分野 (教室) の概要
日本医科大学 心臓血管外科学教室では、常に最新の研究内容を共有するために毎週Journal club (抄読会)を行っています。現在、学位研究を行っている大学院生や臨床研究・基礎研究を行っている医師は、2-3か月ごとに研究の進捗状況をResearch meetingにて発表しています。
その成果を積極的に国内外の心臓血管外科の学会だけでなく、循環器内科との合同学会にも発表し、論文として投稿しています。心臓血管外科の研究分野は多岐に渡ります。
様々な分野に関する研究内容は以下の通りです。
冠動脈バイパス術は、オフポンプ冠動脈バイパス術を積極的に施行しています。さらに川崎病に対する小児に対する冠動脈バイパス術も行っています。術後に単にグラフト造影を行って、開存率を調べるのではなく、負荷をかけた上での心筋血流、代謝を調べることで虚血改善の長期成績を検討するなど、国内外で高く評価されています。
僧帽弁に対する弁形成術を初期より積極的に行ってきました。現在では器質的僧帽弁閉鎖不全症に対する形成術の術式は定型的になってきました。しかし、機能的僧帽弁閉鎖不全症に対しての治療方針は、まだ定型的ではなく、検討を要することが多いです。僧帽弁だけでなく大動脈弁形成についても研究を行っています。循環器内科と合同で弁膜症カンファレンスを毎週施行しています。手術前、手術中、手術直後・遠隔期の状態を客観的に観察することで、弁膜症疾患を詳細に把握し、至適な術式を追究しています。さらにMICSといわれる低侵襲手術も僧帽弁、大動脈弁に対して積極的に行っており、その効果を研究しています。
心房細動手術の研究を主に行っています。心房細動手術であるMaze手術を開発した米国ワシントン大学に約40年に渡り、留学生を派遣して開発に関わってきました。その成果は高く国内外で評価され、トップリーダーとして発信して来ました。心房細動の原因を究明するために、基礎研究・臨床研究を通して心房細動中の心房の興奮伝播をマッピングし、外科治療の効果を研究しています。循環器内科とも不整脈カンファレンスを行いながら、一緒に治療方針を検討しています。
人工心臓、経皮的人工心肺を使用して、重症心不全に対する治療を行っています。心臓移植は全ての患者さんが受けることができる治療方法ではありません。このため人工心臓による一時的な使用、もしくは長期的な治療が望まれます。さらに、心臓リハビリについて、術後早期から心臓リハビリを開始するべく、循環器内科、心臓リハビリ室、理学療法士と合同カンファレンスを毎週行っております。術後早期からの心臓リハビリの効果を研究しています。
胸部大動脈瘤、腹部大動脈瘤や急性大動脈解離に対して放射線科、心臓血管集中治療科とともに毎週、または緊急にカンファレンスを行いながら治療方針を決めています。外科手術とともにステントグラフトを用いた血管内治療を放射線科と合同で行い、その効果を研究しています。
末梢血管治療に対して放射線科、循環器内科とともに毎週、カンファレンスを行いながら治療方針を決めています。外科手術とともにステントを用いた血管内治療を放射線科、循環器内科と合同で行い、その効果を研究しています。下肢静脈瘤に関する治療もカンファレンスで議論しながら治療方針を決めています。
小児心臓血管外科分野においては、産院と協力して胎児診断の上、出生後早期の治療介入や姑息的手術、根治手術を適正な時期に行うように小児科、麻酔科、臨床工学士、看護師と一緒にカンファレンスを行っています。研究においては未熟な脳神経に対して至適人工心肺の使用についての研究や体肺動脈短絡手術における computational fluid dynamics を用いた血流動態の研究などを行っています。
基礎研究を分子細胞構造学教室、病理学教室などの基礎医学教室、先端医学研究所、循環器内科、放射線科、病理学教室と共同の上、基礎研究を行っています。