東京科学大学
日本医科大学
東京科学大学(Science Tokyo)* 総合研究院 難治疾患研究所の樗木俊聡教授と日本医科大学 佐藤卓教授(研究当時:東京医科歯科大学 難治疾患研究所 准教授)らの研究チームは、自治医科大学、慶應大学、東京理科大学との共同研究により、多症例の舌がん患者から独自の方法で舌がんオルガノイドライブラリー(用語1)を樹立しました。このライブラリーの詳細な解析により、数症例の化学療法剤抵抗性オルガノイド株が含まれており、化学療法剤抵抗性の原因がオートファジー(用語2)とコレステロール合成(用語3)の亢進によることが明らかになりました。
舌がんは、口腔癌の中で最も発生頻度が高く、悪性度が高いがんです。治療の第一選択は手術であり、再発や転移の可能性が高い場合には術後に化学放射線療法が行われます。しかし、再発率が高く、外科的切除後には患者のQOL(用語4)(食事、嚥下、発音能力、美的外観など)が大幅に低下するため、治療抵抗性舌がんに対する新しい治療法の開発が求められています。
これまで、ヒトの前臨床がんモデルとしてがん細胞株が広く用いられてきましたが、個別化医療(用語5)の実現に必要な患者間での腫瘍特性の違い(不均一性)を再現することは困難でした。これらの課題を克服するために、舌がん患者ごとのオルガノイドを樹立し、再発の原因になる微小残存病変(用語6)における化学療法剤抵抗性メカニズムを明らかにしました。
今後さらに研究が進むことで、化学療法抵抗性舌がんに対する効果的な新規薬剤の標的やバイオマーカー(用語7)の発見につながることが期待されます。本成果は、11月5日付(米国東部時間午前11時)に「Developmental Cell」誌へオンライン掲載される予定です。
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