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炎症性腸疾患(IBD)について

 炎症性腸疾患(Inflammatory Bowel Disease; IBD)は潰瘍性大腸炎とクローン病に分類されます。どちらも腸に慢性に炎症が起きる病気で原因がわかっておらず難病に指定されています。日本の患者数は増加傾向で潰瘍性大腸炎22万人、クローン病7万人以上いると推定されています。20~30歳代に発症することが多く就学、就労などへの影響も大きい疾患です。現在当院では潰瘍性大腸炎(UC)の方が約350名、クローン病(CD)の方が約100名、診療を受けています。

IBD潰瘍性大腸炎

IBDクローン病

 UCの治療は、基本的には手術によらない治療(内科的治療)で炎症を抑えることを目指します。内科的治療では、内服薬、坐薬、注腸薬、注射薬(点滴、皮下注射)などがあり、また血球成分除去療法という血液ろ過による治療方法もあります。
 現在、使用されている薬剤は以下の種類に分類されます。これらを組み合わせながら使用します。

      1. 5-アミノサリチル酸製剤:ペンタサ®、アサコール®、リアルダ®など
      2. 副腎皮質ステロイド:プレドニン®、レクタブル®など
      3. 免疫調節薬:イムラン®、ロイケリン®など
      4. 免疫抑制薬:プログラフ®など
      5. 抗TNF-α抗体製剤:レミケード®、ヒュミラ®、シンポニー®
      6. 抗インテグリン製剤:エンタイビオ®、カログラ®
      7. 抗IL12/23p40抗体製剤:ステラーラ®
      8. 抗IL23p19抗体製剤:オンボー®、スキリージ®
      9. JAK阻害薬:ゼルヤンツ®、ジセレカ®、リンヴォック®
      10. 血球成分除去療法としては、顆粒球除去療法(GCAP; アダカラム®)、白血球除去療法(LCAP; セルソーバE®)があります。

IBDについて1

IBDについて2

IBDについて3

 上記のような薬物療法を行っても、症状が改善せず、悪化した場合や症状が改善しない場合、十分な治療を行っても生活の質が低下した状態が続く場合などには、手術によって大腸を切除する場合があります。大量の出血、大腸の穿孔(大腸の壁が破れる)、巨大結腸症(大腸の壁が薄くなり、風船のように膨れる)などの場合は生命に関わる状態ですので、緊急で手術を行います。そのほか、発症してからおおよそ8年以上経過した方では大腸がんやその前がん病変が生じる場合があり、この場合も大腸を切除する手術が必要となります。

 CDの治療は内科治療(薬物治療や栄養療法)と外科治療(手術)があります。内科治療が主体となり、薬物治療として、5-ASA製剤が最初の治療選択肢として広く用いられています。また、栄養療法として経腸栄養(刺激が少なく、脂肪分の少ない栄養剤の内服)が行われます。5-ASA製剤や栄養療法にて症状改善ができない場合には副腎皮質ステロイドの投与を検討します。さらに、再燃予防のためには免疫調節薬(アザチオプリン[イムラン®など])も用いられます。これらの治療で十分な効果が得られない場合には、下記のような生物製剤(特定のタンパク質に向けた抗体)の使用が検討されます。

IBDについて4

IBDについて5

    1. 抗TNF-α抗体製剤:レミケード®、ヒュミラ®
    2. 抗IL-12/23p40抗体製剤:ステラーラ®
    3. 抗α4β7インテグリン抗体製剤:エンタイビオ®
    4. 抗IL23p19抗体製剤:スキリージ®
    5. JAK阻害薬:リンヴォック®

 腸管が狭窄した場合は(特に小腸狭窄)、本院と連携し、バルーン内視鏡を用いてバルーン拡張術を積極的に行い、外科手術をなるべく回避できるように工夫しています。
 しかし、内視鏡的に拡張が困難な場合や腸閉塞に至った場合は、信頼できる外科医と連携し、最小限の手術で、腸管の機能を少しでも温存できるような手術を行います。術後は再手術を回避できるよう内科治療の強化や見直しを行っています。そのほか穿孔・瘻孔、腹腔内の膿瘍などの合併症が発生した際にも外科治療が必要となります。

IBDについて6

IBD診療で心がけていること

 潰瘍性大腸炎やクローン病は慢性の病気です。患者さんには病気のことや治療内容をわかりやすく説明すること心がけています。
 また、IBDは長期にわたり付き合っていかなければならない疾患ですので、目先の症状改善だけでなく、10年後、20年後を見据えた治療計画を患者さんと相談していきます。受験や就職、結婚や出産など一人一人の社会的背景まで考えて治療していくことが重要です。私たち医師は皆さんが少しでも快適に不安なく過ごせるような治療を目指しています。長期に診療を継続していくには、患者さんと主治医の信頼関係が大事だと考えていますので、その信頼に足るように努力しています。

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