脊髄腫瘍
脊椎・脊髄疾患と治療について-1-
1.脊髄腫瘍(せきずいしゅよう) Spinal cord tumor
脳腫瘍に比べますと全体の患者数は少なく、また脳腫瘍に比して比較的良性の腫瘍が多いのが特徴です。脊髄腫瘍は大きく脊髄の中に発生する腫瘍と脊髄の外から発生し、脊髄を圧迫する腫瘍に分類されます。
症状
脊髄内に腫瘍がある場合には片側にやや偏るかあるいは左右差のない運動障害や運動障害がみられ、脊髄外より発生する場合には片側に偏った運動障害や感覚障害が出現することがみられます。
診断
神経所見と主としてMRI画像によりますが、脊髄腫瘍の場合はその発生部位により腫瘍の種類がある程度予測出来るのが特徴です。
脊髄の内部に発生するもの(髄内腫瘍)としては星細胞腫、上衣腫、血管芽腫などが代表的なものです。硬膜の中であり脊髄の外側に発生するもの(硬膜内髄外腫瘍)としては神経鞘腫や髄膜腫といった腫瘍が代表的なものになります。硬膜の外側に発生するもの(硬膜外腫瘍)としては転移性腫瘍が主なものとなります。
治療
脊髄腫瘍の手術は特に髄内腫瘍の場合は脊髄の内部に入り込んでいかなくてはなりません。したがって手術後に感覚障害や、運動障害など神経所見の悪化をきたす可能性が高いと考えられます。前述しましたように脊髄腫瘍は比較的良性な腫瘍が多いために手術の適応は慎重にしなければなりません。当院では脊髄腫瘍に対する手術には運動機能・感覚機能をモニタリングしながらより安全にまた術後の神経障害を最低限にするように心がけております。