診療内容

専門外来

さまざまな小児疾患に対し、一般外来とは別枠に専門の医師による特殊疾患外来を以下の様に設けています。専門外来は予約制です。それぞれ専門医が診療にあたっています。詳しくは外来診療担当表をご参考にして下さい。

小児リウマチ外来・小児全身性エリテマトーデス・小児膠原病

乳幼児から高校生までに発症した方を診察しています。小児科は16歳未満で発症された方の初診をお受けしていますが、高校生で小児科を希望される場合は、かかりつけ医からの紹介状があることが可能ならば望ましいです。

  1. 若年性特発性関節炎(JIA)・全身性エリテマトーデス(SLE)・皮膚筋炎・多発性筋炎・強皮症・混合性結合織病(MCTD)・シェーグレン症候群・ベーチエット病・抗リン脂質抗体症候群など小児期に発症されたすべてのリウマチ性疾患の方々の診断と治療について行います。

  2. 小児の全身性エリテマトーデス(SLE、ループス腎炎)は、腎臓病の合併が成人よりも多く、腎生検による組織評価を行います。副腎皮質ステロイド薬と免疫抑制薬(プログラフ、セルセプト、ブレディニン)、経静脈シクロホスファミド静注療法、生物学的製剤(ベンリスタ)、プラケニルを組み合わせた治療を行います。将来の骨粗鬆症やステロイド性骨粗鬆症を意識した治療を行います。

  3. 関節リウマチ、関節型若年性特発性関節炎の方にレミケード、エンブレル、ヒュミラ、アクテムラ、オレンシアなどの生物学的製剤を用いた治療を症状、関節所見と年令に応じて実施します。自己注射であるエンブレルとヒュミラは、医師、薬剤師、看護師が中心になり、ていねいに指導いたしますので、だれでも自分で注射をできるようになります。また、全身型若年性特発性関節炎の方にはアクテムラの点滴を外来で行います。引っ越し、転院等で、これらの治療を当院で希望する方は御相談ください。

  4. シェーグレン症候群や関節型若年性特発性関節炎のドライアイ・目の乾燥感についても院内・院外の眼科専門医と連携して診断、治療を専門的に行います。

  5. 各地の眼科よりぶどう膜炎に対する生物学的製剤ヒュミラの導入の連携依頼を受け入れています。ヒュミラは小児科で処方、管理、患者指導いたしますので、眼科の先生は眼の診療に専念できます。眼科専門病院通院の方でも医療連携により、眼科の主治医を変えずに当院でヒュミラの治療を支援します。また、非感染性ぶどう膜炎の原因となる疾患についての精査の依頼に応じて、血液検査、RI検査を行います。

  6. 家族性地中海熱(FMF)・TNF受容体関連周期性発熱症候群(TRAPS)などの周期性発熱、自己炎症性疾患の診断と治療を行います。

  7. 乾癬による関節炎で、新たに生物学的製剤を小児に導入する場合、当科で皮膚科と連携して、当科で処方・指導・副反応・感染症等の対応をすることができます。

  8. 成育医療センターやこども病院のような小児科専門病院通院中で、年齢的に15歳になり内科への移行を進められた方、現在の通院施設まで遠方と考える方は、当外来で引き続き診療を継続します。そして、将来を見据えて成人科への移行支援を行います。女性に多い疾患では、思春期の性の問題や子宮頸がんワクチンについて説明することができます。

アレルギー・気管支喘息・食物アレルギー

  1. 食物経口負荷試験の実施、保育園・学校への学校生活管理指導票の記入を行います。

  2. 気管支喘息に対しては、喘息日記の使用、ピークフローの使用と記録により、自身の気管支喘息について把握しています。その上で、気管支喘息治療ガイドラインに準拠したオーソドックスな診療を行っています。

  3. 食物アレルギー、アナフィラキシーに対しては、食物経口負荷試験、運動負荷試験等を行います。

  4. 治りにくい気管支喘息に対して生物学的製剤の導入と維持療法を行っています。

  5. 学校保健の立場から、学校、薬局との連携したアレルギー診療を行っています。アレルギー(気管支喘息、鼻炎、食物アレルギー)に関する診察、学校におけるアナフィラキシー対応に関する御相談について、学校安全の立場から該当する患者様の診療を行います。小学校、中学校の養護教諭の先生から当外来に該当する児童、生徒について御紹介をいただくことができます。学校からの依頼に対しては、文書(診療情報提供書)で御回答することができます。調剤薬局の薬剤師の方が担当するエピペン指導の方法について、学校薬剤師の方の担当する学校内でのエピペン指導についての御相談についても含めて、連携した診療を行っています。

アトピー性皮膚炎

小児科で通院されるアトピー性皮膚炎の方は、気管支喘息を合併される方、食物アレルギーで多数の抗原に陽性であるために、常にかゆみを感じている方が多く受診されています。

  1. 開業の皮膚科の先生方へ
    皮膚科での通院をこれまで通り継続しながら、デュピクセント等の生物学的製剤の併用を考える場合です。6歳未満の低年齢等で皮膚科での注射の説明、実施が難しい場合、小児科でのデュピクセントの注射を当科で導入と継続を行います。使用前検査、注射の副反応等の確認も小児科で継続して行います。維持期に入った場合は、希望があれば、かりつけ医で継続します。その場合、当科では3か月に1回程度経過観察の受診があります。
    6歳未満等で皮膚科での血液検査が難しく、当科での血液検査を依頼する場合、アトピー性皮膚炎の経過について、当科でも併診して問診を行い、定期で経過をみてまいります。

  2. 開業の小児科の先生方へ
    6歳未満等で、自院でのデュピクセントの注射が行いにくい場合、当院小児科では、かかりつけ医医師との連携を継続しながら、デュピクセントを当科の小児科外来で開始(導入)します。維持期に入った場合は、希望があれば、かかりつけ医で継続します。その場合、当科では3か月に1回程度経過観察の受診があります。
    6歳未満等で皮膚科での血液検査が難しく、当科での血液検査を依頼する場合、アトピー性皮膚炎の経過について、当科でも併診して問診を行い、定期で経過をみてまいります。

  3. 患者様の保護者の方へ
    これまで受けたアトピー性皮膚炎の治療で治りにくくお困りの場合、生物学的製剤の使用について知りたい場合、受けたい場合は、当科でアレルギーの項目の採血を行い、問診と皮膚の評価を行います。

当科では、地域の皮膚科と小児科との連携を重視しています。アトピー性皮膚炎診療ガイドラインに準拠しつつ、ステロイド軟膏、免疫抑制薬の軟膏療法を正しく使用し、それでも治りにくい皮膚炎に対しては生物学的製剤を併用しています。とくにデュピクセントは、小学生、中学生で既存の治療に加えることで、皮膚炎の改善を認めています。紹介元の皮膚科で軟膏療法を継続し、当科で生物学的製剤を使用する医療連携を行います。生物学的製剤の使用に慣れているアレルギー学会専門医・指導医の診察日がありますのでご相談ください。

エピペンの注射手技の個別指導とエピペンの使用が必要なタイミングの知識の指導

  1. エピペンはアナフィラキシー発生時に確実に注射できることが必要です。エピペンを処方された児童生徒が通学しているが、学校の養護教諭から、個別のケースで対応に困ると相談を受ける場合があります。当院はアナフィラキシー発生時の児童生徒が救急車で搬送される病院であります。そこで、「学校救急看護」の観点から、学校との連携をとるべく、養護教諭からの相談をお受けしています。また、学校からの相談内容の記載された依頼書(診療情報提供書)を担当する児童生徒の保護者にお渡し、受診を説明ください。当科では、個別のケースで疑問点が解決できるよう、依頼内容に対して行った診察、検査、結果説明と指導内容を御回答します。エピペン注射手技の再指導では、養護教諭、学校関係者が、希望により指導時に立ちあえるように調整します。

  2. 給食後の運動でアナフィラキシーが発生したが、給食内容に原因があるか知りたい等で、学校からご紹介を受ける場合がありました。疑われる食物を負荷して運動誘発アナフィラキシーの検査を行い、学校にご報告いたします。

  3. 次に、当科ではエピペン注射指導を行う学校薬剤師の方との連携を重視しています。院外処方箋を家族の方が学校薬剤師の勤務する薬局に持参して、患者とその家族の方へエピペンのお渡し時に更新のための指導をお願いすることがあります。これは学校薬剤師の方と学校関係者・養護教諭の方がスムーズに連携することを期待してのことです。

腎臓病・尿路感染症

急性腎炎、慢性腎炎、ネフローゼ症候群、尿路感染症等を対象とします。

  1. 学校検尿、保育園・幼稚園での検尿で異常を指摘され、病院受診を勧められた方に対して、血液検査、尿検査、超音波検査、MRI検査を行います。腎機能検査である核医学検査は院内で行います。体に害のない放射線をだす薬を使って、体の中の状態を画像(シンチグラム)にする検査です。腎臓の機能、おしっこの流れ、おなかの腫瘍、炎症などを調べるために行います。腎臓の組織を調べる腎生検を行うことで、腎炎、ネフローゼ症候群の診断を行います。

  2. 尿路感染症では、腎機能検査の核医学検査、膀胱造影による膀胱尿管逆流症が見つかった場合は、小児外科と連携して治療を行います。

血液・腫瘍

白血病、悪性・良性腫瘍、貧血、血友病、あざができやすく血が止まりにくいなどの症状の患者さんを拝見させていただきます。

神経

てんかんなどのけいれんをきたす疾患を中心として、患者さんを拝見させていただきます。

循環器

川崎病、心雑音、不整脈、先天性心疾患をもたれる患者さんを拝見させていただきます。

内分泌・代謝

甲状腺機能異常(亢進症;バセドウ病、低下症;橋本病)、低身長、肥満、糖尿病などの代謝性疾患を拝見させていただきます。
成長ホルモンの分泌が正常であるか、低身長の原因を見るために、成長ホルモン分泌刺激試験があります。成長ホルモンを分泌させる検査で使用する薬は、クロニジン、L-DOPA、グルカゴン、アルギニン等があります。

呼吸器

繰り返す咳、肺炎、睡眠時無呼吸などの患者さんを拝見させていただきます。

心理

長期入院の患者さんとそのご家族、事件・事故・災害などに遭われたお子さんとそのご家族、小児の発達障害、不登校のお子さんとそのご家族の心理相談を行っています。

予防接種

慢性の病気、アレルギーのためになかなか予防接種ができない患者さんを対象に行っております。
また早産低出生体重児・先天性心疾患患児等に対するRSウイルス感染重症化予防のためにシナジス注射も行っております。

シナジス外来

早産・未熟児で生まれた方・先天性心疾患(心臓病)・免疫不全・ダウン症候群の方をはじめ、下記に記載される疾患を対象として、シナジス注射を外来で行います。毎年注射を行う時期は、千葉県内の流行を予測して、県全体として決められた時期に行われます。
連携病院・他の医療機関で生まれた里帰り出産等のお子様の紹介を積極的に受け入れ、当院で注射を行います。NICUでのフォローアップ外来はこれまで受けている病院で継続できます。
RSウイルス(Respiratory Syncytial Virus)感染による重篤な下気道疾患の発症抑制のため下記の新生児、乳児、幼児の方が対象となります。
RSウイルス感染流行初期において
〇在胎期間28週以下の早産で、12ヵ月齢以下の新生児および乳児
〇在胎期間29週~35週の早産で、6ヵ月齢以下の新生児および乳児
〇過去6ヵ月以内に気管支肺異形成症(BPD)の治療を受けた24ヵ月齢以下の新生児、乳児および幼児
〇24ヵ月齢以下の血行動態に異常のある先天性心疾患(CHD)の新生児、乳児および幼児
〇24ヵ月齢以下の免疫不全を伴う新生児、乳児および幼児
〇24ヵ月齢以下のダウン症候群の新生児、乳児および幼児
〇24ヵ月齢以下の肺低形成を伴う新生児、乳児および幼児
〇24ヵ月齢以下の気道狭窄を伴う新生児、乳児および幼児
〇24ヵ月齢以下の先天性食道閉鎖症の新生児、乳児および幼児
〇24ヵ月齢以下の先天代謝異常症の新生児、乳児および幼児
〇24ヵ月齢以下の神経筋疾患の新生児、乳児および幼児
毎月1回注射のために外来を受診していただきます。外来での待ち時間をできるだけ短縮するため予約制で行っています。詳細はお電話でお問い合わせください。
シナジスは細い注射針を用いて、大腿部に毎月1回、注射部位をかえて注射を行います。体重により注射量が決まりますので、体重が増えますと、注射量も増えます。

 シナジスはRSウイルス感染によって生じる重篤な肺炎などの予防をします。以前は秋から春にかけての寒い季節の流行が多かったのですが、最近は春から夏にかけても流行するために、4月から毎月シナジスを注射することがあります。各都道府県では、流行時期により、それぞれ注射する期間を決めて実施しています。
 RSウイルスにいったんかかると、感染後にはゼーゼーするような喘鳴を繰り返すこともあります。とくに、兄弟の多い方や、保育園に入られる方はRSウイルスにかかりやすくなるため注射をおすすめしています。
 里帰り出産や、他院のNICUで生まれたお子様も当院でシナジス注射を受け、乳児検診は通常どおりに出生した病院でフォローアップ外来を含めて継続することができます。
 注射に関わる費用は毎回健康保険でまかなわれます。千葉県では子ども医療費助成制度がありますので、シナジス注射はその対象になります。
 シナジス注射は、五種混合ワクチン、BCG、ポリオなどのワクチン接種の予定に影響を与えませんので、それらを予定通り受けることができます。ご安心ください。

ベイフォータス

RSウイルス(Respiratory Syncytial Virus)感染流行期の重篤なRSウイルス感染症のリスクを有する新生児、乳児及び幼児における、RSウイルス感染による下気道疾患の発症抑制に対して、2024年5月からベイフォータスが販売開始されました。シナジスの適応と一部異なっています。ベイフォータスは、健康保険対象疾患外の小児に対する自費での注射が認められています。

頭痛・起立性調節障害

反復する頭痛、朝、起きられないので学校に行けない等の児童・生徒に対して、検査・薬剤の処方を行います。頭痛薬が症状に適しているかを確認しつつ診療しますので、定期的な受診が必要になります。
医師が必要と考えた場合、臨床心理士との面談が行われます。

自費検査

血液型が知りたい、大学・専門学校に入学するために麻疹、風疹、おたふく、水ぼうそうの抗体検査が必要である等の場合、自費検査として受けることができます。自費検査と保険診療は同じ日にできませんので、保険診療を受ける日とは別の日に受診していただき採血を行っています。

お問い合わせ

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日本医科大学千葉北総病院

〒270-1694 千葉県印西市鎌苅1715
TEL: 0476-99-1111(代表)