統御機構診断病理学

  • 膵臓癌における癌幹細胞マーカー、増殖因子の発現:癌幹細胞マーカーとFGFなどの増殖因子が、膵癌の前癌病変や癌細胞胞巣内に発現することを見出し、その意義について検討している。
  • 大腸癌のプロテオーム解析を用いた新規バイオマーカー検索:手術症例のホルマリン固定パラフィン包埋 (FFPE) 組織から腫瘍部と非腫瘍部の質量分析によるタンパク質発現を網羅的に解析した。腫瘍部では非癌部と比べ、有意に発現が亢進、または、低下するタンパク質を同定し、数種のタンパク質に関しては、培養細胞を用いバイオマーカーとしての有用性について検討している。
  • 肝癌における蛋白解析と分子病態の解明:肝癌の切除標本から蛋白質を抽出し、網羅的な蛋白質の発現解析を行い、腫瘍増殖に関連する分子を同定した。現在、この分子が治療標的となるのか、詳しい分子病態を明らかにするとともに、治療標的としての有用性を検討している。
  • 胃癌の病態関連分子の解析:胃癌の切除標本から抽出した蛋白質を網羅的に解析し、癌の発生に関わる分子や、悪性病態に関わる分子を同定するとともに、胃癌の進展を抑制する新たな治療標的の創出を目指している。
  • 神経内分泌腫瘍の分子病態解析:神経内分泌腫瘍は、腫瘍細胞の増殖ばかりでなくホルモン分泌機能を有する腫瘍である。現在、腫瘍細胞の増殖メカニズムは明らかになっておらず、増殖に関連する分子の同定と培養細胞を用いた実験的治療を目指して検討を進めている。
  • 卵巣癌のプロテオーム解析を用いた新規バイオマーカー検索:卵巣癌組織の蛋白質を網羅的に解析し、癌の発生や治療抵抗性に関わる分子の同定を進めている。特に予後不良の明細胞癌に関し、早期発見や癌の進展を抑制する可能性のある分子を同定した。さらに、臨床応用をめざした検討を進めている。
  • 皮膚腫瘍の診断マーカーの検索:皮膚腫瘍で蛋白質の発現解析を行い、鑑別診断や、その分子の機能につき組織標本および培養細胞を用いて検討している。