業務内容

組織診断

 病理診断科の最も重要かつ主要な業務内容です。まず、患者さまから内視鏡などで採取された生検検体や、手術などで摘出された臓器の検体をホルマリンで固定後、蝋(パラフィン)で固めたもの(=ブロック)を作製します。それを最終的に約4μmの厚さでスライスしてスライドガラスに載せ、専用の染料で染色を行い顕微鏡で観察し診断する検査方法です。画像診断では描出不能な細胞11ヶの形やその構築を見ることで、患者さまの病態を詳らかにすることが可能となります。殆どのがんの診療には組織診断の裏付けが必要不可欠となっています。また、術後の患者さまには最終的な診断と病期の確定を行います。これにより、術後の治療法の選択が可能となります。化学療法や放射線療法の使用後は、その効果判定にも用いられます。
 近年では、染料を用いた染色だけでなく、抗原抗体反応を応用し特定の物質の発現を調べる方法(免疫染色)が可能となり、患者さまの治療選択にさらに寄与するようになっています。また、適切に作製されたブロックは長期保存が可能であり、遺伝子検査にも用いることが可能です。
 このように臨床医の意志決定に重要な役割を担うため、専門の資格を持った常勤の医師(病理専門医)が必ず診断しています。

細胞診断

 細胞診断は組織診断のような複雑な工程を経ずに直接患者さまから得られた細胞をスライドガラスに載せて染色し、顕微鏡で観察する検査方法です。最も多いのは病気があるかどうかのふるい分け(スクリーニング)検査として行われるもので、子宮がんや肺がん、膀胱がんなどの発見を目的に用いられます。また、診断の確定のために行われるものとして甲状腺がんや乳がん、膵がんなどがあります。細胞診断は専門の資格を持つ臨床検査技師(細胞検査士)がまず鏡検し、疑陽性以上のものは全例専門の資格を持った医師(細胞診専門医)が診断しています。

術中迅速診断

 術前に確定診断に至らなかったり、病気の及ぶ範囲が分からなかったりしたときに手術中に行われる検査です。手術室から運ばれた検体は特殊な処理を行い凍結させ、薄くスライスしてスライドガラスに載せて染色します。できあがった標本はすぐに鏡検し手術室へ電話で報告します(提出から報告まで約1020分)。乳がんや膵がんの手術ではほぼ必須となっています。当院は常勤の病理専門医が2名おりますので、日中については常に対応可能な体制となっています。

病理解剖

 不幸にして病気で亡くなられた患者さまに対し、医学の発展や医療従事者の教育のため、死体解剖保存法に則って行われる解剖です。ご本人やご遺族の意志により行われるもので、全身をくまなく調べ、病因や病態、死因に迫ります。司法解剖とは異なり当院で行い、後日(36ヶ月後)主治医から最終的な診断をお伝えします。

教育

 大学病院として、医学部学生に対する教育にも携わっています。医学部では病理学は必修科目であり、私たちも日本医科大学医学部における病理学の講義や実習の一部を担当しています。卒業後も解剖症例における臨床病理カンファレンス(CPC)などを通して初期研修医や他科の専攻医を含めた医師の生涯教育の一翼を担っています。また、中央検査室と共同で他大学・専門学校からの臨床検査技師の病院実習も受け入れています。

研究

 基礎教室のような大がかりな研究は出来ませんが、希少な症例などは学会や論文発表を行っています。また、臨床医と共同で研究を行ったりもしています。