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皮膚がんセンター

センター長より

皮膚がんセンターとは

 ご挨拶

 当センターは、多数の診療科にまたがり、皮膚に特化したがんの治療センターです。皮膚がんは臓器がん(大腸癌、肺癌や肝臓癌など)と同様に、生活習慣や感染といった様々な原因で体表のあらゆる箇所に発症しますが、皮膚がんのみが持つ大きな特徴があります。体の表面(患者さん自身でも見える場所)に出現することから圧倒的早期に発見し得るがんということです。これまでもわれわれは進行がんになる未然に多くのがんを発見、治療してきました。そんな皮膚がんのなかにあっても発見が遅れたり、不適切な治療を既に受けられていて進行期まで進んでしまったり、悪性黒色腫・メルケル細胞癌など転移が早く極めて悪性度の高い皮膚がんもあります。患者さんが不適切な診断や治療を被らないよう皮膚がん治療の最適化を図るべく当センターを発足致しました。
 顔面や手足など見た目に関わる部位に発症することが多い皮膚がんでありますが、至極小さな病変に留まっている場合にホクロやイボと勘違いされ、単純に切除された結果皮膚がんであったということがあります。当センターにもそのような患者さんが数多く訪れます。現代のような情報過多社会にあっても、どの病院を受診すれば良いのかわからず、ともすれば適切な治療を享受できない方がいるという現状があります。当センターでは診断から治療までを各科のエキスパートが系統的に行うシステムを構築しております。適切な診断のもと治療方針の利点やリスクを多方面から患者さんにお伝えし、最適な治療を選択して頂きたいと考えております。

センター長 桑原大彰

メンバー構成

皮膚がんセンター構成メンバー20211001

【安齋眞一】

日本皮膚病理組織学会理事長であり、日本皮膚悪性腫瘍学会評議員・「Skin cancer」編集委員・日本皮膚科学会皮膚悪性腫瘍診療ガイドライン改訂委員会有棘細胞癌グループ代表を歴任している皮膚病理のトップランナーの一人。

【伊東慶悟】

当副センター長、当院皮膚科准教授。安齋顧問と共に、皮膚病理のトップランナーとして、連日、数多くの皮膚病理検査を行っている。

【勝俣範之】

国立がんセンター中央病院、ハーバード大学、ダナファーバー癌研究所、ECOGデーターセンターを経て、現在当院腫瘍内科教授。がんの総合内科医として著名であり、『医療否定本の嘘』などの様々な著書を執筆している。


お知らせ

    1.  ※安齋眞一部長の退職に伴い、皮膚がんセンター顧問に就任しました。

      1. 2020年8月1日より皮膚がんセンターを設立いたしました。
      2. 桑原センター長(形成外科)と伊東副センター長(皮膚科)が中心となり、腫瘍内科・放射線科と皮膚がんに特化した治療マネージメントを行ってまいります。
    2. 構成メンバー

皮膚がんセンター3

Q&A(いぼと皮膚がんとほくろ)

Q1. ほくろが「がん」ではないか不安です

A1. 皮膚がんの初期症状をほくろ、イボ、かさぶたなどと区別することは肉眼では難しいこともあります。見分け方は大きさ、色、形などの特徴を参考にしていますが、診断にはダーモスコピーという拡大鏡を用いた検査をお勧めします。皮膚がんであっても、「痛み」や「かゆみ」といった症状が出るとは限りません。また、急に大きくなるほくろ、シミ、しこりを見つけたら担当医に相談してみてください。

Q2. 皮膚がんになる原因はありますか

A2. 一般的に紫外線に長年あたることで顔や腕に皮膚がんが発症することが多いです。他にも、治りが悪い傷や昔やけどをしたなどの古い傷痕(きずあと)、ウイルスの感染や遺伝子に異常がある方、などが癌になる場合があります。このように原因は様々ですが、一言で言えば「“慢性的な刺激”が加わる」ことで発癌することにつながります。また皮膚がんはメラノーマや基底細胞癌に代表される黒いものばかりではありません。湿疹や擦り傷に見えても、長い間治りきらないものが癌である場合もあるのです。もし、この特徴が当てはまるのであれば皮膚がんの可能性があります。

Q3. 皮膚がんの治療にはどのようなものがありますか

A3. 再発や転移を抑えるためにしっかりと腫瘍を切除する「外科手術」や、転移している場合や手術と併用することで再発や転移を抑える「化学療法(抗がん剤、分子標的薬、免疫チェックポイント阻害剤など)」、「放射線療法」という3つの治療があります。他にも前癌病変である日光角化症に対しては、イミキモドというクリームを使用して治すことも可能です。また切除が困難なほど大きながんで、痛み、出血、かゆみなど許容できない症状がある場合は、モーズペーストという当院で調合する軟膏を使用することもあります。さらに、がんに伴う体や心の痛みに対しては緩和ケアを行い、心身と生活をサポートする治療もあります。このように個々人、皮膚がんごとに治療は異なります。

Q4. 皮膚がんでも抗がん剤治療はありますか

A4. 皮膚がんの代表的疾患は、悪性黒色腫(メラノーマ)ですが、悪性黒色腫の薬物療法はここ10年で飛躍的に向上しました。かつては、抗がん剤がほとんど効かない代表的ながんが悪性黒色腫だったのですが、免疫チェックポイント阻害剤の登場によって、ステージ4のがんであったとしても、長期に生存ができるようになってきたのがこの癌です。また、BRAF変異という遺伝子異常をもつことも特徴の一つであり、分子標的薬の一つであるBRAF変異阻害剤が承認されることによって、また長期生存が期待できるようになりました。悪性黒色腫に対しては、現在までに、免疫チェックポイント阻害剤のイピリムマブ(商品名:ヤーボイ)、ニボルマブ(商品名:オプジーボ)、ペムブロリズマブ(商品名:キイトルーダ)、BRAF阻害剤のベムラフェニブ(商品名:ゼルボラフ)、エンコラフェニブ(商品名:ビラフトビ)、MEK阻害剤のトラメチニブ(商品名:メキニスト)、ビニメチニブ(商品名:メクトビ)が承認されています。これらの薬剤をうまく組み合わせながら、治療を行っていきます。

Q5. 抗がん剤治療は副作用が怖いです

A5. 皮膚がん、このうち悪性黒色腫に対しては、現在、イピリムマブ、ニボルマブ、ペムブロリズマブの3剤の免疫チェックポイント阻害剤が承認され、保険適応になっています。以前の副作用ばかり強い殺細胞性の抗がん剤に比べ効果を有しつつ比較的副作用の弱い薬剤を選択していただける時代になりました。しかし副作用がないわけではなく、免疫チェックポイント阻害剤は、強く免疫細胞を活性化させてしまうため、甲状腺低下症や、潰瘍性大腸炎などの自己免疫疾患に似た副作用を、約2~4割のかたに起こすことがわかっています。まれに、ギランバレー症候群や重症筋無力症などの重篤な免疫関連の副作用を起こすこともあります。したがって、免疫チェックポイント阻害剤を使用する際には、副作用に対してもしっかりと対処できる専門医が投与することが勧められます。

Q6. 皮膚がんセンターにはどのような科ですか

A6. 皮膚科、形成外科、腫瘍内科や放射線科の各エキスパートたちが皮膚がんの治療をする部署です。ほかにも病理医、看護師、ソーシャルワーカー、薬剤師、臨床検査技師、緩和ケアに携わるスタッフなどチームで治療にあたっています。皮膚がんの患者さんの中には、絶対に手術はしたくないと思われる方、セカンドオピニオンを希望される方、皮膚がんのほかにも臓器癌やリンパ腫なども患っている方、あるいはリンパ節郭清後のリンパ浮腫や放射線治療後の副作用に悩まれる方もおられます。このような様々な悩みに対応できるように、チーム医療を実践して、患者さんやご家族を支えるセンターでありたいと考えています。


はじめて受診される皆様へ

【「皮膚がん」と診断された方

 診断を受けた病院やクリニックなどにご依頼いただき、紹介状(診療情報提供書)をお手元にご用意ください。また、保険証、画像検査結果(CD・DVD・レントゲンフィルム)などのがんと診断される根拠となった資料、お薬手帳をお持ちの上、午前11時までに皮膚科外来の初診受付をされてください。

【「皮膚がん」を心配されている方】

 保険証、お薬手帳をお持ちの上、午前11時までに皮膚科外来の初診受付をされてください。かかりつけ医からの紹介状がありましたら、ご持参ください。


受診方法

交通案内(神奈川県川崎市武蔵小杉駅)

当院は、神奈川県川崎市中原区の武蔵小杉駅から歩いて5分程の場所にあります。
武蔵小杉駅へは、東急線東横線や目黒線、JR線(南武線・横須賀線)、地下鉄(南北線・三田線・副都心線)、相鉄線が乗り入れています。そのため、東京都目黒区・大田区・世田谷区、神奈川県横浜市、川崎市、大和市、海老名市からのアクセスが良好です。

地図・交通案内

初診受付時間

ご来院される際は、お時間に余裕をもってお越しください。

初診受付時間 午前8時30分~午前11時30分
診療曜日 月曜日から土曜日
紹介状をお持ちの方 1階 紹介受付(医療連携室)
紹介状をお持ちでない方 1階 初診受付