中央検査室
特徴
『臨床検査』は、血液や尿などの患者さんから採取される体液を用いた『検体検査』と、患者さんの身体に直接機材を装着して電気的信号等に変換して計測する『生体検査』とに大きく分けられます。
当院の中央検査室では、院内の全診療科から依頼された入院・外来のすべての検体と生体検査を対象に、臨床検査全般を実施しております。以下に、その特色を列記します。
緊急検査への迅速対応と24時間検査体制
主要な検査項目のほとんどが緊急対象となっています。外来の診察前検査や緊急検査のみならず、夜間、休日を含めた24時間体制で、救急診療に対応した迅速検査を実施しております。
検体採取(採血)から報告までを一元化
全診療科から依頼された外来採血のほぼすべてを、常勤の『臨床検査技師』が採血しています。また、主要病棟における予約検査の早朝採血についても、検査技師が出向して採血しています。
自己血輸血を予定される患者さんの採血では、担当の検査技師が採血状況のモニタリングから血液の保管までを一元管理しています。
精度管理、研究業務、その他
全国規模の外部精度管理に積極的に参加し、高い検査精度の維持・向上に努めています
日常の検査業務のほかに、新規検査および検査試薬・機器の研究や検討を重ね、最新の情報と技術を積極的に取り入れております。
部門紹介
採血
外来患者様の血液検査のための採血を行っております。当院の採血手順は、日本臨床検査標準協議会(JCCLS)から発行されている「標準採血法ガイドライン」に基づいた、安全性の高い採血法を採用しており、使用している採血器具も日々改良が繰り返されている中、その状況の変化にも迅速に対応しております。車いすで来られる患者様、ベッドでの採血を希望される患者様など、皆様が安心して採血を実施できるような環境作りを心掛けております。
尿一般検査部門
尿の成分や尿の中に含まれる細胞の検査を行っております。尿検査は、患者様の負担の少ない非侵襲的な検査ですが、各種疾患に関する多くの情報を提供してくれます。それらの情報を見逃さないように尿専用の分析装置で検査を行い、分析装置では判断できない細胞成分などは専任の検査技師が顕微鏡を見て判断しております。尿の検査のほかに、脳脊髄液、穿刺液、精子、便、鼻汁など幅広い検体の検査を行っている部門です。
血液・凝固検査部門
血液の中に含まれる赤血球や白血球などの血球の数の算定や、酸素を運ぶヘモグロビンの濃度を分析しています。これらの検査を行うことにより貧血や炎症の有無を知ることができます。また、血液を凝固させる機能や、凝固した血栓を溶かす機能を調べる血液凝固・線溶検査も実施しています。その他、骨髄の検査も実施しており、白血病などの血液疾患の診断や治療効果の判定に役立てております。
生化学・免疫血清検査部門
血清中の酵素、蛋白質、脂質、無機質、糖質、ホルモンなどの生化学的成分の定量分析を行うことにより、主たる臓器の機能異常が推測できます。がんの診断や経過観察に欠かせない腫瘍マーカーなども迅速測定を行っています。また、ウイルス性肝炎や梅毒、エイズなどの感染症に関する検査を免疫血清学的に行なって、感染の有無や抗体量の測定を行っております。
微生物学的検査部門
患者さんから提出された身体中の検査材料(喀痰・尿・血液など)から細菌や真菌感染症の原因菌の検索や治療上有効な抗菌薬選択のための薬剤感受性検査を行っています。また、感染制御部と連携して薬剤耐性菌の蔓延防止などの院内感染対策にも努めています。
輸血関連検査部門
安全な輸血に必要な検査と、血液製剤の管理、供給がおもな業務です。ABO式、Rh式血液型検査をはじめ、数多くの血液型に対する抗体の有無を調べる不規則性抗体スクリーニング検査、輸血時に患者さんと供血者の血液が適合か否かを調べる交差適合試験などを行なっています。また、手術の際の出血に備えて、前もって採血し保存しておいた自分の血液を手術中または手術後に輸血する自己血採血も行なっております。
生理機能検査部門
患者さんの体から直接得られるいろいろな生体情報の解析を行う唯一の部門です。心電図検査や呼吸機能検査、脳波検査をはじめ、超音波検査(心臓/腹部等) 血圧脈波検査、聴力・平衡機能検査等があり、循環器系、消化器系、呼吸系、聴力・平衡機能領域と多岐にわたる検査を実施しております。
以上のように、各部門が専門的な検査業務を行なっていますが、それぞれの検査データは相互に関わりあっており、最終的に患者さん個人単位での総合的な検査情報を各診療科へ提供し、医療における重要な一翼を担っております。
認定資格などの技師数(2024年4月1日現在)
取得資格 | 認定機関 | 人 |
二級臨床検査士(血液) | 日本臨床検査同学院 | 8 |
二級臨床検査士(血清学) | 日本臨床検査同学院 | 1 |
二級臨床検査士(微生物) | 日本臨床検査同学院 | 4 |
二級臨床検査士(呼吸生理) | 日本臨床検査同学院 | 1 |
二級臨床検査士(循環生理) | 日本臨床検査同学院 | 3 |
緊急検査士 | 日本臨床検査同学院 | 3 |
認定超音波検査士(循環器) | 日本超音波医学会 | 4 |
認定超音波検査士(消化器) | 日本超音波医学会 | 4 |
認定超音波検査士(体表) | 日本超音波医学会 | 1 |
認定超音波検査士(健診) | 日本超音波医学会 | 2 |
JHRS認定心電図専門士 | 日本不整脈心電学会 | 2 |
感染制御認定臨床微生物検査技師(ICMT) | 日本臨床微生物学会 | 1 |
認定血液検査技師 | 日本検査血液学会 | 1 |
認定輸血検査技師 | 認定輸血検査技師制度協議会 | 2 |
医療情報技師 | 日本医療情報学会 | 1 |
臨床工学技師 | 厚生労働省 | 1 |
細胞検査士 | 細胞検査士会 | 1 |
毒物・劇物取扱責任者 | 都道府県知事 | 4 |
危険物取扱者 | 都道府県知事 | 2 |
有機溶剤作業主任者 | 2 | |
特定化学物質・四アルキル鉛等作業主任者 | 2 |