83.65
040100xxxxx00x 喘息 処置2なし 副傷病なし 13 8.23 6.05 0.00 60.15

呼吸器内科の対象疾患で最も多いのが肺がんです。当科は肺癌を疑う症例に対して、診断目的に原則3日間の入院による気管支鏡検査を行っています。様々な合併症を有する高齢者も多く、より安全な検査を心がけています。また、気管支鏡による診断が困難な場合は、CTガイド下肺生検を放射線科の協力のもとに実施しています。肺がんの治療は、化学療法が中心となり、入院での治療のみならず外来化学療法を組み合わせ、なるべく患者さんがこれまでと変わらない日常生活が送れるようにしています。また、肺炎(特に誤嚥性肺炎)や間質性肺炎の場合、薬物療法のみでなく退院後の生活を考えた呼吸リハビリテーションを積極的に行っており、在院期間が全国平均に比べてやや長い要因のひとつと考えられます。

循環器内科

DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
050070xx01x0xx 頻脈性不整脈 経皮的カテーテル心筋焼灼術等 処置2なし 132 5.14 4.65 0.00 62.95
050050xx0200xx 狭心症、慢性虚血性心疾患 経皮的冠動脈ステント留置術等 処置1なし 処置2なし 103 3.96 4.26 0.00 68.31
050050xx9910x0 狭心症、慢性虚血性心疾患 手術なし 心臓カテーテル法による諸検査等 処置2なし 転院以外 99 3.23 3.04 0.00 66.84
050130xx9900x0 心不全 手術なし 処置1なし 処置2なし等 転院以外 47 22.40 17.54 4.26 81.26
050210xx97000x 徐脈性不整脈 手術あり 処置1なし 処置2なし 副傷病なし 41 13.41 9.89 2.44 82.27

当科では、不整脈に対するカテーテル治療を積極的に行っており、多くの手術件数をこなしております。
また当科は以前より狭心症や心筋梗塞などの虚血性心疾患や、末梢動脈疾患に対するカテーテル治療に注力しており、慢性閉塞性病変や膝下の末梢動脈疾患など難治例の治療も行っています。

腎臓内科

DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
110280xx9900xx 慢性腎炎症候群・慢性間質性腎炎・慢性腎不全 手術なし 処置1なし 処置2なし 50 11.18 11.77 2.00 58.58
110280xx97x00x 慢性腎炎症候群・慢性間質性腎炎・慢性腎不全 その他手術あり 処置2なし 副傷病なし 27 12.30 14.23 3.70 55.07
110280xx02x00x 慢性腎炎症候群・慢性間質性腎炎・慢性腎不全 末梢動静脈瘻造設術 内シャント造設術 単純なもの等 処置2なし 副傷病なし 21 6.86 7.59 0.00 72.24
040081xx99x0xx 誤嚥性肺炎 手術なし 処置2なし 18 12.94 21.11 16.67 88.17
180040xx99x0xx 手術・処置等の合併症 手術なし 処置2なし 10 7.60 9.82 0.00 69.60

当科ではネフローゼ症候群、急性腎不全、慢性腎不全およびその原因となる膠原病など幅広く診療を行っております。なかでもネフローゼ症候群の診療経験が多く、腎生検による確定診断から治療まで一貫して行っております。治療についても一般的なステロイド療法の他に、各種免疫抑制薬や生物学的製剤による治療、アフェレーシス療法をおこなっています。また、IgA腎症に対する扁桃腺摘出術とステロイドパルス療法も積極的に行っております。その他には急性腎不全、慢性腎不全の診療も多く行っており、なかでも血液浄化療法(血液透析、腹膜透析など)の治療の診療経験が豊富です。

救命救急科

DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
161070xxxxx00x 薬物中毒(その他の中毒) 処置2なし 副傷病なし 54 2.02 3.61 5.56 29.35
180010x0xxx3xx 敗血症 1歳以上 持続緩徐式血液濾過等 21 39.10 37.01 23.81 68.38
160100xx99x00x 頭蓋・頭蓋内損傷 手術なし 処置2なし 副傷病なし 19 5.63 8.54 10.53 48.26
180010x0xxx2xx 敗血症 1歳以上 中心静脈注射等 16 40.31 31.56 31.25 83.25
160100xx97x00x 頭蓋・頭蓋内損傷 その他手術あり 処置2なし 副傷病なし 16 9.50 10.14 12.50 60.13

・薬物中毒患者の多くは重度の意識障害をともなっており、呼吸循環を集中治療室で慎重に観察し、不測の事態が生ずれば迅速な処置を行う必要がある。中毒原因物質によっては、解毒剤や拮抗薬の投与、血液浄化療法を要する場合が少なからずあり、当施設では特殊な治療薬を準備している。自殺企図者については、意識回復後に精神科診療を必ず行っている。
・高齢者社会の到来により誤嚥性肺炎による呼吸障害患者が増加している。多くの場合は可逆的な呼吸障害なので、抗菌薬投与とともに補助呼吸療法を行い症状の改善を図っている。対象は高齢者が多いことから治療方針については、本人ならびにご家族と慎重に協議しながら治療を進めていく。
・外傷症例の多くは事故現場で受傷部位・程度を判断することは難しく、一定の基準を満たした外傷例は重症と考えて当施設に搬入されて来る。迅速な全身精査の上、緊急手術を含めた必要な処置が行われる。
・病院外心肺停止を含めた不整脈に対して、人工心肺、脳低温療法を含めた積極的な心肺脳蘇生を行っている。循環器内科と救命救急科が連携し、迅速な心臓ペーシングや冠動脈血管内治療が行われている。

麻酔科

DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
070430xx99xxxx 神経異栄養症、骨成長障害、骨障害(その他) 手術なし 3 2.00 14.25 0.00 73.33
060335xx02000x 胆嚢炎等 胆嚢摘出術等 処置1なし 処置2なし 副傷病なし 1 19.00 6.93 0.00 75.00
10007xxxxxx1xx 2型糖尿病(糖尿病性ケトアシドーシスを除く) インスリン製剤(注射薬に限る) 1 4.00 14.28 0.00 66.00
100100xx99x0xx 糖尿病足病変 手術なし 処置2なし 1 2.00 21.82 0.00 88.00
180040xx99x0xx 手術・処置等の合併症 手術なし 処置2なし 1 2.00 9.82 0.00 79.00

麻酔科ペインクリニック診療につきましては、紹介患者さんを対象にして、難治性の痛みに対する薬物療法、物理療法、神経ブロックを中心とした侵襲的治療を通院にて行っています。これらの中で、通常の外来診療では効果が得られにくい難治性の痛みに対しては短期入院にて神経破壊を伴う透視下神経ブロック(アルコール神経破壊薬もしくは高周波熱凝固を用いて恒久的な効果が期待できる)や脊髄に刺激電極を埋め込んで長期的な効果が期待できる脊髄刺激療法の選択肢も用意しています。

 緩和ケア科と協力し、難治性のがん性痛に対し神経破壊薬を用いた透視下神経ブロックや脊髄クモ膜下鎮痛法にも取り組んでいます。
緩和ケア科診療の特色
当院でがん治療を受けている患者さんを対象に、苦痛症状の緩和やコントロールを行います。患者さん・ご家族と対話をしながら、患者さん自身の生活に合わせた治療の選択、自分らしく生きるため多職種(専門看護師・薬剤師・ソーシャルワーカー・栄養士など)と協働しながら、患者さん・ご家族をサポートいたします。
また、麻酔科ペインクリニック外来と協力しながら身体的な痛みのコントロールのための侵襲的治療(神経ブロックやクモ膜下ポートなど)も必要に応じて行ってまいります。

消化器内科

DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
060100xx01xxxx 小腸大腸の良性疾患(良性腫瘍を含む) 内視鏡的大腸ポリープ・粘膜切除術等 331 2.36 2.64 0.00 64.36
06007xxx9900xx 膵臓、脾臓の腫瘍 手術なし 処置1なし 処置2なし 105 2.50 10.79 0.00 65.86
060360xx99x0xx 慢性膵炎(膵嚢胞を含む)、自己免疫性膵炎、膵石症 手術なし 処置2なし 98 2.56 7.19 0.00 60.71
060340xx03x00x 胆管(肝内外)結石、胆管炎 内視鏡的胆道ステント留置術等 処置2なし 副傷病なし 57 13.28 8.94 0.00 71.56
060102xx99xxxx 穿孔又は膿瘍を伴わない憩室性疾患 手術なし 42 8.52 7.63 0.00 56.57

・内視鏡的大腸ポリープ・粘膜切除術
原則的には当科では1泊2日入院で大腸ポリープ切除を実施しております。内視鏡で観察しポリープの大きさや形により適切に内視鏡的に切除を行います。出血などの合併症がないかどうか慎重に評価を行います。

・早期悪性腫瘍大腸粘膜下層剥離術(大腸ESD)
切除対象となる病変は、大腸ポリープのうち 腺腫または粘膜内がんおよび粘膜下層浅層浸潤がんを内視鏡治療の適応としています。病変の大きさについての適応は一般に5mm 以上の病変が切除対象となりますが、当院で使用しているスネアで一括切除できる病変の大きさは20-25mm前後としています。既往症がない患者に対しては,一泊二日の入院で安全に内視鏡的加療を行い帰宅可能としています。一方で、それ以上の大きさの病変に対しては複数回のスネアリングによる分割切除となります。分割切除は一括切除と比較し、遺残再発率が高いため腫瘍径 20mmを指標とし、当院では病変の局在、形態、患者の既往症を考慮し内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)による一括切除を治療法として選択しております。

・内視鏡的胃ポリープ・粘膜切除術(EMR)・早期悪性腫瘍粘膜下層(胃ESD)
ESD は早期胃癌に対する内視鏡治療法として 1990年代半ばから本邦で用いられるようになった治療法です。手技の手法としては、高周波ナイフを用いて病変周囲の粘膜を切開し、さらに粘膜下層を剥離して切除する方法です。従来のEMR 法と比較すると、大きな病変や潰瘍瘢痕を有する病変に対しても一括切除が可能となります。最近では内視鏡治療の適応が、より腫瘍径の大きい病変にも適応が拡大されています。当院ではESD を正確かつ安全に施行するために、経験豊富な専門医による外来検査・診察と入院検査を用いて正確な術前診断を行い、複数のスタッフによる術前カンファレンスを行い、万全をきたすように努めています。

・内視鏡的止血術
胃十二指腸潰瘍、憩室出血、静脈瘤破裂などの消化管出血については随時緊急内視鏡を行っております。その際には豊富な経験を持つ内視鏡専門医を含む複数のスタッフで実施し、出血源の同定や止血を行っております。止血後も慎重に経過を観察し、随時内視鏡でのフォローを行います。

・胆管炎/胆管ステント留置術/経鼻胆管ドレナージ術
急性胆管炎は致死的な疾患であり、初期治療における内視鏡的胆管ドレナージ(胆管内の膿を胆管外に逃がす治療)が重要であるとされています。急性胆管炎、胆道閉塞疾患に対して随時緊急ERCPを施行し、胆道ステント留置術や、経鼻胆管ドレナージ術を行っております。

内視鏡的経鼻胆管ドレナージ(ENBD)
急性胆管炎や閉塞性黄疸に対して行われます。内視鏡下にて胆管への選択的カニュレーション後、ガイドワイヤーテクニックを用いて胆管内に5-7Frのチューブを留置し、経鼻的外瘻ドレナージを完成させる方法です。これにより急性胆管炎や閉塞性黄疸が改善できます。

急性膵炎
急性膵炎の成因の多くはアルコールと胆石です。アルコール膵炎の場合は通常の急性膵炎の治療のみで良いですが、胆石性膵炎の場合は胆管炎を併発することがあり、その場合胆管ドレナージを必要とします。当科では胆石性膵炎に対応することができ、また急性膵炎が重症である場合、救命救急センターと協力して集中治療にあたります。

超音波内視鏡検査(EUS)
内視鏡の先端に超音波(エコー)装置が付属した内視鏡検査です。一般的によく用いられている体表(腹壁)からのエコー検査は、胃内や腸管内の内容物、皮下脂肪、内臓脂肪により画像描出が困難になることがありますが、EUSは観察したい臓器を胃や十二指腸から直接エコーをあてることができるため、より詳細な観察が可能です。食道、胃、十二指腸、大腸、胆嚢、膵臓で用いられ、各臓器の内部や境界、周囲の臓器、血流やリンパ節の情報を得ることができます。 消化管の早期癌や粘膜下腫瘍における浸潤度や深達度診断(病変の局在や粘膜からの深さ)に用いられる検査です。膵臓や胆道疾患の診断では、早期慢性膵炎、慢性膵炎、膵嚢胞性疾患、膵臓癌、胆嚢ポリープや胆石などを胃や十二指腸からエコーをあてることで、観察・評価することができます。

超音波内視鏡下穿刺吸引法(EUS-FNA)
EUSで確認できる腫瘤性病変に針を刺して、細胞や組織を採取する検査法です。エコーで病変を確認しながら穿刺し、吸引することで内部の組織の情報を病理検体として評価できます。一定の大きさがあれば病理診断を行うことができ、確定診断に至ることができます。特に膵臓癌や粘膜下腫瘍、リンパ節に対する穿刺を行います。侵襲的な検査ではありますが、検査自体は静脈麻酔下で行いますので、被験者の体に負担の少ない検査です。

機能性消化管障害(逆流性食道炎、機能性ディスペプシア、慢性便秘、過敏性腸症候群)
器質的な病変が認められないにもかかわらず慢性的な消化器症状を呈する疾患群のことをいいます。日本では、少なくとも人口の約1-2割が胃・十二指腸由来の慢性症状を有しており、その多くは、器質的疾患を認めない機能性疾患であると報告されています。

過敏性腸症候群
腹痛を伴う下痢や便秘などの排便障害を自覚する疾患です。ともに、消化管精査(内視鏡検査、CT検査など)で器質的な病変(癌、胃炎、大腸炎など)が無いことが前提になります。また、機能性消化管障害はoverlapすることが多い(様々な症状が出現する)と言われております。例えば、胃痛やもたれの症状を自覚しながら、下痢や便秘の症状をも認めることがあります。機能性消化管障害は生命への影響がないため、医療機関でも軽視される方向にあります。しかし、患者様にとっては日常生活に直接支障が出るため、生活の質が著しく低下します。労働生産性の低下を引き起こすなど、社会的にも大きな損失を招くという報告もあります。特に当院では消化管機能検査、膵酵素異常に対する超音波内視鏡検査、十二指腸の炎症評価、質問票を用いた心理的背景の評価を行うことで、患者様個々に対して生活指導、栄養指導、薬物治療を行っております。

消化器外科

DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
060335xx02000x 胆嚢炎等 胆嚢摘出術等 処置1なし 処置2なし 副傷病なし 138 6.86 6.93 1.45 60.01
060160x001xxxx 鼠径ヘルニア 15歳以上 鼠径ヘルニア手術等 112 5.03 4.59 0.00 67.29
060150xx03xxxx 虫垂炎 虫垂切除術 虫垂周囲膿瘍を伴わない等 78 4.94 5.32 0.00 38.72
060035xx010x0x 結腸(虫垂を含む)の悪性腫瘍 結腸切除術等 処置1なし 副傷病なし 59 15.90 15.40 6.78 71.20
060100xx01xxxx 小腸大腸の良性疾患(良性腫瘍を含む) 内視鏡的大腸ポリープ・粘膜切除術等 53 2.58 2.64 0.00 71.72

胆石症に対する腹腔鏡手術は、胆嚢に炎症が無い、または軽度の場合には外来で術前検査を行いあらためて待機手術を行いますが、なかには急性胆嚢炎と呼ばれる緊急処置を必要とする状態で来院される患者さんも少なくなく、この場合には診療ガイド ラインに従って発症後72時間以内に速やかに手術を行います 。
鼠径ヘルニア、いわゆる「脱腸」に対する手術は、当科では基本的にすべての鼠径部ヘルニア手術を腹腔鏡手術で行っています。腹腔鏡手術は疼痛の少なさや手術創の整容性に優れているのみならず、複数のヘルニア(対側のヘルニアや大腿ヘルニアの合併など)が併存する場合にも見落とすことなく同時に治療が完了するというメリットがあります。術後の再発率は1% 以下でこの点でも従来法より優れています。平均在院日数は3日間で以前より著しく短縮し、早期の社会復帰が可能となりました 。
虫垂炎(俗にいう盲腸炎)に対する手術は、従来は右下腹部を4 – 6cm 切開して小開腹で手術(虫垂切除術 )を行っていました が、ときに炎症が強かったり、肥満例では視野が悪く手術が困難で手術創感染などの合併症をきたすこともありました。当科ではこの虫垂炎に対してもすべて腹腔鏡を用いて、良好な視野で、小さな手術創で治療を行なっています。
大腸ポリープに対する内視鏡治療は、当科では年間2500例の大腸内視鏡検査を行っており、大腸ポリープも多く見つかります。大腸ポリープのなかには早期癌も含まれており、拡大 内視鏡やNBI (Narrow Band Imaging : 狭帯域光法)と呼ばれる最新技術で正確な診断を行い、最適な治療を提供するよう努めています。

内分泌・糖尿病・動脈硬化内科

DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
10007xxxxxx1xx 2型糖尿病(糖尿病性ケトアシドーシスを除く) インスリン製剤(注射薬に限る) 28 11.36 14.28 0.00 61.50
040081xx99x0xx 誤嚥性肺炎 手術なし 処置2なし 13 22.54 21.11 7.69 90.00
100040xxxxx00x 糖尿病性ケトアシドーシス、非ケトン昏睡 処置2なし 副傷病なし 10 10.90 13.43 0.00 51.00
100210xxxxxxxx 低血糖症 8 16.63 7.17 12.50 72.38
100393xx99xxxx その他の体液・電解質・酸塩基平衡障害 手術なし 7 12.00 10.58 0.00 75.71

内分泌・糖尿病・動脈硬化内科では、2型糖尿病をはじめとする生活習慣病や1型糖尿病の血糖コントロール、合併症の精査加療をおこなっております。患者さんの個々の生活に考慮した療養指導を医師のみではなく、看護師、栄養士、薬剤師、ソーシャルワーカーといった多職種のメディカルスタッフが連携をとりながらおこなっております。インスリン導入も、入院だけではなく外来にて数多くおこなっております。また周産期の血糖管理も女性診療科とともにおこなっております。内分泌専門外来が少ない中、下垂体、甲状腺、副腎疾患などの内分泌疾患に対し、負荷試験などの内分泌学的検査や治療をおこなっております。外科的治療を行う場合には、脳神経外科、内分泌外科、消化器外科、泌尿器科と連携し、合同で治療にあたります。

乳腺外科

DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
090010xx02xxxx 乳房の悪性腫瘍 乳腺悪性腫瘍手術 乳房部分切除術(腋窩部郭清を伴わない) 100 8.31 5.67 0.00 54.31
090010xx010xxx 乳房の悪性腫瘍 乳腺悪性腫瘍手術 乳房切除術等 処置1なし 68 12.94 9.99 0.00 57.54
090020xx97xxxx 乳房の良性腫瘍 手術あり 22 5.23 4.04 0.00 41.05
090010xx97x0xx 乳房の悪性腫瘍 その他手術あり 処置2なし等 6 8.50 6.45 0.00 58.00
070041xx97x00x 軟部の悪性腫瘍(脊髄を除く) その他手術あり 処置2なし 副傷病なし 1 5.00 9.69 0.00 67.00

乳がんは女性がかかる最も多い悪性腫瘍で、日本では9人にひとりが乳がんになるとされ、増加傾向にあります。しかも働き盛りの40歳代、50歳代に多いという特徴があります。当院でも年々増加し、年間約160例を担当するようになってきています。乳がんの治療は手術を中心とした局所療法と薬物による全身療法の組み合わせで治癒を目指します。薬物療法では癌の進行度(腫瘍量)と癌の性格(サブタイプ)に合わせた治療を行います。治療にあたっては腫瘍内科、放射線治療科と連携し、専門看護師とともにチーム医療を行っています。また、良性の腫瘍でも増大傾向や診断目的に摘出する場合がありますが、そのような場合も整容面に配慮して手術治療を行います。

新生児科

DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
140010x199x0xx 妊娠期間短縮、低出産体重に関連する障害 2500g以上 手術なし 処置2なし 373 3.26 6.13 0.00 0.00
140010x299x0xx 妊娠期間短縮、低出産体重に関連する障害 1500g以上2500g未満 手術なし 処置2なし 93 9.35 10.92 0.00 0.00
140010x299x2xx 妊娠期間短縮、低出産体重に関連する障害 1500g以上2500g未満 手術なし シナジス 47 24.19 28.04 0.00 0.00
140010x199x3xx 妊娠期間短縮、低出産体重に関連する障害 2500g以上 手術なし 肺サーファクタント等 14 14.64 16.10 0.00 0.00
140010x199x2xx 妊娠期間短縮、低出産体重に関連する障害 2500g以上 手術なし シナジス 11 18.27 18.39 0.00 0.00

新生児科は地域周産期センターの指定を受けているため、ハイリスク妊娠として当院の産科部門に母体搬送されたのち出生に至った早産・低出生体重児の診療を中心業務としていますが、院内で出生した場合に限らず救急搬送によって収容された比較的体格の大きな病的新生児に対しても、呼吸管理をはじめとした高度の新生児集中治療体制によって応じています。

腫瘍内科

DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
120010xx99x6xx 卵巣・子宮附属器の悪性腫瘍 手術なし ドキソルビシン塩酸塩 リポソーム製剤 17 3.00 4.25 0.00 55.24
090010xx99x30x 乳房の悪性腫瘍 手術なし 化学療法ありかつ放射線療法なし 副傷病なし 5 7.00 6.02 0.00 36.00
090010xx99x0xx 乳房の悪性腫瘍 手術なし 処置2なし等 4 10.25 9.71 0.00 74.00
070041xx99x3xx 軟部の悪性腫瘍(脊髄を除く) 手術なし 化学療法ありかつ放射線療法なし 3 7.33 9.38 0.00 52.00
070040xx99x0xx 骨の悪性腫瘍(脊椎を除く) 手術なし 処置2なし 2 6.00 9.09 100 74.00

当科での入院される患者さんは抗がん剤(化学療法)の脱感作療法を受ける患者さん,抗がん剤用の中心静脈カテーテル埋め込み術を受ける患者さん,悪性胸水のドレナージを受ける患者さん, 疼痛コントロールを受ける患者さんなどが主になります。

内分泌外科

DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
100130xx97x0xx 甲状腺の良性結節 手術あり 処置2なし 6 7.00 7.08 0.00 64.83
100020xx010xxx 甲状腺の悪性腫瘍 甲状腺悪性腫瘍手術等 処置1なし 5 7.00 8.06 0.00 58.00
100140xx97xxxx 甲状腺機能亢進症 手術あり 3 15.33 8.76 0.00 41.33
100020xx971xxx 甲状腺の悪性腫瘍 その他手術あり 気管切開術 1 29.00 33.27 100.00 65.00

甲状腺悪性腫瘍に対しては術前診断に基づき「甲状腺片葉切除術、気管周囲リンパ節郭清術」から「甲状腺全摘除術、両側外側リンパ節に到る郭清術」まで適宜施行している。
細胞診まで施行しても術前診断不能である「濾胞癌」を疑う症例については手術の必要性を丁寧に説明し納得いただいたうえで確定診断、術後治療方針決定を目的とする甲状腺片葉切除術を施行している。
気道を圧迫したり、美容上目立つ大きな結節性甲状腺腫には各々必要に応じて甲状腺片葉切除術から甲状腺亜全摘除術を施行している。
手術適応のバセドウ病に対しては内分泌内科との連携のもと、甲状腺亜全摘除術・甲状腺全摘除術を施行している。
原発性副甲状腺機能亢進症では,極力術前に責任病変の局在を明確にした後、focused approachで1時間程度の手術を施行している。
続発性(腎性)副甲状腺機能亢進症についても内科と連携のうえ「副甲状腺全摘除術、副甲状腺自家移植術」を2時間程度で施行している。
いずれの手術も基本的に2名の内分泌甲状腺外科専門医により手術を施行し,血管シーリング装置等のディバイスを用い,少量出血,短時間の低侵襲で合併症の少ない手術を心がけている。
適応症例に対しては、充分なICのもと、VANS法による「内視鏡下甲状腺手術」を施行している。
上記の手術はいずれも入院前外来から入院中、術前・術中・術後を通して専用のクリニカルパスを用いて診療している。

リウマチ・膠原病内科

DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
070560xx99x00x 重篤な臓器病変を伴う全身性自己免疫疾患 手術なし 処置2なし 副傷病なし 11 13.18 14.67 0.00 55.55
010080xx99x0x1 脳脊髄の感染を伴う炎症 手術なし 処置2なし 年齢15歳以上 1 10.00 16.85 100.00 74.00
040110xxxxx0xx 間質性肺炎 処置2なし 1 13.00 18.57 0.00 69.00
040170xxxxxx0x 抗酸菌関連疾患(肺結核以外) 副傷病なし 1 19.00 8.81 0.00 66.00
070470xx99x0xx 関節リウマチ 手術なし 処置2なし 1 14.00 15.73 0.00 83.00

リウマチ膠原病内科:常勤医3名となり、今年度は常時3-8名程度の入院患者の診療にあたっています。疾患は関節リウマチ、全身性エリテマトーデス、強皮症、皮膚筋炎、血管炎症候群、ベーチェット病など種々です。いずれも慢性的な疾患であり、発症時の診断、治療治療方針の決定、経過中に急性増悪に対応するために、入院が必要になることがあります。専門的な視点から適切な治療を選択し、急性期の状態の改善をはかるだけでなく、長期間の状態の安定を見据え、その後の外来での継続治療指針も決定します。また、グルココルチコイドや免疫抑制薬使用下での感染症をはじめとした合併症にも、基礎疾患に対する治療との両立を考慮していきます。膠原病およびリウマチ性疾患は多くの臓器に病変が出現し、その症状も多様ですので、整形外科、皮膚科、呼吸器内科をはじめとした診療科と連携して、より高度な医療を提供致します。

初発の5大癌のUICC病期分類別並びに再発患者数

初発 再発 病期分類
基準(※)
版数
Stage I Stage II Stage III Stage IV 不明
胃癌 48 10 11 17 16 5 1 8
大腸癌 82 46 42 36 18 21 1 8
乳癌 92 52 4 3 31 17 1 8
肺癌 26 - 18 45 58 27 1 8
肝癌 1 7 27 9 4 18 1 8

※ 1:UICC TNM分類,2:癌取扱い規約

【消化器外科】
消化器外科では 5大癌のうち胃癌、大腸癌、肝癌の診断・治療を行なっています。
胃癌は近年検診の普及やヘリコバクター・ピロリ菌の除菌などにより減少傾向ですが、当科は消化器内科とともに内視鏡センターを併設しており、年間3500例以上の胃内視鏡検査を行っていることから比較的早期の癌を発見し治療に結びつけています 。Stag e Iとは癌の深達度(胃の壁を貫く深さ)が粘膜内にとどまり、かつリンパ節転移があっても 2個以下、あるいは筋層までにとどまりリンパ節転移のないものをさしますが、これらに対しては内視鏡治療や腹腔鏡手術などの患者さんにとって侵製の少ない治療が行われます。さらに病気が進行した Stage II やIll の患者さんには手術に加えて、術前・術後に化学療法(抗癌剤治療)を組み合わせることによって治療成績の向上につながっています。遠隔転移を有するStag e IVや再発症例は根治することが困難ですが、QOLを重視した化学療法や緩和治療をそれぞれの患者さんに合わせて個別治療を提供しています。
大腸癌はわが国では食事の欧米化に伴って増加している疾患です。現在女性の癌死亡率の第一位になっています。大腸癌は早期の癌はほとんどが無症状であり、胃癌ほど検診が普及していないこともあり、進行した状態で来院される患者さんも多いのが現状です。表のStag e I とは癌の深達度(腸の壁を貫く深さ)が粘膜内または 筋層までにとどまりリンパ節転移のないものをさしますが、このうち さらに粘膜の浅い部分に限局しているものに対しては内視鏡治療が行われます。その他のStag e I、Stag e II、StageIll に対しては当施設ではほとんどの手術を腹腔鏡による低侵襲治療を行っています 。胃癌と同様一部のStag e II、St ag e Ill に対しては術後に化学療法を併用して再発リスクを軽減するよう努めています 。 また近年Stag e IVや再発大腸癌に対する化学療法が著しく進歩し、生存期間が 20年前に比べ ると3-5 倍に延長しています。なかには完治する症例も報告されるようになりました。一般に抗癌剤と言うと、長期入院で嘔吐・脱毛・下痢など の副作用に悩まされるイメージがありますが、大腸癌では基本的に外来通院で行います。化学療法室という専門スタッフが配置された治療センターでリクライニングチェアーに座ってリラックスした状態で行います。これに並行して病気の進行による症状に 対しては緩和ケアチー ムがサポートにあたります。
肝癌は大きく分けて原発性肝癌と転移性肝癌(他臓器癌が肝臓に転移した)に分かれます。原発性肝癌も肝細胞癌、胆管細胞癌、嚢胞腺癌など種類が多様です。最も多い肝細胞癌は腫瘍の個数や大きさなどからstageが決定されます。治療法も多岐に渡り、手術療法、血管内カテーテル療法 (TACE) 、局所療法 (アルコールラジオ波、放射線)、全身化学療法が代表的です。治療法の決定はstageと肝臓の状態(肝予備能、ウイルス性肝炎、肝硬変、肝不全など)を考虚して総合的に判断します。当科の特徴は、内科専門医チームと外科専門医チームが診断から治療、治療後の全ての段階において綿密な連携の元、対応に当たっている事です。例えば、C型肝炎を合併した肝細胞癌術後の再発リスクは肝機能の維持と大きな関連があり、内 科専門医による術後の肝炎治療がなくては良好な予後が期待できません。手術療法では、腹腔鏡手術も安全を考慮して取り入れております。肝細胞癌の治療成績の向上はこれら集学的治療が滞りなく行える環境が整ってはじめて可能となります。胆管細胞癌や嚢胞腺癌においても術前診断から、術前処置、手術療法、全身化学療法と内科、外科が一体となって対応して います。胆管細胞癌は胆管が詰まる事が原因で起こる閉塞性黄疸も少なくなく、治療前に内視鏡的ドレナージ(排液)、経皮的ドレナージを合同で行っています。StageⅣAまでは手術療法を 中心に考えます。手術療法では、拡大肝切除を必要とすることも多く、術前に切除する肝臓の血管を遮断(塞栓)し、残肝を大きくして安全に手術を行う門脈塞栓術や、門脈、肝動脈合併切除·再建術なども積極的に行っています。
【呼吸器外科】                                                                                                                         当科では原発性肺癌、転移性肺腫瘍、縦隔腫瘍、自然気胸など、外科的治療の必要とする胸部・呼吸器系疾患を対象に診察・治療を行っております。

 2022年の呼吸器外科手術実績は67件、その内訳は肺悪性腫瘍25件(原発性肺癌29件、転移性肺腫瘍6件)、気胸28件、縦隔・胸壁腫瘍7件、良性腫瘍3件、その他4件でした。
方針として肺癌を含めたほぼ全例に胸腔鏡を併用した低侵襲手術を施行しており、治療成績の向上と生活の質(Quality of Life)重視の両立を図っています。
特に肺癌症例においては、外科、内科、放射線科、病理部の連携が重要であり、当院では定期的に肺癌症例検討会を行うことにより、迅速かつ適切な診断・治療方針を決定、遂行しております。
また、近年肺癌症例の高齢化に伴い肺気腫・閉塞性肺疾患(COPD)や間質性肺炎(IP)などの呼吸器疾患を合併する手術症例が増加しております。このようなHigh Risk症例において、呼吸器内科及び麻酔科と連携し、術前、術中・術後を通してのきめ細かな管理と、胸腔鏡手術(VATS)による低侵襲治療を徹底し、合併症リスクの低減に努めています。
この結果、2022年当科における肺癌手術症例の術後平均在院日数は3.4日であり、術前も含めて1週間以内の入院治療が可能です(糖尿病や抗凝固療法中など術前コントロールの必要な症例は除きます)。
10~20代の若年者層が大半を占める自然気胸の手術治療(胸腔鏡下肺部分切除術)においては、術後平均在院日数は2.5日であり、退院後早期の仕事・学業への復帰を可能としています。
縦隔腫瘍に対しても当科では積極的に胸腔鏡手術を行っており、この結果、縦隔腫瘍における術後平均在院日数は2.0日と極めて短期間での退院が可能となりました。
また入院治療においては肺癌、縦隔腫瘍、転移性肺腫瘍、気胸などに対応した疾患別クリニカルパスを導入しており、看護師、薬剤師などのスタッフと連携した治療を心掛け、納得のいく医療、最善の医療を提供できるようスタッフ一同努めております。
【乳腺外科】                                                                                                                         乳癌の術後経過は術後1~2年に再発のピークがあってそのあと減少していきます。10年経過するまでを経過観察の対象としていますが、当院では定期的に検査を行っています。再発は局所再発と遠隔再発に分けられます。局所再発であれば再手術なども考慮されますが、遠隔再発(転移)では薬物療法が主体となります。抗がん剤以外にも有望な分子標的薬剤が続々と登場して来ていますし、乳癌の多くはホルモン感受性であることからホルモン療法で再発治療する場合もあります。治療にあたっては腫瘍内科、放射線治療科と連携し、専門看護師とともにチーム医療を行っています。近年の薬物療法の進歩で術後の再発も少なくなり、また、再発後の治療成績も向上しています。

成人市中肺炎の重症度別患者数等

患者数 平均
在院日数
平均年齢
軽症 4 7.00 48.50
中等症 44 18.80 74.91
重症 26 17.38 85.35
超重症 19 28.05 83.84
不明 - - -

軽症は比較的低年齢であり、重症度3以上の重症および超重症はより高齢であることがわかります。わが国の人口動態統計(2022年)では肺炎は死因の第5位であり、その多くを高齢者が占めています。治療は抗菌薬による薬物療法と呼吸不全の管理が中心です。酸素療法のほか、多様な医療機器(ネーザルハイフロー、NPPVなど)を用い、それぞれの患者さんに対応した治療を行っています。

脳梗塞の患者数等

発症日から 患者数 平均在院日数 平均年齢 転院率
3日以内 58 20.79 74.67 27.54
その他 11 - 58.36 7.25

脳神経外科                                                                                                        脳梗塞にはラクナ梗塞、アテローム血栓性脳梗塞、心原性脳梗塞の3つの病型があり、それぞれに原因が異なります。CT(三次元CT、灌流画像を含む)、MRI(MRAを含む)、核医学検査、および脳血管撮影などの検査を行い適切に治療しています。特に、アテローム血栓性脳梗塞や心原性脳梗塞には内科的治療だけでなく、外科的治療も必要に応じて行うことができます。それぞれ脳卒中の外科学会専門医、血管内治療専門医が中心となり、患者さんの状態に最適な治療法を選択しています。また、当院では急性期脳梗塞に対する血栓回収療法についても、当施設の血管内治療専門医が診療にあたります。
脳神経内科                                                                                                    当院は,脳梗塞急性期症例は脳神経内科,脳神経外科,救命救急科の3科で協力して24時間体制で診療に当たっています.救急搬送される重症の脳梗塞だけでなく,病診連携で紹介されてくる軽症脳梗塞や一過性脳虚血発作症例についても最新の機器を駆使してきちんと診断,加療できるようにしています.

 脳梗塞の治療は発症直後の治療に関心が行きがちですが,その後継続的に行う再発予防治療も極めて重要です.内科的な観点から各症例の基礎疾患や病態に合わせて最適な薬剤を選択するだけでなく,生活指導などの患者さん本人,ご家族への教育にも力を入れています.病状が落ち着いた後は,かかりつけ医や地域の介護スタッフと連携してサポートするようにしています.
 片麻痺,言語障害などの後遺症に対するリハビリテーションは,薬物と並ぶ重要な治療です.当院では豊富な院内リハビリテーションスタッフを持ち,発症直後から濃密なリハビリテーションを開始,その後は患者支援室を介した回復期リハビリテーション病院への隙間のない受け渡しも可能になっています。

診療科別主要手術別患者数等(診療科別患者数上位5位まで)

小児科

Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K7151 腸重積症整復術 非観血的なもの 10 0.20 1.20 0.00 3.10
K6261 リンパ節摘出術(長径3cm未満) 2 8.00 16.50 50.00 7.00
K386 気管切開術 1 5.00 246.00 100.00 6.00
K861 子宮内膜掻爬術 1 7.00 1.00 0.00 13.00
K667-2 腹腔鏡下噴門形成術 1 18.00 93.00 100.00 7.00

日本医科大学武蔵小杉病院周産期•小児医療センターは、新病院では小児病棟を30床、新生児集中治療室・回復室(NICU,GCU)を21床に増床し、これまで同様に産科、新生児科、小児科、小児外科、心臓血管外科が協力して安心、安全な医療を提供して参ります。小児科は急な発熱、下痢、嘔吐、喘息発作、痙攣など急な疾患に対応する一般外来に加え、全ての臓器の診療を行うため専門の医師による特殊外来を設けて臓器別・疾患別に診療を行っております。
多く入院された疾患としては、気管支炎・肺炎 (RSウイルス感染も含む)などの呼吸器感染、 下痢・嘔吐・脱水などの胃腸炎、食物アレルギー負荷試験、 気管支喘息などのアレルギー疾患、川崎病、先天性心疾患などの循環器疾患、尿路感染症、血尿・蛋白尿などの腎・泌尿器疾患、低身長、甲状腺機能亢進症、糖尿病などの内分泌疾患など多種多様な疾患の患者さんが入院されています。
救急医療に関しましては、中部小児急病センターを365日行い一次救急の患者様を受け入れております。
急に発症されお困りのお子さんはご利用ください。 事前の予約は不要です。
また、救急車を中心とした二次救急患者は川崎市の二次輪番制度に沿って行っております。その他、保健所への医師の派遣、児童の結核検診・BCG接種後のコッホ現象対応、小児喘息事業への協力など地域保健事業に積極的に参画しております。さらに、川崎市学校児童生徒の心臓病、腎疾患、 糖尿病検診にも一次検診から三次検診まで協力し疾病の早期発見に努力しております。
このように、日本医科大学武蔵小杉病院は周産期・小児医療センターとして川崎市の小児医療において地域の中核病院としてその役割を果たしております。

整形外科

Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K0461 骨折観血的手術 肩甲骨、上腕、大腿 等 33 6.33 22.91 36.36 69.39
K0821 人工関節置換術 肩、股、膝 等 31 4.32 24.10 9.68 70.61
K0811 人工骨頭挿入術 肩、股 等 25 8.24 29.76 40.00 81.24
K0463 骨折観血的手術 鎖骨、膝蓋骨、手(舟状骨を除く。)、足、指(手、足)その他 等 23 3.26 6.09 0.00 46.22
K0462 骨折観血的手術 前腕、下腿、手舟状骨 等 19 4.47 9.68 10.53 54.05

当科では、表記のような四肢外傷の急性期に対する手術が中心です。特に大腿骨近位部骨折、橈骨遠位端骨折が多く、高齢者の骨粗鬆症に関連した骨折の治療と、術後の骨粗鬆症に対する薬物療法まで含めた総合的診療を行います。一方、変形性関節症等の慢性疾患に対しても、人工関節置換術を中心にした手術治療を行っています。

形成外科

Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K0081 腋臭症手術 皮弁法 33 0.67 3.03 0.00 28.64
K0063 皮膚、皮下腫瘍摘出術(露出部以外) 長径6センチメートル以上12センチメートル未満 等 23 1.35 2.87 0.00 51.35
K0053 皮膚、皮下腫瘍摘出術(露出部) 長径4センチメートル以上 等 21 1.19 1.95 0.00 35.76
K0072 皮膚悪性腫瘍切除術 単純切除 等 19 1.05 13.89 0.00 65.58
K0064 皮膚、皮下腫瘍摘出術(露出部以外)(長径12cm以上) 等 18 2.89 4.44 0.00 52.33


形成外科では、元々の得意分野である「ケロイド・肥厚性瘢痕」「皮膚がん」「乳房再建」「皮膚・軟部腫瘍」「あざのレーザー治療」「先天性耳変形」「多合指症」「下腿潰瘍」に加えて、近年では「腋臭症」「顔面神経麻痺」「リンパ浮腫」の患者さんが増えてまいりました。常勤総勢11名、非常勤3名の診療体制で、それぞれが特化した専門分野を持ち、広い疾患に対応しております。

脳神経外科

Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K171-21 内視鏡下経鼻的腫瘍摘出術 下垂体腫瘍 32 3.72 10.03 3.13 56.19
K164-2 慢性硬膜下血腫穿孔洗浄術 8 2.75 16.38 25.00 73.38
K1742 水頭症手術 シャント手術 5 3.40 39.20 20.00 77.00
K1911 脊髄腫瘍摘出術(髄外) 5 2.20 5.20 0.00 1.00
K171-22 内視鏡下経鼻的腫瘍摘出術(頭蓋底脳腫瘍(下垂体腫瘍を除く)) 等 4 4.25 27.25 25.00 58.50


下垂体腫瘍、頭蓋底腫瘍に対する内視鏡下経鼻的手術                                                                                                                当科の特徴として、体に負担の少ない低侵襲手術を積極的に行なっております。その中でも下垂体腫瘍に対する内視鏡下経鼻的手術に特に力を入れております。田原部長はこの領域のスペシャリストであり、個人としての手術数は約2000例と本邦最多の件数を誇ります。また、下垂体腫瘍以外にも髄膜腫、頭蓋咽頭腫、脊索腫などの高難度頭蓋底腫瘍に対しても、内視鏡を用いた経鼻的手術を積極的に行っております。                                                                                                                              脳動脈瘤 (未破裂)
未破裂脳動脈瘤は、近年脳ドックや頭痛などの症状で頭部MRI検査を受ける方が増えたことにより、みつかる場合が増えてきています。脳動脈瘤が破裂すると多くはくも膜下出血になるので、診断された方は、精神的なストレスとなることも多いと考えられます。日本脳卒中学会のガイドラインでは、一般に直径5mm以上の動脈瘤は破裂のリスクがあることより、手術の適応とされています。ただし、大部分を占める直径10mm 未満の脳動脈瘤の破裂率は年間1%以下ですので、治療を急ぐ必要はありません。患者さんには十分にご理解を頂けるように数回に分けて説明しております。外科的治療には、従来から行われている開頭によるクリッピング手術と近年増加している血管内手術(コイリング)があります。当院では、脳卒中の外科学会専門医と血管内治療学会専門医が中心となり、脳神経外科全体で協議し、それぞれの患者の方の状態に合わせた、安全で確実性の高い方法で治療ができるよう診療を行っています。手術治療に際しては、各種神経モニタリング、術中蛍光動脈造影などを用いて、安全性の高い医療を心掛けています。                                                                                                                                     慢性硬膜下血腫
慢性硬膜下血腫は、高齢者に多い疾患です。転倒や軽微な頭部外傷後、1-3か月で脳の表面と頭蓋骨の隙間に血腫が貯まってきます。症状としては、運動麻痺やふらつき、歩行障害、頭痛、認知症などが見られやすいものです。この血腫は脳内には貯留しないので、適切な時期に治療を行えれば、後遺症なく治ることが期待できます。血腫が少ない時は、漢方薬を中心とした内服薬で治すことも可能ですが、症状が出るほどの大きさの血腫では外科治療が必要です。外科治療では、局所麻酔で約30分強の穿頭血腫洗浄術を行います。通常は、ご高齢の方でも安全に手術が受けられます。約10%に再発が起こりますが、再発を繰り返す場合には、神経内視 鏡手術や血管内手術の併用で対応します。                                                                                                                          水頭症                                                                                                                                          
水頭症は脳室に脳脊髄液が余分に溜まることにより、症状を呈する疾患です。認知症や歩行障害、尿失禁などが症状ですが、これらはシャント手術という脳脊髄液を抜く患者さんの負担が比較的軽い手技で治療が可能です。水頭症の診断には画像検査が大切ですが、こういった症状で内科などで治療されている患者さんの中に水頭症が隠れていることが少なからずあり、かかりつけの先生とご相談いただき、脳神経外科への受診をお勧めしたいと考えます。シャント手術の効果が期待できるかどうかの画像上の特徴やタップテストなどの結果で判断して、直せる認知症 の治療に取り組んでいます。                                                                                           二分脊椎・脊髄脂肪腫                                                                                                                            当院は周産期・小児医療センターを有し、積極的な小児の外来・入院診療が行われています。我々も同様に、小児脳神経外科治療の専門医により、意欲的に小さなお子さんの治療を行なっております。その中でも、お尻のくぼみやあざなどから発見される潜在性二分脊椎の治療には特に力を入れており、この分野でも内視鏡を用い、わずか1cmの皮膚切開での低侵襲な手術を行なっています。   

呼吸器外科

Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K5131 胸腔鏡下肺切除術 肺嚢胞手術(楔状部分切除によるもの) 等 31 5.77 2.52 0.00 29.71
K514-21 胸腔鏡下肺悪性腫瘍手術 部分切除 等 18 3.06 2.67 0.00 67.72
K514-23 胸腔鏡下肺悪性腫瘍手術 肺葉切除又は1肺葉を超えるもの 等 11 2.55 4.45 0.00 64.55
K513-2 胸腔鏡下良性縦隔腫瘍手術 4 2.00 2.00 0.00 50.00
K502 縦隔腫瘍、胸腺摘出術 3 2.00 2.33 0.00 50.33

当科では原発性肺癌、転移性肺腫瘍、縦隔腫瘍、自然気胸など、外科的治療の必要とする胸部・呼吸器系疾患を対象に診察・治療を行っております。
 2022年の呼吸器外科手術実績は67件、その内訳は肺悪性腫瘍25件(原発性肺癌29件、転移性肺腫瘍6件)、気胸28件、縦隔・胸壁腫瘍7件、良性腫瘍3件、その他4件でした。
方針として肺癌を含めたほぼ全例に胸腔鏡を併用した低侵襲手術を施行しており、治療成績の向上と生活の質(Quality of Life)重視の両立を図っています。
特に肺癌症例においては、外科、内科、放射線科、病理部の連携が重要であり、当院では定期的に肺癌症例検討会を行うことにより、迅速かつ適切な診断・治療方針を決定、遂行しております。
また、近年肺癌症例の高齢化に伴い肺気腫・閉塞性肺疾患(COPD)や間質性肺炎(IP)などの呼吸器疾患を合併する手術症例が増加しております。このようなHigh Risk症例において、呼吸器内科及び麻酔科と連携し、術前、術中・術後を通してのきめ細かな管理と、胸腔鏡手術(VATS)による低侵襲治療を徹底し、合併症リスクの低減に努めています。
この結果、2022年当科における肺癌手術症例の術後平均在院日数は3.4日であり、術前も含めて1週間以内の入院治療が可能です(糖尿病や抗凝固療法中など術前コントロールの必要な症例は除きます)。
10~20代の若年者層が大半を占める自然気胸の手術治療(胸腔鏡下肺部分切除術)においては、術後平均在院日数は2.5日であり、退院後早期の仕事・学業への復帰を可能としています。
縦隔腫瘍に対しても当科では積極的に胸腔鏡手術を行っており、この結果、縦隔腫瘍における術後平均在院日数は2.0日と極めて短期間での退院が可能となりました。
また入院治療においては肺癌、縦隔腫瘍、転移性肺腫瘍、気胸などに対応した疾患別クリニカルパスを導入しており、看護師、薬剤師などのスタッフと連携した治療を心掛け、納得のいく医療、最善の医療を提供できるようスタッフ一同努めております(当科クリニカルパスは病院ホームページにて閲覧可能です)。

心臓血管外科

Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K617-4 下肢静脈瘤血管内焼灼術 等 19 1.53 1.47 0.00 70.58
K5607 大動脈瘤切除術(吻合又は移植を含む。)(腹部大動脈(その他のもの)) 等 13 5.69 14.08 0.00 77.77
K5551 弁置換術 1弁のもの 等 11 11.91 16.27 0.00 69.27
K6001 大動脈バルーンパンピング法(IABP法)(初日) 9 3.00 20.67 11.11 65.89
K5522 冠動脈、大動脈バイパス移植術 2吻合以上のもの 等 8 5.50 12.00 0.00 68.38

当院では主に成人心臓・大血管手術さらに末梢血管疾患に対する治療を行っています。心臓手術では冠動脈バイパス術を中心とし、患者さんの御体に負担が少ない低侵襲治療を心がけています。大動脈瘤手術は大動脈瘤の位置や形態だけでなく、患者さんの年齢や社会的背景を考慮した治療方法の選択を行い良好な成績が得られています。下肢静脈瘤に対する治療としてレーザーを使用し、入院日数を要さず短期間での治療が可能となっています。本治療の唯一の合併症とし神経障害がありますが、当院では術前後で神経機能をチェックするなど、神経障害を予防する取り組みを行っています。

小児外科

Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K6335 ヘルニア手術 鼠径ヘルニア  68 1.00 1.07 0.00 3.25
K836 停留精巣固定術 60 1.00 1.00 0.00 3.20
K6333 ヘルニア手術 臍ヘルニア  46 1.00 1.00 0.00 2.54
K8351 陰嚢水腫手術 鼠径部切開によるもの 29 1.00 1.00 0.00 3.07
K716-22 腹腔鏡下小腸切除術 その他のもの 5 1.00 8.00 0.00 5.60

鼠径(そけい)ヘルニア(脱腸)、陰のう水腫、停留睾丸、臍ヘルニア(でべそ)など小児外科の一般的な手術だけでなく、新生児(赤ちゃんの)外科疾患、呼吸器・消化器・泌尿器外科疾患、悪性腫瘍など幅広い小児疾患が対象となります。また手術の傷が目立たないように腹腔鏡下手術や小切開手術に積極的に取り組んでいます。 最も多い手術は、鼠径ヘルニア(脱腸)で68人です。次いで、停留精巣(60人)、臍ヘルニア(46人)、陰嚢水腫(29人)となっています。小腸切除などはお臍の目立たないような傷で腹腔鏡を使用し行います(腹腔鏡下小腸切除術:5人)。また漏斗胸手術で入れたバーを抜去する手術が5番目となっています(漏斗胸手術 胸骨挙上用固定具抜去術:5人)。

女性診療科・産科

Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K8981 帝王切開術 緊急帝王切開 等 140 2.81 7.26 0.00 34.29
K8982 帝王切開術 選択帝王切開 等 113 3.93 6.83 0.00 35.27
K861 子宮内膜掻爬術 79 0.04 0.10 0.00 41.49
K8882 子宮附属器腫瘍摘出術(両側) 腹腔鏡によるもの 等 61 2.16 3.77 0.00 39.98
K9091イ 流産手術 妊娠11週までの場合 手動真空吸引法によるもの 等 55 0.45 0.82 0.00 34.35

当院ではNICUを拡張した事もあり、母体合併症を有する妊婦の搬送も可能な限り受け入れております。双胎妊娠、高齢妊娠も多く、多数の早産、切迫早産、その他の異常妊娠の管理を行っております。また、放射線科の協力もあり産科危機的出血等に対しても可能な限り対処しております。婦人科領域では、種々の良性腫瘍・類腫瘍疾患を治療し、早期退院を目指しております。また、子宮筋腫、子宮内膜症にに対しての薬物療法、低侵襲手術療法に関しても豊富な経験を有しております。

眼科

Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K2801 硝子体茎顕微鏡下離断術 網膜付着組織を含むもの 等 105 0.08 1.78 0.00 61.10
K2821ロ 水晶体再建術 眼内レンズを挿入する場合 その他のもの 等 66 0.61 1.00 0.00 75.98
K281 増殖性硝子体網膜症手術 12 0.75 2.67 0.00 45.58
K2683 緑内障手術 濾過手術 7 0.00 1.14 0.00 66.00
K2802 硝子体茎顕微鏡下離断術(その他) 等 5 0.00 1.00 0.00 57.80

当科入院では、内眼手術として白内障手術と硝子体手術、外眼手術として眼瞼下垂の手術をメインに施行しています。これらの手術は実績も多く、多数の紹介患者様が来院されています。

耳鼻咽喉科

Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K340-5 内視鏡下鼻・副鼻腔手術III型(選択的(複数洞)副鼻腔手術) 等 66 2.30 3.44 0.00 50.47
K3772 口蓋扁桃手術 摘出 等 37 2.03 7.11 0.00 23.97
K340-6 内視鏡下鼻・副鼻腔手術IV型(汎副鼻腔手術) 31 2.03 2.58 0.00 46.74
K344 経鼻腔的翼突管神経切除術 11 2.09 3.09 0.00 37.36
K347 鼻中隔矯正術 9 1.89 3.56 0.00 55.58

① 当科では、耳、鼻、喉関連の手術を広範囲に毎年行っています。
② 特に鼻関係(内視鏡手術)は様々な様式で実施しています。
③ 以上の手術申し込み等については、近隣の開業医の先生方からの御紹介も多く含まれており、「連携の重要性」もアピールポイントの1つです。
*口蓋扁桃摘出術
成人の繰り返す扁桃炎は、増悪時に発熱や咽頭痛でつらいのみでなく、仕事や学校を休まないといけないなど患者さんの生活の質(QOL)を大きく損ない、このような場合は口蓋扁桃摘出術をお勧めします。また、睡眠時無呼吸の原因が扁桃肥大にある場合は、口蓋扁桃摘出術とともに軟口蓋形成術を行い、のどの空間を広げる手術を行います。特に小児のいびき・無呼吸は、成長に悪影響を及ぼし、寝起きの悪さやイライラなどを引き起こすこともあります。小児の場合、その原因がアデノイドや扁桃の肥大にあることも多く、その場合はアデノイド切除術、口蓋扁桃摘出術により症状の改善が期待できます。早期発見が大切ですので、お子様のいびき・無呼吸にお気づきの場合は一度ご受診をお勧めいたします。

*内視鏡下副鼻腔手術
顔の中の副鼻腔という空洞に、細菌などが貯留している状態を慢性副鼻腔炎(蓄膿症)といいます。副鼻腔は、副鼻腔換気排泄路と呼ばれる狭い交通路を介して鼻腔と連結しており、正常な副鼻腔は空気で充たされています。しかし、換気排泄路がうまく機能せず副鼻腔に空気が入りにくくなると、副鼻腔内に炎症をきたし粘性鼻汁の貯留や鼻茸と呼ばれる炎症性のポリープが発生します。この状態が慢性化したのが慢性副鼻腔炎(蓄膿症)であり、鼻汁、後鼻漏および鼻閉などを生じます。通常、2、3ヶ月の薬物治療を施行して、改善のない場合や鼻茸が多発しており薬剤では改善が見込まれない場合は手術加療となります。内視鏡下鼻副鼻腔手術とは、鼻の内側から内視鏡という約直径4mmのカメラを入れて閉鎖してしまった換気排泄路を開放し、病的な粘膜や鼻茸、貯留物(鼻汁)を除去していきます。なお手術前の画像所見などを参考に、病変の範囲を確認して開放する副鼻腔の数によってⅢ型とⅣ型に分類されます。従来の手術に用いられていた口腔粘膜あるいは前額部皮膚の切開が不要であり、副鼻腔粘膜の大部分が保存されることから、低侵襲で後遺症も少なく、現在副鼻腔炎の手術療法として最も行われている手術です。しかしながら、眼や脳の副損傷という合併症もあり、最近の米国、そしてわが国の報告でも、耳鼻咽喉科における医療事故の中で、副鼻腔手術の合併症がトップに上がっているほどです。そのため、若手医師は積極的に学外の講習会や学会のプログラムなどに参加させ、複雑な手術に対応できるスキルや最新の手術方法を習得し、より安全で低侵襲な手術に取り組んでおります。

*経鼻腔的翼突管神経切除術
アレルギー性鼻炎とは鼻粘膜のアレルギー性疾患であり、発作性反復性のくしゃみ、水溶性の鼻水、鼻閉の3主徴を引き起こします。治療法は原因とされるアレルゲン物質(抗原)の回避が基本ですが、完全に回避する事は困難を極めます。そのため、標準的なアレルゲン回避を行っても症状の改善が得られない場合は、内服点鼻などの一般的な保存的加療、減感作療法(免疫療法)、そして手術加療が行われます。経鼻腔的翼突管神経切除術はアレルギー性鼻炎の手術加療の一つです。この手術はアレルギー性鼻炎における鼻汁分泌の80%を支配する後鼻神経を選択的に切断します。そのため、アレルギー性鼻炎による鼻汁過多に対する治療効果があります。一般的に、この手術はその他の手術(鼻中隔弯曲矯正術や内視鏡下鼻腔手術I型などの鼻閉に対する手術)と同時に行われます。アレルギー性鼻炎は、患者さんの症状及びライフスタイルによって保存的療法及び手術療法などを上手に選択及び組み合わせての加療が必要です。そのため、アレルギー性鼻炎にお困りの際は医師に相談ください。

*鼓室形成術
慢性中耳炎や真珠腫性中耳炎に対する手術です。慢性中耳炎は鼓膜に穴が開いていることにより生じる中耳炎で、難聴や感冒時の耳漏れやめまいを引き起こします。鼓膜の穴を閉じることにより、これらの症状を改善することができます。手術の際は耳の状態によって鼓膜の穴を塞ぐのみでなく、炎症が強い場合は鼓室、乳突洞の清掃を、耳小骨の動きが悪い場合には伝音再建を同時に行います。真珠腫性中耳炎の手術では、真珠腫を確実に取り除くことが重要になります。真珠腫により耳小骨が破壊されている場合は、耳介軟骨を用いて音の伝わりを治します(伝音再建)。また、三半規管や顔面神経、頭蓋底の骨が破壊されている場合には、これらを補強します。

泌尿器科

Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K7811 経尿道的尿路結石除去術 レーザーによるもの 等 53 2.02 2.83 0.00 55.96
K8036イ 膀胱悪性腫瘍手術 経尿道的手術 電解質溶液利用のもの 等 46 2.24 6.11 0.00 75.70
K783-2 経尿道的尿管ステント留置術 44 2.75 8.73 6.82 78.02
K8411 経尿道的前立腺手術 電解質溶液利用のもの 等 35 2.34 5.86 0.00 74.80
K843-4 腹腔鏡下前立腺悪性腫瘍手術(内視鏡手術用支援機器を用いるもの) 18 2.11 9.06 0.00 68.72

内視鏡外科学会腹腔鏡手術認定医を3人擁しており、低侵襲手術の実現を目指しております。2022年8月よりロボット支援前立腺全摘術を導入し、安全かつ良好な成績を得ております。また結石治療における経尿道的手術(TUL)においてはレーザーを用いたflexibleTULにも積極的に取り組み体外衝撃波で困難な難治症例においても良好な成績を得ております。

循環器内科

Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K5951 経皮的カテーテル心筋焼灼術 心房中隔穿刺又は心外膜アプローチを伴うもの 等 113 2.50 2.50 0.00 65.24
K5493 経皮的冠動脈ステント留置術(その他のもの) 等 53 5.38 6.96 1.89 69.40
K5463 経皮的冠動脈形成術 その他のもの 等 40 3.35 4.53 0.00 68.18
K616 四肢の血管拡張術・血栓除去術 31 1.71 3.61 6.45 73.84
K5952 経皮的カテーテル心筋焼灼術 その他のもの 26 2.96 2.50 0.00 54.62

当科では、不整脈に対するカテーテル治療を積極的に行っており、多くの手術件数をこなしております。
また当科は以前より狭心症や心筋梗塞などの虚血性心疾患や、末梢動脈疾患に対するカテーテル治療に注力しており、慢性閉塞性病変や膝下の末梢動脈疾患など難治例の治療も行っています。

腎臓内科

Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K6121イ 末梢動静脈瘻造設術 内シャント造設術 単純なもの 等 27 5.00 5.96 0.00 67.00
K3772 口蓋扁桃手術(摘出)等 10 2.00 12.80 0.00 36.70
K616-41 経皮的シャント拡張術・血栓除去術 初回 等 4 8.25 3.50 25.00 80.25
K635-3 連続携行式腹膜灌流用カテーテル腹腔内留置術 4 1.50 21.75 0.00 70.00
K5462 経皮的冠動脈形成術 不安定狭心症に対するもの 2 6.00 25.00 0.00 66.50

当科の特徴として腎臓内科医が血液透析、腹膜透析に必要となる内シャント造設術、人工血管移植術や腹膜透析カテーテル留置術を行っております。また、導入後のブラッドアクセストラブルに対する経皮的シャント拡張術や血栓除去術、さらに腹膜透析カテーテル整復術も当科で行っております。導入期だけでなく導入後も全て当科で管理することで、より細やかな治療を行うことができます。

救命救急科

Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K386 気管切開術 24 11.71 43.38 33.33 72.50
K145 穿頭脳室ドレナージ術 10 0.40 33.50 60.00 58.10
K164-2 慢性硬膜下血腫穿孔洗浄術 等 8 2.75 33.38 37.50 78.38
K189 脊髄ドレナージ術 7 0.00 54.00 57.14 57.43
K6151 血管塞栓術(頭部、胸腔、腹腔内血管等)(止血術) 6 0.33 6.00 50.00 60.17

・薬物中毒患者の多くは重度の意識障害をともなっており、呼吸循環を集中治療室で慎重に観察し、不測の事態が生ずれば迅速な処置を行う必要がある。中毒原因物質によっては、解毒剤や拮抗薬の投与、血液浄化療法を要する場合が少なからずあり、当施設では特殊な治療薬を準備している。自殺企図者については、意識回復後に精神科診療を必ず行っている。
・高齢者社会の到来により誤嚥性肺炎による呼吸障害患者が増加している。多くの場合は可逆的な呼吸障害なので、抗菌薬投与とともに補助呼吸療法を行い症状の改善を図っている。対象は高齢者が多いことから治療方針については、本人ならびにご家族と慎重に協議しながら治療を進めていく。
・外傷症例の多くは事故現場で受傷部位・程度を判断することは難しく、一定の基準を満たした外傷例は重症と考えて当施設に搬入されて来る。迅速な全身精査の上、緊急手術を含めた必要な処置が行われる。
・病院外心肺停止を含めた不整脈に対して、人工心肺、脳低温療法を含めた積極的な心肺脳蘇生を行っている。循環器内科と救命救急科が連携し、迅速な心臓ペーシングや冠動脈血管内治療が行われている。

消化器内科

Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K7211 内視鏡的大腸ポリープ・粘膜切除術 長径2センチメートル未満 等 310 0.19 1.17 0.00 64.38
K688 内視鏡的胆道ステント留置術 64 2.31 14.45 1.56 74.66
K721-4 早期悪性腫瘍大腸粘膜下層剥離術 43 1.44 5.81 0.00 69.53
K6532 内視鏡的胃、十二指腸ポリープ・粘膜切除術 早期悪性腫瘍胃粘膜下層剥離術 等 35 2.66 5.94 2.86 73.26
K654 内視鏡的消化管止血術 30 1.47 15.03 6.67 72.53

・内視鏡的大腸ポリープ・粘膜切除術
原則的には当科では1泊2日入院で大腸ポリープ切除を実施しております。内視鏡で観察しポリープの大きさや形により適切に内視鏡的に切除を行います。出血などの合併症がないかどうか慎重に評価を行います。

・早期悪性腫瘍大腸粘膜下層剥離術(大腸ESD)
切除対象となる病変は、大腸ポリープのうち 腺腫または粘膜内がんおよび粘膜下層浅層浸潤がんを内視鏡治療の適応としています。病変の大きさについての適応は一般に5mm 以上の病変が切除対象となりますが、当院で使用しているスネアで一括切除できる病変の大きさは20-25mm前後としています。既往症がない患者に対しては,一泊二日の入院で安全に内視鏡的加療を行い帰宅可能としています。一方で、それ以上の大きさの病変に対しては複数回のスネアリングによる分割切除となります。分割切除は一括切除と比較し、遺残再発率が高いため腫瘍径 20mmを指標とし、当院では病変の局在、形態、患者の既往症を考慮し内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)による一括切除を治療法として選択しております。

・内視鏡的胃ポリープ・粘膜切除術(EMR)・早期悪性腫瘍粘膜下層(胃ESD)
ESD は早期胃癌に対する内視鏡治療法として 1990年代半ばから本邦で用いられるようになった治療法です。手技の手法としては、高周波ナイフを用いて病変周囲の粘膜を切開し、さらに粘膜下層を剥離して切除する方法です。従来のEMR 法と比較すると、大きな病変や潰瘍瘢痕を有する病変に対しても一括切除が可能となります。最近では内視鏡治療の適応が、より腫瘍径の大きい病変にも適応が拡大されています。当院ではESD を正確かつ安全に施行するために、経験豊富な専門医による外来検査・診察と入院検査を用いて正確な術前診断を行い、複数のスタッフによる術前カンファレンスを行い、万全をきたすように努めています。

・内視鏡的止血術
胃十二指腸潰瘍、憩室出血、静脈瘤破裂などの消化管出血については随時緊急内視鏡を行っております。その際には豊富な経験を持つ内視鏡専門医を含む複数のスタッフで実施し、出血源の同定や止血を行っております。止血後も慎重に経過を観察し、随時内視鏡でのフォローを行います。

・胆管炎/胆管ステント留置術/経鼻胆管ドレナージ術
急性胆管炎は致死的な疾患であり、初期治療における内視鏡的胆管ドレナージ(胆管内の膿を胆管外に逃がす治療)が重要であるとされています。急性胆管炎、胆道閉塞疾患に対して随時緊急ERCPを施行し、胆道ステント留置術や、経鼻胆管ドレナージ術を行っております。

内視鏡的経鼻胆管ドレナージ(ENBD)
急性胆管炎や閉塞性黄疸に対して行われます。内視鏡下にて胆管への選択的カニュレーション後、ガイドワイヤーテクニックを用いて胆管内に5-7Frのチューブを留置し、経鼻的外瘻ドレナージを完成させる方法です。これにより急性胆管炎や閉塞性黄疸が改善できます。

急性膵炎
急性膵炎の成因の多くはアルコールと胆石です。アルコール膵炎の場合は通常の急性膵炎の治療のみで良いですが、胆石性膵炎の場合は胆管炎を併発することがあり、その場合胆管ドレナージを必要とします。当科では胆石性膵炎に対応することができ、また急性膵炎が重症である場合、救命救急センターと協力して集中治療にあたります。

超音波内視鏡検査(EUS)
内視鏡の先端に超音波(エコー)装置が付属した内視鏡検査です。一般的によく用いられている体表(腹壁)からのエコー検査は、胃内や腸管内の内容物、皮下脂肪、内臓脂肪により画像描出が困難になることがありますが、EUSは観察したい臓器を胃や十二指腸から直接エコーをあてることができるため、より詳細な観察が可能です。食道、胃、十二指腸、大腸、胆嚢、膵臓で用いられ、各臓器の内部や境界、周囲の臓器、血流やリンパ節の情報を得ることができます。 消化管の早期癌や粘膜下腫瘍における浸潤度や深達度診断(病変の局在や粘膜からの深さ)に用いられる検査です。膵臓や胆道疾患の診断では、早期慢性膵炎、慢性膵炎、膵嚢胞性疾患、膵臓癌、胆嚢ポリープや胆石などを胃や十二指腸からエコーをあてることで、観察・評価することができます。

超音波内視鏡下穿刺吸引法(EUS-FNA)
EUSで確認できる腫瘤性病変に針を刺して、細胞や組織を採取する検査法です。エコーで病変を確認しながら穿刺し、吸引することで内部の組織の情報を病理検体として評価できます。一定の大きさがあれば病理診断を行うことができ、確定診断に至ることができます。特に膵臓癌や粘膜下腫瘍、リンパ節に対する穿刺を行います。侵襲的な検査ではありますが、検査自体は静脈麻酔下で行いますので、被験者の体に負担の少ない検査です。

機能性消化管障害(逆流性食道炎、機能性ディスペプシア、慢性便秘、過敏性腸症候群)
器質的な病変が認められないにもかかわらず慢性的な消化器症状を呈する疾患群のことをいいます。日本では、少なくとも人口の約1-2割が胃・十二指腸由来の慢性症状を有しており、その多くは、器質的疾患を認めない機能性疾患であると報告されています。

過敏性腸症候群
腹痛を伴う下痢や便秘などの排便障害を自覚する疾患です。ともに、消化管精査(内視鏡検査、CT検査など)で器質的な病変(癌、胃炎、大腸炎など)が無いことが前提になります。また、機能性消化管障害はoverlapすることが多い(様々な症状が出現する)と言われております。例えば、胃痛やもたれの症状を自覚しながら、下痢や便秘の症状をも認めることがあります。機能性消化管障害は生命への影響がないため、医療機関でも軽視される方向にあります。しかし、患者様にとっては日常生活に直接支障が出るため、生活の質が著しく低下します。労働生産性の低下を引き起こすなど、社会的にも大きな損失を招くという報告もあります。特に当院では消化管機能検査、膵酵素異常に対する超音波内視鏡検査、十二指腸の炎症評価、質問票を用いた心理的背景の評価を行うことで、患者様個々に対して生活指導、栄養指導、薬物治療を行っております。

消化器外科

Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K672-2 腹腔鏡下胆嚢摘出術 155 1.56 4.69 1.94 60.10
K634 腹腔鏡下鼠径ヘルニア手術(両側) 111 1.63 2.69 0.00 67.04
K718-21 腹腔鏡下虫垂切除術 虫垂周囲膿瘍を伴わないもの 等 78 0.42 3.51 0.00 38.72
K719-3 腹腔鏡下結腸悪性腫瘍切除術 58 3.22 11.86 6.90 72.28
K7211 内視鏡的大腸ポリープ・粘膜切除術 長径2センチメートル未満 等 56 0.73 1.59 1.79 72.21

1番目は胆石症に対する腹腔鏡手術で、胆嚢に炎症が無い、または軽度の場合には外来で術前検査を行いあらためて待機手術を行いますが、なかには急性胆嚢炎と呼ばれる緊急処置を必要とする状態で来院される患者さんも少なくなく、この場合には診療ガイド ラインに従って発症後72時間以内に速やかに手術を行います 。
2番目は鼠径ヘルニア、いわゆる「脱腸」に対する手術で、当科では基本的にすべての鼠径部ヘルニア手術を腹腔鏡手術で行っています。腹腔鏡手術は疼痛の少なさや手術創の整容性に優れているのみならず、複数のヘルニア(対側のヘルニアや大腿ヘルニアの合併など)が併存する場合にも見落とすことなく同時に治療が完了するというメリットがあります。術後の再発率は1%以下でこの点でも従来法より優れています。平均在院日数は3日間で以前より著しく短縮し、早期の社会復帰が可能となりました 。
3番目は虫垂炎(俗にいう盲腸炎)に対する手術です 。従来は右下腹部を4 – 6cm 切開して小開腹で手術(虫垂切除術 )を行っていました が、ときに炎症が強かったり、肥満例では視野が悪く手術が困難で手術創感染などの合併症をきたすこともありました。当科ではこの虫垂炎に対してもすべて腹腔鏡を用いて、良好な視野で、小さな手術創で治療を行なっています。
4番目は大腸ポリープに対する内視鏡治療の数を示しています。当科では年間2500例の大腸内視鏡検査を行っており、大腸ポリープも多く見つかります。大腸ポリープのなかには早期癌も含まれており、拡大 内視鏡やNBI (Narrow Band Imaging : 狭帯域光法)と呼ばれる最新技術で正確な診断を行い、最適な治療を提供するよう努めています。
5番目は結腸(大腸のうち肛門に近い直腸を除いた部分)の癌症例です 。当科ではこのほとんどを腹腔鏡で手術しており、これにより術後の回復が早く、在院日数は全国平均を下回っています。

乳腺外科

Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K4762 乳腺悪性腫瘍手術 乳房部分切除術(腋窩部郭清を伴わないもの)  等 100 1.80 5.51 0.00 54.31
K4763 乳腺悪性腫瘍手術 乳房切除術(腋窩部郭清を伴わないもの) 等 45 1.89 9.62 0.00 59.60
K4765 乳腺悪性腫瘍手術 乳房切除術(腋窩鎖骨下部郭清を伴うもの)・胸筋切除を併施しないもの 等 13 1.85 10.54 0.00 55.69
K4742 乳腺腫瘍摘出術 長径5センチメートル以上 等 12 4.92 5.83 0.00 44.50
K4741 乳腺腫瘍摘出術 長径5センチメートル未満 等 11 1.18 2.00 0.00 42.36

外科治療は乳房の手術とリンパ節の手術となります。当院では乳房における癌の広がりを精密に調べて的確に切除することを心がけています。乳房を温存する乳房部分切除、乳房切除と形成外科と連携した乳房再建、乳頭温存乳房切除など患者さんの意向を尊重して術式を選択しています。特に乳房部分切除の場合、癌の範囲と切除すべき範囲を湿す模型を患者ごとに作製し、それを元に完全に癌を取り除くことを目指しています。また、切除後凹みができないように工夫を行っています。また、リンパ節の手術では腋窩郭清が必要な症例を除き、注射の痛みを伴わないインドシアニングリーン蛍光法によるセンチネルリンパ節生検で適正な個数のリンパ節を検査します。また、リンパ浮腫の原因となる腋窩郭清の省略にも取り組んでいます。

内分泌外科

Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K4611 甲状腺部分切除術、甲状腺腫摘出術 片葉のみの場合 6 2.00 4.00 0.00 64.83
K4631 甲状腺悪性腫瘍手術 切除(頸部外側区域郭清を伴わないもの) 3 2.00 4.00 0.00 60.33
K462 バセドウ甲状腺全摘(亜全摘)術(両葉) 3 2.67 11.67 0.00 41.33
K4634 甲状腺悪性腫瘍手術 全摘及び亜全摘(片側頸部外側区域郭清を伴うもの) 1 2.00 4.00 0.00 69.00
K4633 甲状腺悪性腫瘍手術 全摘及び亜全摘(頸部外側区域郭清を伴わないもの) 1 2.00 4.00 0.00 40.00

甲状腺悪性腫瘍に対しては術前診断に基づき「甲状腺片葉切除術、気管周囲リンパ節郭清術」から「甲状腺全摘除術、両側外側リンパ節に到る郭清術」まで適宜施行している。
細胞診まで施行しても術前診断不能である「濾胞癌」を疑う症例については手術の必要性を丁寧に説明し納得いただいたうえで確定診断、術後治療方針決定を目的とする甲状腺片葉切除術を施行している。
気道を圧迫したり、美容上目立つ大きな結節性甲状腺腫には各々必要に応じて甲状腺片葉切除術から甲状腺亜全摘除術を施行している。
手術適応のバセドウ病に対しては内分泌内科との連携のもと、甲状腺亜全摘除術・甲状腺全摘除術を施行している。
原発性副甲状腺機能亢進症では,極力術前に責任病変の局在を明確にした後、focused approachで1時間程度の手術を施行している。
続発性(腎性)副甲状腺機能亢進症についても内科と連携のうえ「副甲状腺全摘除術、副甲状腺自家移植術」を2時間程度で施行している。
いずれの手術も基本的に2名の内分泌甲状腺外科専門医により手術を施行し,血管シーリング装置等のディバイスを用い,少量出血,短時間の低侵襲で合併症の少ない手術を心がけている。
適応症例に対しては、充分なICのもと、VANS法による「内視鏡下甲状腺手術」を施行している。
上記の手術はいずれも入院前外来から入院中、術前・術中・術後を通して専用のクリニカルパスを用いて診療している。

その他(DIC、敗血症、その他の真菌症および手術・術後の合併症の発生率)

DPC 傷病名 入院契機 症例数 発生率
130100 播種性血管内凝固症候群 同一 5 0.05
異なる 29 0.28
180010 敗血症 同一 35 0.34
異なる 73 0.70
180035 その他の真菌感染症 同一 - -
異なる - -
180040 手術・処置等の合併症 同一 23 0.22
異なる 1 0.01

・救命救急科には外傷や消化管出血などによる出血性ショック症例が多く搬入され治療を行っている。また、心肺停止症例や敗血症といった重篤な症状を呈する症例も多い。これらの症例は救命できても多臓器不全を呈することが少なくなく、特に播種性血管内凝固症候群を合併し、血液凝固障害を呈する例は高頻度に認められる。
・救急患者の高齢化に伴い、肺炎や尿路感染といった感染症により救急搬送されて来る症例は増加している。重症感染症の中には臓器障害が進行している敗血症症例も少なくない。感染治療とともに臓器補助を含めた集中治療を行い救命している。

更新履歴

2023年09月29日