ホーム>診療科・部門のご案内>乳腺センター>乳房再建の説明「乳がん治療の一環として」

乳房再建の説明「乳がん治療の一環として」

乳がん術後 再建しない か 再建するか

 乳房再建をご存知でしょうか。乳房再建とは、乳癌手術で変形したり、失った乳房を作り直す形成外科の分野です。丸みのある乳房は女性らしさの象徴とも言われ、乳房を失うことで辛く悲しい気持ちを抱え込んでしまう患者さんは少なくありません。しかし乳房再建手術を受けることで、市販の下着を身につけ、温泉旅行やプールを楽しむこともできるようになるため、精神的な治療にもつながります。
 手術を行うことに対する恐怖心を和らげるためにも、乳房再建手術の正しい理解が必要です。このページでは乳房再建の基本的な内容を説明します。お読みになった上で、わからないことがあれば何でも聞いてください。十分話し合った上で、最終的に乳房再建手術を受けるかどうか決めていただきます。

乳房再建手術の時期

  •  乳房再建手術は、行うタイミングと回数に応じて、○次○期再建という表現をします。「次」というのは手術の時期、「期」というのは回数です。
     当センターにおける主な再建方法は、「1次2期再建」です。まず、乳房全摘と同時に組織拡張器(ティッシュエキスパンダー、TEと呼ばれます)を留置します。退院後は外来に通院していだたき、TEに生理食塩水を注入しながら乳房再建に必要な乳房内の容積を拡充しつつ、再建素材(自家組織あるいは人工物)をご自身でご決定いただきます。
     なお、手術は保険適応になっており、高額医療制度を用いると実質的な負担額は1回の手術は8-10万円前後で受けられます。民間の生命保険・医療保険でも保険対象にしているものがあります。乳房再建の時期

乳房再建手術の術式

  •  人工物(シリコンインプラント)による再建と自家組織(腹直筋皮弁、腹部穿通枝皮弁や広背筋皮弁法など)による再建の二つがあります。それぞれの長所と短所は下図のようになります。

    乳房再建の方法

    ※自家組織再建は体への負担が比較的大きく、社会復帰まで時間がかかりますが長期のメンテナンスが不要になります。1ヶ月程度の仕事のお休みを取ることをお勧めしています。

    ※インプラントの入れ替え手術は体の負担は比較的少なく、早期の社会復帰が可能であり、2週間程度の仕事のお休みをお勧めしています。術後創部が落ち着いたら定期的(半年〜1年に一回程度)に外来で皮膜拘縮(インプラント周囲の痛みや変形などの症状)がおきていないか診察が必要になります。

    • 人工物による再建

       インプラントによる再建はティッシュエキスパンダー(皮膚拡張期)を挿入する手順が一般的です。

      1. 乳癌手術後(同時(1次)もしくは乳腺手術半年後以降(2次))にティッシュエキスパンダーを挿入する。
      2. 外来でエキスパンダーに2-4週おきに生理食塩水を注入する。
      3. 皮膚とその周辺組織が十分に伸びたら(術後6-24ヶ月の間)、同じ傷跡から切開しエキスパンダーとインプラントを入れ替える。

      ※手術時間はエキスパンダー挿入術・インプレント入れ替え術それぞれ1.5-2時間程度、入院はエキスパンダーでは7-14日、インプラントの入れ替えでは5-7日程度となります。

      人工物による再建

      • 自家組織による再建

        (腹直筋皮弁、腹部穿通枝皮弁)

         腹直筋皮弁法では筋肉を一部つけて、穿通枝皮弁法では筋肉をつけず皮膚・脂肪・血管をつけて採取します。広背筋皮弁法と比べ多くの脂肪を移植することができます。
         穿通枝皮弁法では高度な技術を要するため手術時間は長く6-10時間程度、入院期間は10-14日かかります。

        腹直筋皮弁、腹部穿通枝皮弁

        ②(自家組織再建;広背筋皮弁)

         背中の皮膚・脂肪・筋肉の一部に血管をつけた状態で胸に移植する方法です。お腹の手術を受けた人や妊娠・出産を予定している方に適しています。手術時間は4-5時間程度、入院期間は7-14日かかります。再建した乳房は主に筋肉で出来ているため年数が経つと移植した筋肉が萎縮し、小さくなることがあります。ボリュームを出すためインプラントと併用する場合があります。

        広背筋皮弁

        他院で手術を行った患者さん

        当院では、他院で乳癌手術を行い、再建手術を行わなかった患者さんに対しても、再建手術を行っております。下記外来担当表をご確認の上、気軽にご受診ください。

        「乳房再建外来」の外来担当表はこちら