診療内容

変形性膝・股関節症(Hip and Knee osteoarthritis)

 変形性膝・股関節症において重要なことは目の前の痛みを取ることはもちろん必要ですが、それに加えてレントゲン以外にもCT、MRI検査、そして超音波(エコー)検査等で詳しく調べることにより膝・股関節の病状をしっかり把握して今後の膝・股関節が辿るであろう経過を見定めることが極めて重要です。

 痛みを我慢して粘っていればいずれ痛みが引くのか、それとも痛みはなかなか今後も変わらない状態なのか、将来的に手術した方が良いくらいまで悪化する可能性があるのか、それともあまり心配が必要ないのか、ということをしっかり把握することが重要です。
 そういった全ての情報を踏まえた上で保存的加療(物理療法、理学療法、注射治療ほか)を選択するのか、それとも手術加療(人工関節置換術)を選択するのかを見極めることが出来ます。もしも手術を行うことを希望された場合にも、必ずリハビリテーションが必要です。股関節が悪い場合には膝周囲の筋力が、膝関節が悪い場合には臀部の筋力が落ちていることが分かっており、つまりこれらの筋力低下の回復は治療法に関係なく最も重要な項目になります。

整形外科 渡部医師へのインタビュー記事が人工関節ドットコムに掲載されました。
媒体:整形外科治療専門情報サイト「人工関節ドットコム」
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人工膝関節全置換術(単顆置換術)

 人工膝関節全置換術(Total knee arthroplasty、TKA)では術前のMRI検査等で適合機種の選定を行いつつ、ナビゲーションシステムを使用して手術を行っています。内側型の変形性膝関節症で前十字靭帯が健常な場合には年齢や全身状態などの条件を考慮した上で人工膝関節単顆置換術(Unicompartmental knee srthroplasty、UKA)を行います。ただし、こういった手術をした場合でも筋力と体重のバランスが悪いような場合は思うような結果は得られません。膝の人工関節手術においてリハビリテーションは非常に重要です。

人工膝関節全置換術後


人工膝関節単顆置換術後

人工股関節置換術(骨頭置換術)

 人工股関節置換術(Total hip arthroplasty)では、術前のCT画像を基にコンピューターを用いた3次元術前計画を行います。その計画を詳細に検討し、ナビゲーションシステムを使用してDSA(Direct superior approach)による手術を行っています。
人工骨頭置換術(Hip hemiarthroplasty)にはCPP(Conjoined tendon preserving posterior)アプローチもしくはDSAを用いております。
ともに最小侵襲手術(MIS)であり術後は安静度の制限はありません。また、止血剤をしっかりと使うことで術後の輸血は基本的に必要ありません。術後創部のドレーンバッグ等も基本的に使用しておりません。手術の翌日から座位、立位等のリハビリテーションを開始し、60歳で10日~2週間、70歳で2~3週間、80歳で3~4週間が平均入院日数です。杖歩行での自宅への退院が一般的です。

両側人工股関節置換術後

外傷(Trauma)

 日常生活での軽いケガから交通事故などによる骨折まで、外傷は多岐にわたります。当院では、手術を行わなくても治療が可能なケガに対しては、極力手術をしないで保存治療を行います。
 しかし、ケガの部位、程度によって、ギブスなどの固定による保存治療か可能なのか、手術が必要なのかを判断するには専門的な知識が必要です。
また、患者さんの年齢、仕事の内容、趣味、スポーツなどの生活背景も、治療を選択する上で、重要な判断材料になります。
 どうしても手術が必要なケガ(保存治療では外見上の問題、機能障害が残る骨折や腱断裂などのケガ)に対しては、早期の治療が必要です。また、手術を行う場合には、傷を小さくすることも重要な治療課題の一つとなります。関節鏡を用いたり、皮膚の切開方法を工夫したりすることにより傷の大きさは大きく変わります。これを最小侵襲手術と呼び、当院では積極的にこの治療法を取り入れております。また、骨折を強固に固定することで術後早期にけがした部位を使用すること(手・肘・肩の使用、歩行など)が可能となり、早期社会復帰、スポーツ復帰が可能となります。診察時に、患者さん、ご家族と十分に話し合って、患者さんにとって最も良い治療法を選択することを第一に行ってまいりますので、是非ご相談ください。

外傷