第5~6学年 臨床医学(臨床実習)

臨床実習

内科学
(循環器・肝臓・老年・総合病態部門)
実 習 計 画
BSLは診療参加型実習(クリニカル・クラークシップ)を含めた5週コースと、多疾患の学習を目的とする2週コースに分割される。5週コースは千駄木付属病院で、2週コースは千駄木付属病院、多摩永山病院、武蔵小杉病院および北総病院で実施する。また、医局で行われる週間の行事には総て参加するものとする。BSL実習では、自主的かつ能動的に、POS(problem oriented system)の理念に革づいた問題解決型の思考能力の習得を目指す。

5週コース
本コースはクリニカル・クラークシップも含めたコースであるので、専任の病棟指導医の管理下に、原則として新規入院患者を受け持ち POS に基づいて POMR を作成(基礎データ、問題リスト、初期計画、診断的計画、治療的計画、教育的計画および経過記録など)し、その最終経過記録までの総ての行程を実地に学習する。また、各週末に病棟長の POMR の監査を受けるものとする。担当する患者における検査、治療などには介助あるいは見学の形で参加し、その目的、方法、結果の分析、評価などを自ら積極的に学習するものとする。なお、教授・准教授の病棟回診では自らが担当した症例のプレゼンテーションやディスカッションを行う。疾患領域は主に循環器系、肝疾患を中心とした消化器系、糖尿病を中心とした代謝性疾患および一般内科である。

各疾患領域に於ける検査や治療は多岐にわたるために、担当患者以外でも特徴的な検査や治療については自ら積極的に機会を得て、介助あるいは見学する形で参加する。各疾患領域に於ける重要な検査や治療(スケジュールに挙げた重点項目)について、講師との対話形式でミニ・カンファレンスを行う。第一内科で行われる朝カンファレンス、教授、准教授の病棟回診、症例カンファレンス(CC)および月に一度の臨床一病理カンファレンス(CPC)などには総て参加する。

2週コース
本コースは多種類の疾患を経験することを目的とするために、病棟指導医の担当する患者の総てを受け持つこととする。担当指導医に密着し患者および患者の家族との接触、診察、検査、治療に積極的に参加する。病歴の理解、検査および治療などの総てを診療記録と検査成績を中心に理解する。不足部分については指導医との議論を通して理解を深める。教授・准教授の病棟回診では、積極的に自らが参加し、病棟指導医と相談のうえ特定の症例についてプレゼンテーションやディスカッションを行う。疾患領域に特徴的な検査や治療(重点項目)についての学習は5週コースと同様にミニ・カンファレンスの形で行う。
内科学
(神経・腎臓・膠原病リウマチ部門)
実 習 計 画

5週コースでは、神経内科および腎臓内科各領域の受け持ち患者を各1名担当し、専任指導についた病棟担当医1名の指導下に、入院に際して病歴聴取に始まり、基本的な身体所見の取り方、問題リストの作成、検査・治療計画の作成などを実際に行う。

神経内科領域では、受け持ち患者に限らず、積極的に病棟で実際に行う各種検査(腰椎穿刺、頸動脈超音波検査、脳血管撮影、神経伝導検査・針筋電図、神経筋生検など)に立ち会い、可能な限り介助に参加し、検査の実際を習得する。

同様に腎臓内科領域でも、腎生検、内シャント術作成、腹部超音波検査に参加し、検査法の習得に心がけ、検査結果の解析・判断の流れについて担当医から指導を受ける。これらの検査結果をもとに具体的な治療計画を指導医とともに立案し、実際の遂行に立ち会い、結果を評価する。特に腎不全では血液浄化法(血液透析、CAPD)試行の実際に立ち会い、内容を理解する。

5週間では、コース開始時から受け持った患者の退院時までを可能な限りフォローし、当初立てた検査・治療計画の内容を退院時に改めて評価し、退院後の指導についても指導医とともにあたり、入院から退院までの一連の流れを完全に理解する。加えて、神経内科および腎臓内科領域について、系統講義とは異なる実際の患者や検査機器、生検プレパラート・スライドなどを利用しての領域別講義を行う。

これらの講義は単に聴講する内容ではなく、各時間に学生がマスターすべき課題・目標を設定し、質疑応答を行うことで理解を高め、講義終了時にはこの内容が遂行されたかどうかを必ずチェックするシステムをとる。

2週コースでは、持ち患者は神経内科または腎臓内科のいずれか一方の領域患者の受け持ちとなり、5週コース同様に専任指導についた病棟担当医1名の指導下に、病歴聴取、基本的な身体所見の取り方、問題リストの作成、検査・治療計画の作成などを実際に行う。5週コースで設けられた学生参加形式の講義のうち、重点領域は2週コースでも行われ、知識の確実な把握をチェックする。
内科学
(血液・消化器・内分泌代謝部門)
実 習 計 画
・当科での実習は米国クリニカルクラークシップ制に準じ、体験型の実習を実施する。
・学生は血液内科、消化器内科、内分泌代謝内科のいずれか一つの診療グループに配属する。
・指導医が選定した入院症例を主治医と伴に受持ちし、患者診療の前線を経験することで医療に係わる人間としての倫理観、マナーを取得すると伴に、診療情報の取得、解析、診察手技、診療計画立案、診療録記載を経験し、患者診療に必要な技能を研修する。
・また配属された診療グループの担当する症例を含めて病棟・外来診療、グループディスカッションに参加し、当該診療領域の知識を研鑽する。

5週コース
当科では5週間の実習を前半3週間、後半2週間の2ステージに分けて実習を行う。学生は希望により選択した血液内科・消化器内科・内分泌代謝内科のいずれか一つの診療科に配属される。前半3週間、後半2週間で診療科を変えることで、複数の診療科に関する経験を積むことができる。

前半3週間:
クリニカル・クラークシップ重点コースグループ診療参加、担当症例の診療、診療録記載経験を通じて医師としての倫理観、マナー、医療に参加する人間としての姿勢を確立することに重点を置いて実習を行う。もちろん配属診療科における知識の研鑽に努める。グループディスカッション、回診にあっては誤りを恐れず、積極的に討議に参加することが求められる。

後半2週間:
専門領域コース クリニカル・クラークシップ重点コース同様にグループ配属の上、当該領域の知識研鑽に努める。本コース内では学生自身、グループが担当する症例の診療に加え、当該領域で行われている検査、治療手技の参加、ミニレクチャーを通じて当該領域における知識、技能の研鑽に努める。

2週コース
5週コース後半の2週間コースプログラムに準拠する。
内科学
(呼吸器・感染・腫瘍部門)
実 習 計 画
当科の病棟診療では、1びまん性肺疾患・聞質性肺炎および慢性閉塞性肺疾患・呼吸不全、2肺悪性腫瘍の2つの専門分野に分かれグループ診療を行っている。各グループは、各分野の専門医および専修医、研修医により構成されており、臨床実習生は、各グループに配属され、主治医グループのひとりとして診療に携わり臨床を実地に経験する。ただし、受け持ち患者に限らず、他分野の患者の診療にも積極的に参加し、幅広い臨床経験を積むように心掛ける。

病棟実習に加え、総回診、グループ回診、カンファレンスに参加し、多くの症例を検討する機会を持つ。Group learningでは、講師からの講義を受けるとともに、当該疾患について討論を行い、疾患の概念、病態、診断、治療を理解し、知識を整理する。毎週末には指導医と共に到達度の評価を行い、実習終了時には、受け持ち患者についてプレゼンテーションし、全員で討論するとともに、各症例についてまとめたレポートを提出する。

5週コースでは、一般内科で要求される知識、技能の習得に加え、呼吸器疾患、感染症についての専門的な医療に参加し、専門的知識の向上に努める。

2週コースでは、呼吸器疾患、感染症についての専門的な知識、技能の習得に努める。

一般内科における基本的診療として、適切な医療面接、問診を行い、系統的な全身の診察を行うとともに的確に身体所見を記録する。プロブレム・リストを作成し、検査計画の策定とその評価を行い、 患者の病態に基づいた治療方針を決定する。血液検査、生理機能検査(心電図、肺機能検査)、画像診断など基本的な検査所見を解析、評価し、患者の病態を理解するとともに、鑑別診断、治療方針を決定する。インフォームドコンセントを理解する。 呼吸器疾患、感染症については、胸部単純 X 線・CT 写真の基本的読影を習得し、動脈血ガス分析、 肺機能検査を解析・評価し病態を理解する。グラム染色標本や細胞診標本を観察し、解析・評価する。

病棟では、胸腔穿刺、胸腔ドレナージ、気管支鏡検査、気管支肺胞洗浄液検査、経皮肺生検、睡眠ポリソムノグラフィを見学し、実際の検査を経験する。呼吸器疾患、感染症の基本的薬物療法を理解するとともに、特殊治療法(癌化学療法、酸素療法、人工呼吸管理、在宅酸素療法、非侵襲的陽圧呼吸療法)の適応、管理を理解する。癌性疼痛の管理、緩和医療を理解する。
外科学
(消化器・一般・乳腺・移植部門)
実 習 計 画
外科(消化器・一般・乳腺・移植部門)で経験する疾患は、食道から肛門までの消化器の癌、胆石や消化性潰瘍などの良性疾患、大腸炎症性疾患、食道静脈瘤の手術的、内視鏡的治療、さらに乳腺疾患など多岐におよんでいる。この中で、代表的疾患における診断と治療、腹部救急疾患の診断と治療、 外科手術における術前検査と術後管理の要点を研修する。

病棟実習として、診療チームに所属し、一般外科・消化器外科疾患について受け持ち患者を担当する。カンファレンス、回診、術前・術後管理に参加し、外科の病棟における診断・治療計画の作製を実際に行う。さらに、基本手技(vital sign のチェック、消毒・縫合・抜糸もふくめた創処置、動脈採血、胃管留置、胸部腹部ドレナージ、中心静脈カテーテル留置など)に立会い、可能な限り参加する。

検査手技(上部・下部消化管内視鏡、腹部・乳腺超音波検査、消化管造影検査など)に参加し検査法の習得に心がけ、各種画像の読影・判断の流れについて理解する。内視鏡や lVR を用いた治療手技、例えば食道静脈瘤に対する EIS、EVL などの治療、通過障害に対するドレナージ手技(イレウス管、PTCD、各種ステント留置、内視鏡的胃瘻造設など)について見学・介助に参加し、内容を理解する。

手術実習として、手術に実際に助手として参加し、実技を習得する。消毒・滅菌の知識に基づいて、手洗い、ガウン装着を行う。手術患者の病態を把握し、術式を十分に検討する。この間、与えられた課題について、その検索方法、まとめ方、発表方法を学ぶ。第3週コースでは試験を行う。
外科学
(内分泌・心臓血管・呼吸器部門)
実 習 計 画
外科学は心臓・血管外科、呼吸器外科、内分泌外科(甲状腺、副甲状腺、副腎、乳腺)の三部門で構成されている。各部門に1週間前後の実習期間をあてる。

また、内分泌外科の実習は付属病院にて施行される。心臓・血管外科、呼吸器外科の実習は付属病院、武蔵小杉病院、千葉北総病院で施行される。臨床実習は各専門分野より指導医がつき各1名の担当患者を受け持つ。病歴聴取、プレゼンテーション、術前管理と手術準備、手術介助、術後管理を経験する。

この課程で外科的治療の適応、外科的解剖と診断、術式の検討、周術期の病態生理を理解する。指導医は疾患と患者の身体的状況、手術侵襲から予測される術後合併症の検討を行わせ、その対策についてもシュミレーションさせるよう指導する。 各部門での検査に立ち会う。心臓カテーテル検査、血管造影検査、超音波検査、気管支鏡検査、生検に参加し検査前・検査後の処置、検査結果の診断評価を実習する。

各部門での講義、カンファランスに参加する。講師が設定したテーマに沿って自由な質疑応答がなされる。これらの講義ではマスターすべき目標を定め、目標が達成されたかどうかを評価し欠点を実習中に補うようにしてゆく。
脳神経外科学 実 習 計 画
実習目標:
1)代表的な脳神経外科疾患の病態・検査・診断・手術法・術前術後管理を習得する。 2)脳神経外科分野における最新のトピックスを学ぶ。

実習概要:
BSL 一人ずつにチューター(講師担当)がつき、検査・診断・手術・レポート作成の指導にあたる。 BSL はチューターから指示された1名の患者を2週間担当し、「ケースレポート」を提出する。 またBSL は、各チューターがグループリーダーを務める病棟の主治医グループに所属し、グループを構成する脳神経外科専門医・レジデント・研修医と共に各グループの全患者の検査・手術・術前術後管理にあたる。学生は全ての教室カンファレンスに出席する。 BSL の知識の習得に偏りが生じないように、Croup Learning(GL)を施行する。 各GL は講義形式ではなく、学生参加型の工夫がなされている。 更に、脳神経外科に関する最新の話題と学生に、各1テーマずつ割り当て、各自図書館等で研究・ 調査させる。この内容を2週間末に総合討論する。 2週間の実習で実習目標の達成を目指す。
麻酔科学 麻酔科学実習では、手術時の麻酔管理を中心にして、(1) 患者の状態の評価、(2) 心肺機能危機時の蘇生法、(3) 重要臓器の機能維持法、(4) 外科的侵襲と生体反応の把握、(5) 侵害刺激の統御法を学習し、理解する。また、臨床麻酔の応用としてのペインクリニック、外科系集中治療、緩和ケアの実際を経験する。
産婦人科学 実 習 計 画
3週間を産科・婦人科に分けてローテーションを行う。産科・婦人科とも、専任指導医の下で病歴聴取、身体所見の撮り方、内診所見の解釈を学ぶ。問題リスト、検査、治療計画の策定などを行う。 産科では分娩、産科手技の見学、新生児診察の実際を学ぶ。生殖医学では体外受精・胚移植の実際を見学する。婦人科では、手術に積極的に参画し、助手として手術の実際を経験する。術前術後管理を学ぶ。 カンファレンス・回診では症例のプレゼンテーションを行う。また、実習終了時にレポートを提出し、評価を受ける。

多摩永山病院
1)3週間、産科・婦人科を分けずに同時に実習を行う。
2)病棟チームに配属され、指導医(上級医)と共に約10人程度の患者を受け持つ。入院に際して婦人科固有の病歴聴取・身体所見(内診・超音波所見)の取り方と解釈、診断と治療計画の立て方を学ぶ。担当症例1例についてカンファランスで発表し、考察と共に提出する。
3)手術(平均週12件ある)や分娩および産褥管理(平均週18件ある)の現場に参加する。機会があれば母体搬送の現場を見る。
4)週2回の回診で数多くの疾患に接する。共に週1回の抄読会で勉強会・小児科合同カンファランス・学会予演討議などに参加する。
小児科学 実 習 計 画
患児、家族への医師としての適切な対応と小児の健全育成の理解ができるようになるために、基本的診療態度および小児の代表的な疾患についての知識と問題解決能力を習得する。 入院患児および外来受診患児において BSL 学生は、指導医のもとで一緒に
1)患児と家族に対する適切な配慮した病歴と身体所見のとり方 、
2)患児の有する問題点の把握 、
3)診断へのアプローチ(病歴と身体所見による病態の理解、検査の適切な選択、検査所見の判断、それらに基づく鑑別診断)、
4)診断、治療、管理、
5)親子の心理関係や家族環境などの配慮と疾患予防の指導、
6)シュミレーター機器を用いて小児の蘇生、救助を学ぶ。 などの系統だった体験学習を行う。
放射線医学 実 習 計 画
(1) 実習を通じて、臨床に応用できる放射線診断学および治療学を身につける。
(2) 各種画像診断の現場での医師、技師、看護師の業務を見学し、その内容を「患者に説明できる」程度まで理解する。
(3) 実際の臨床画像を元に、画像診断に必要とされる各部位の画像解剖を理解する。
(4) 腫瘍の画像診断を概説できる。
(5) 腫瘍の放射線療法を概説できる。
(6) 胸部単純写真の系統的読影ができる。
(7) 放射線や放射線以外の電磁波などの医学への応用について理解する。
精神医学 実 習 計 画
精神科の診察と診断、検査、治療の実際にふれ、医学生として必要な事項を習得し、更には臨床現場を体験することで、精神医学への理解を深める。社会的ニーズを認識の下、将来の専門性に関わらず、特に頻度の多い、統合失調症、気分障害、認知症、不安障害については、基本的な知識の整理にとどまらず、症状把握、初期治療、面接法、治療計画について理解を深め、プライマリーケアーの基本的な診療態度を身につける。また面接手技を学び、医療面接の基本的コミュニケーションや精神症状に関連した情報の収集を出来るようにする。

外来実習:
医療面接を通して予診をとり、医療者として好ましい面接技術を理解し、精神症状をとらえ、鑑別診断と治療手技を学ぶ。

病棟実習:
精神科病棟では、入院患者の治療チームの一員として、面接の実施や診察や検査に同席することで精神症状を的確にとらえる。精神科診断学に基づいた診断と治療方針、治療手技を理解し、医療チームのメンバーとして治療に参加する。 一般病棟では、身体疾患の治療における精神医学的関与、他領域の医師との連携を学ぶ。
講義・症例検討会:
頻度の高い精神障害についての知識を深め、実習での体験と知識の統合を目指す。症例検討会・各種カンファレンスに参加することで診断・治療方針・問題点の抽出とその対応などについて検討を行う。
病院実習:
大学病院精神神経科では、入院において急性期精神障害の治療が中心である。このため関連の精神科病院の実習に参加する事で、慢性期にある患者に関する理解や地域医療、精神科医療、福祉、医療連携の実際を体験し、社会的側面からも医療を考えられるようにする。
整形外科学 実 習 計 画
整形外科の1週間コースでは、原則的に整形外科学領域の受け持ち患者を、各1名担当し、担当医の指導の下に入院に際しての病歴聴取、基本的な全身、局所所見の取り方、検査・治療計画を作成する。受け持ち患者の検査、手術には積極的に参加し、検査手技、手術手技を修得して、実際の処置、治療の実践と整形外科的な見地に立った疾患への対処を実習する。

更に、実習期間中には受け持ち患者以外の症例の手術や機能訓練にも参加する。 整形外科的な疾患は多岐にわたっているため、短期間で疾患を網羅することは難しい。そこで脊椎、関節(肩、肘、股、膝、足)、手の外科、足の外科、腫瘍、筋電図検査などを、系統講義とは異なる実際の症例や、典型的な症例の画像などの材料を用いてGroup Learningを行う。

これらの講義は、学生がマスターすべき課題・目標を設定して質疑応答を行うことで理解を高める。また、医局で行う各種カンファランスにも出席して、実際の症例の治療方針、治療上の問題点、疾患の概念などを学ぶ。 終了時には、各自に受け持ち症例のプレゼンテーションを行わせ、整形外科的疾患の知識の確実な把握を総合的にチェックする。
眼科学 実 習 計 画
眼科学の中で中心的な、医師として生涯を通じて接することの多い疾患を主に、実際の患者症例に触れ、感覚器科特有の検査法、内科的、外科的治療法による機能回復の過程を体験、学習する。

学習内容はコアカリキュラムに沿い、他科とも関連の深い、頻度、重篤度の高い疾患を中心に、検査法の実技実習、視機能異常体験実習、手術症例見学、外来診療見学を、少人数制講義を交えて行う。この中で「見え方」の改善が患者 QOL に与える重要性を、知識、体験の両面から学ぶ。

外来診療では特殊外来の、眼炎症外来、角膜外来、緑内障外来、網膜硝子体外来を見学する。さらに週2回の回診において、各症例の臨床所見の実際と特に術直後の症例を見学する。 検査法として、屈折検査、眼圧検査、細隙灯顕微鏡検査、眼底検査、蛍光眼底撮影等を見学し、自覚的な「見え方」と他覚的な検査結果について理解を深める。

実習では、細隙灯顕微鏡検査、眼底検査等をシミュレーターあるいは学生同士で行い、OSCE 臨床で有用なレベルへの手技の向上を目指す。 手術に関しては、手術症例を1例ずつ受け持ち、各症例を手術室においてリアルタイムモニターで見学し、顕微鏡手術の実際を学び、術後経過については担当医とともに診察、評価、考察を行い、報告にまとめる。 感覚器科で重要な患者QOLの低下を、視覚障害体験実習キットを使用し実際の視覚障害の「見え方」を疑似体験する。 週末に学習の総まとめとして口頭試問を行い、各自理解度をチェックする。
耳鼻咽喉科学 実 習 計 画
外来・病棟・手術室での診療の見学と実習、およびカンファランスに参加する。これらの耳鼻咽喉科臨床を通して、耳鼻・咽喉・口腔の構造と機能、およびその基本的な疾患の症候、病態、診断と治療を理解し、問題解決能力を修得する。
皮膚科学 実 習 計 画
皮膚科学においては、放射線科学や内視鏡診断学などと同様、肉眼で病変が観察できる。皮疹の意味をどれだけ汲み取ることができるか? すなわち視診に習熟することがその基本であることをまず理解して欲しい。そのためには

1.皮膚症状の最小単位である個疹に関する基礎知識をまず身に付ける。
個疹の意味するところを理解できれば、病名をつけることはできなくても、患者さんの身体に起きている病態の把握には大きな間違いを犯すことはないであろう。

2.個疹が理解できるようになれば、つぎのステップは病態に関する知識を深めることである。
紅斑や丘疹は通常、炎症を意味し、結節は沈着症や肉芽腫性炎症を意味し、腫瘤は細胞増殖性の即ち腫瘍性病態を表し、丘疹性の紫斑は血管の炎症の表現と考えられる。 個疹を見たら直ちに病理組織像が眼に浮かぶようになれば、視診のみで観血的な検査(生検など) や無駄な画像診断を省くことができるようになる。

3.皮膚にあらわれる所見は必ずしも皮膚疾患(狭義の)であるとは限らない。
皮膚所見が副症状である全身性疾患は数多くあり、これに関しては、最新の幅広い医学一般知識の絶ゆまざる研鑽が望まれる。皮膚科の診察手技は我々医師にも、そして患者さん自身にもできる「見る」という一見簡単な作業ではあるが、これを視診の域にまで高めるためには他科の医師に負けない程の全科的知識が必要とされる。皮膚科医が皮膚科疾患のエキスパートであることは当然であるが、皮膚のことしか判らない医師では寂しい。したがって実習中は医学全般の勉学が必要とされるし、自主的に進んで全科的知識を身に付けて欲しい。 個疹の充分な視診ののちに、皮疹の分布や経過を加味し、問診や検査で裏づけながら診断名を推敲していくことになる。

4.皮疹は雄弁に物語る。
皮疹が訴えるこの声に耳を傾け、皮疹を注意深く観察するのであるが、この際、無神経に「見る」のでも「観る」のでもなく、せめて「診る」ようにしなければならない。願わくば看るようにしてもらいたい。手(触診)と眼(視診)を駆使し、さらに患者さんには裸の皮膚を曝してみせて頂くわけであるから、細やかな暖かい配慮も必須である。ストレス潰瘍や痛風などのように憚らずに他人に話せる (?) 疾患と異なり、皮膚疾患は汚いもの、みっともないもの、伝染りかねないものとして隠しがちになることが多い。皮膚科患者さんが他科の患者さんとの混合病棟にいると肩身の狭い思いをしがちで、回復までの期間が長引くという。すなわち皮膚疾患には精神科的要素も多分に含まれる。
ほとんどの患者さんが大部屋に入院されている。皮膚科患者さんとともに他科の患者さんに対しても実習の際には十分に心を配ること。

5.皮膚科学実習は一週間で外来実習と病棟実習を並行して行う。
病棟では入院患者(膠原病や血管炎をはじめとする全身性疾患、糖尿病性壊疽などの血行障害、 皮膚感染症、水疱症、皮膚悪性腫瘍など)を受け持ち、受け持医とともに検査・診断し、治療に参加する。 紹介された患者さんに対する訪室は朝(朝食の頃に訪問し、朝食摂食量やバイタルを観察すると、 その日の全身状態がうらなえる)や、午前中に受持医チームについて、または午後の実習後などに随時行えばよい。但し診察や処置は必ず受け持医と共に行うこと。手術や予定検査にも参加し、さらに他科受診などの際には患者さんに同行して、情報を得ることが望ましい。 外来では視診により数分の間に皮疹の性質を理解し、病態を把握し、原因を推測し、診断をつけ、 疾患の説明をし、治療法を指導する皮膚科診療の現場を見て欲しい。 午後は専門外来における種々の検査・処置を見学し、外来手術にも参加する。

6.入院患者さんの受け持ち・外来実習以外の責務としては
・月曜日「皮膚のみかた」講義、ミニレクチャー(13時30分~医局/外来)
・火曜日ミニレクチャー(16時00分~医局/外来)
・水曜日ミニレクチャー(16時00分~医局/外来)
・木曜日朝カンファランス(8時30分~9時00分医局)に出席
・木曜日の教授回診時とその後のカンファランスにおける受持患者のプレゼンテーション
・金曜日ミニレクチャー(16時00分~医局/外来)
・土曜日朝病棟回診(9時00分~医局/病棟)に出席
・回診後(10時30分頃から)受け持ち入院患者・外来初診患者に関する発表・試問(竹崎) である。

7.BSL に関しては皮膚科医局員全員が協力する。
病棟においては受持医のチームに付いて実習を進める。 外来においては午前は外来担当医(初診、再診)、午後は BSL 指導医、専門外来担当医等があたる。短い期間であるが到達目標を是非、達成して欲しい。 将来皮膚科に進まない学生が殆どであろう。今後味わうことのできない一生に一度の皮膚科BSL が印象深く、意義深いものになることを願っている。
泌尿器科学 泌尿器入院患者1名を受け持ち、当科で行った診断法、治療法が正しかった否かについての検討を主課題とする。その他、研修目標に記載した、カンファレンス、外来、手術室での実習を行う。
老年医学 実 習 計 画
週間予定:
老年医学(老年内科) ― 1 週 間 ―
月曜~木曜は、夕にその日の課題に対する評価を行います。

月曜日:午前9時に老年内科医局集合(B棟2階)しオリエンテーション。以後は担当症例診療と課題解決。

火曜日:教授回診。午前9時に東館3階第2勤務室カンファレンス室集合。回診修了後は症例診療と課題解決。(午後1時から抄読会に出席)。

水曜日:終日、症例診療と課題解決。

木曜日:終日、症例診療と課題解決。

金曜日:准教授回診。午前9時に老年内科医局集合。回診後、症例発表会の準備。 午後2時より症例発表会。(1人6分で担当症例の経過を説明し、全員で討論する)

土曜日:午前9時に老年内科医局に集合。介護保険制度の説明。国家試験過去問中心の MCQ。
救急医学 実 習 計 画
救急医学科では多発外傷、広範囲熱傷、頭部外傷、脳卒中、意識障害、急性中毒、急性循環不全、 急性腹症、急性呼吸不全などを含めた様々な重症救急患者に対して病態把握・初期治療、入院後の検査・治療計画等の実習を行う。

学生は各々病棟グループの一員に加わり、実習を通して患者の病態把握・治療方針などについて学ぶ。患者搬入時のバイタルサインのチャックから始まり血液ガス分析、各種画像診断(放射線科との合同カンファレンスも含め)、呼吸・循環管理を学習し、初診時の診断および治療方針の決定について積極的に担当医グループと討論し、入院から治療までの一連の流れを実習を通して体験し、その病態についての理解を深める。

また、心肺蘇生においてはシミュレータを用いて BSL(Basic Life Support)、ICLS(Immediate Cardiac Life Support)やショックの病態把握や治療を理解する。また、シナリオ実習(外傷模擬人形使用)やシミュレーション実習を通して、救急患者の治療・管理について更なる理解を深める。 さらに、災害医療や緊急医療支援などに関しても基本的知識を得るための講義や実習を行う。 第2週の土曜日(武蔵小杉は毎週)には、各自が経験した症例のまとめを発表し、チューターとのディスカッション(口頭試問形式)を行い、合否最終判断は記述試験にて決定する。
形成外科学 実 習 計 画
形成外科実習の最大の目的は形成外科で取り扱う疾患、病態とその治療方法を理解することである。形成外科で取り扱う病態は外科系各科との関連が大変強いため、同時に関連かについても理解を深めることとなろう。もちろん外科系科目だけでなく、内科、放射線科、麻酔科そして特に皮膚科、精神科の理解が重要であろうことは言うまでもない。実習は以下のとおりに行われる。

まず月曜日もしくは火曜日朝のオリエンテーションにおいて一週間のおよその予定、実習に当っての心得、実習目標、評価基準などについての説明を行う。実習中に学生は手術見学を通じて形成外科学の手技を体験、理解すると共に上記の課題についてのレポートを作成することが要求される。

レポート作成の際には少なくとも一つ以上の英文論文を読むことも必須課題である。これは卒業後の医師として必要な能力のトレーニングをも意味する。すなわち、自分の受け持った患者について症例報告をし、その背景となるテーマについて検索し、そしてそれをカンファランスや学会などで発表するということはおよそ臨床医であるならば形成外科医でなくとも必須のことである。かつ、臨床を行いながら英文論文を短時間のうちに読解するという能力は必ずや必要になるものであるからこのBSL 期間を通じて鍛錬することが要求される。

講義という形態はなるべく取らないが、実際の臨床を通じて逐次学生にヒントやサジェスチョンを与えるので積極的に実習に参加してほしい。実際医師になってからも医局での雑談の中に重要なポイントが含まれていることも多い。

実習最終日の試問では、実習期間中に作成されたレポートを発表してもらうがその際もプレゼンテーションの能力を遺憾なく発揮してほしい。日本の医学教育においてはプレゼンテーション法の講義がないので、簡単ではあるがこの場において学生個人個人のプレゼンテーションについて論評する。そして本試問の目的は学生を評価することのみならず自己学習による問題点の発見や学習の方向、調べたことの理解を深めるためのものである。

さらにそして最終的に一週間という限られた時間ではあるが、学生個人個人が学習した内容を発表しあうことによってその知識を共有し実習成果を何倍にもあげることが目的である。 もちろん、全実習期間を通じて患者さんへの接し方、医療スタッフとの協調など臨床医として当然の常識やマナーなどを習得することは言うまでもない。
集中治療学 実 習 計 画
集中治療(intensive & coronary care)学は、多くの分野のスペシャリストが協力しあい(集学的 multidisciplinary)、各種重症疾患(特に当施設では循環器救急、内科系重症疾患、MOF、肝移植、術後管理など)を対象に、最善、最高の医療を選択し、一刻も早く治療し、一人でも多くの命を救うための学問である。生きること死ぬことの源流を理解する教育の場でもある。

短期間ではあるが、教科書やシュミレーションではない生の現場を医師となる前に是非体験してほしい。
リウマチ学 実 習 計 画
リウマチ学(Rheumatology)は、関節リウマチ・変形性関節症・膠原病などのリウマチ性疾患に対し、その診断、薬物療法、手術療法、リハビリテーション治療を学ぶ学問である。

当科ではリウマチ性疾患に対し、これらの治療法を駆使して、トータルマネージメントを行っている。特に、関節リウマチ・膠原病は、全身性の多彩な症状を呈しており、その診断・病態・治療法を学んで欲しい。
診断病理学 実 習 計 画
診断病理学とは病気の本質を診断、考察する医学の一分野である。特に病気の原因、結果として生じた各臓器組織の構造上および機能上の変化をその対象としている。

その中、病院病理部で日常的に行われている病理診断・細胞診判定は、実際の医療の現場で多くの患者さんの治療方針の決定、予後の推定のためばかりでなく治療効果判定や治療法の変更にも無くてはならないものである。また、病理解剖は、剖検させていただくことによって臨床診断と病理所見の対比ばかりでなく、例えば輸液量が適当であったかなど、医学・医療を様々な視点からから学ばせていただける、最後の医療であるとともに未来の医学を拓く道を提供してくれる。

BSL中に診断病理学実習として、臨床各科で患者さんから採取された組織、手術で切除された臓器がどのようにして標本となり、診断されるのかを学ぶ。その中には術中の迅速診断、病巣局所からの細胞診も含まれる。実際の病理診断を見学・体験する事で、診断病理学に関する基本的な知識を習得する。また、医師として知っておくべき検体の取り扱い方、病理標本作製に関する知識を習得する。

さらに、本 BSL 期間中にグループによっては1例の病理解剖症例が与えられる。グループの学生は症例の臨床病歴および画像診断他諸検査成績等に基づき、当該症例の疾患の種類および診断、鑑別を要する他疾患についてまとめ、症例のもつ問題点を抽出する。その後、実際の剖検材料を提示するので、これを基に臨床所見および診断の適否を検討する。さらに直接死因や主病変、合併症などについても、肉眼所見・顕微鏡所見を合わせて検討する。

最後に臨床症状ないし所見と剖検所見の関係、 症例の持つ問題点、当該症例のような例に遭遇した場合の留意すべき諸事項などについて考察をまとめ報告し、また、レポートとして提出する。 また、病理解剖について、その意義、法的事項、事務手続きなどについて学ぶ。期間中に病理解剖が行われる場合には、これに参加することで具体的な剖検方法についての知識を得る。 1週間という短い時間ではあるが、医師として必要な診断病理学の最も基礎的な知識、技能、態度を習得し、医療における病理の役割を理解することを目的としている。

社会医学

社会医学 社会医学は、医療機関に受診した患者に対する診療行為としての臨床医学と見合う形で、医療の社会性を理解し関連する知識・技術の修得を目的とする。