こんな症状に要注意

急に生じた聞えの悪さ

このような症状を感じたら早めに耳鼻咽喉科を受診してください。早期治療が重要になる場合もあります。病気としては、耳垢のつまり、ケガによる場合、それから外耳炎、鼓膜炎、滲出性中耳炎、外リンパ瘻、突発性難聴などがあります。なかでも、特に注意を要する疾患は突発性難聴で、早期の診断と早期の治療を要します。ある日、突然難聴を生じる病気で、症状の出現から治療の開始まで1ヶ月以上あけてしまうと大変治りにくくなります。
病気によっては、ゆっくり治療しても問題のない場合もありますが、早期の受診と治療が望ましいでしょう。

持続する耳だれ

耳だれとは耳の穴から出てくる液体、膿や滲出液(しんしゅつえき)のことをさします。耳だれをきたす疾患として、慢性中耳炎、真珠腫性中耳炎、外耳道炎などがあります。いずれも、治療が必要です。
放置すれば、耳だれを反復し、急激ではないものの難聴は進行することが多いです。また、めまいの症状を伴う場合は要注意です。早いうちに、どんな病気にあたるのかを診断を受け、適切な治療をうけることが望ましいでしょう。

めまい、フラフラ感

めまいやフラフラ感を訴えて、病院にいらっしゃる患者さんの大部分は“脳の病気かな?”と心配し、脳外科や神経内科の受診を希望なさいます。もちろん、脳に原因があってこうした症状をきたすこともありますが、比較的頻度は低いようです。実際は、耳に原因がある場合のほうが多く、耳鼻咽喉科では数多くのめまい・フラフラ感の患者さんを診察しております。
耳が原因のめまいの多くは、早期の診断と治療を要しますが、命にかかわるような病気はほとんどありません。しかし、脳の病気が内在する場合もあるため、早めに受診して適切な診断を受けることが大切です。

顔の動きの悪さ

顔のうごきが悪くなる状態を顔面神経麻痺といいます。さまざまな原因で顔面神経麻痺は起こります。
帯状疱疹ウィルス感染によるもの(ハント症候群)、中耳炎によるもの(中耳炎性顔面神経麻痺)、事故など外傷によるもの(外傷性顔面神経麻痺)、腫瘍によるもの(聴神経腫瘍、耳下腺腫瘍)などがありますが、何の原因もなく突然顔面神経麻痺になる場合(特発性顔面神経麻痺、別名ベル麻痺)が最も多いとされています。
いずれの場合でも、早期診断・早期治療によって治り方が良くなります。

くしゃみが続く

くしゃみは生体の防御反応です。異物が鼻に多量に入ったり、風邪のときなどに見られます。これはその侵入者を気道の外へ出す反応です。しかし、多量の異物で無い場合にもくしゃみは出ます。気道の過敏性が高まった場合や特にある種の「抗原」と呼ばれるアレルギーの元が入って、アレルギー反応が起こる場合です。連続してくしゃみが出る時には医療機関を受診して花粉症を含むアレルギーなどの病気であるかないかを判断してもらうことが必要です。

水様性鼻汁がとまらない

鼻みずと同じ言葉ですが、これは鼻粘膜の分泌の過剰状態です。通常やはり風邪の時やくしゃみをした後に鼻みずが出ます。熱いものや辛いものを食べたり、おふろに入った後に出る鼻みずは胃や皮膚が刺激されて、その反射として副交感神経が興奮し出てくるものです。続けて何日も鼻みずが出る場合にはアレルギー性鼻炎などの症状が疑われます。この様な時には医療機関を受診して風邪のためか慢性的なアレルギーなどの病気でないかを判断してもらうことが必要です。

持続する粘性鼻汁

「ねばねば」とした鼻汁のことです。鼻から外に流れ出ることは少なく、鼻の中に溜まったり、咽に回ってしまうことが多いのが特徴です。一時的には風邪の症状としてありますが、常にこの様な鼻汁がある場合には、「ねばねば」とした鼻汁をつくる病気である可能性があります。最も多いのは副鼻腔炎と呼ばれる鼻腔の周りの空洞に炎症が生じている病気であり、慢性的な場合には医療機関を受診してください。

頻繁な咽頭痛

頻回に“のど”の痛みを感じる場合には、慢性扁桃炎や、上咽頭炎、茎状突起過長症、胃食道逆流症、悪性腫瘍などの原因が考えられます。このうち、慢性扁桃炎では、溶連菌感染が持続して、腎炎や心膜炎などの原因になることもありますので、手術が必要になることもあります。また、胃食道逆流症によるものの場合には、声帯付近に肉芽腫形成などの原因にもなります。また、なかなか治まらない“のど”の痛みの場合には、悪性腫瘍がその原因になっていることもあるので注意が必要です。

イビキ

イビキは昔は「健康の証し」のように考えられる時代もありましたが、“のど”の一部が眠っている間に狭くなることに起因するものですから、ひどい場合には睡眠時無呼吸症候群や睡眠時低換気を起している場合があります。睡眠時無呼吸症候群や低換気の状態では、心臓や肺、更には血液に至るまでの全身性の疾患の原因になりますので注意が必要です。また、睡眠時無呼吸症候群ではないにしても、人知れずイビキに悩んでいる方も多くいらっしゃいます。イビキの多くは、的確な診断を行えば、手術などで軽減することができますので、独りで悩まずにご相談にいらしてください。

ムセ

ムセたという経験のない人はいないと思いますが、これが慢性に、もしくは注意しないと頻回に起こるという場合には非常に苦しいですし、多くの場合、気管に食物や飲物が入り込むことによる、つまり飲み込みがうまく行かない(嚥下障害)によって起こりますから、結果として肺炎を起したり、生命の危機に瀕する場合もあります。ムセなどの飲み込みに問題があると感じる場合には、的確な対応が必要で、また的確な診断により、問題を出来るだけ少なくし治療に専念することができます。

首の腫れ

首の皮膚より深いところに腫れ物ができることを頸部腫瘤といいます。原因には様々なものがあります。リンパ腺自体あるいは口やのどの炎症に反応して、リンパ腺が腫れる場合、頸部に膿がたまってしまう場合、先天性に嚢胞という液体がたまる腫れが生ずる場合があります。頸部の臓器例えば、甲状腺や耳下腺が腫れる場合もあります。最もこわいのは口やのどに癌があってその転移としてリンパ腺が腫れる場合です。原因を良く調べて治療方針を立てますが、頸部腫瘤は手術が必要になることが比較的多い徴候です。

持続する口、のどの痛み

歯茎や上顎、頬の粘膜や舌などの口の中や扁桃腺のあたりの咽頭に痛みを生ずるときは口内炎や歯周囲炎、あるいは舌炎、扁桃炎といった炎症が最も考えられる疾患です。しかし痛みが持続し、かつ進行性に悪化するときは要注意です。軟膏やうがい薬などの治療薬では治らない、口の中や咽頭に発生する癌などの悪性腫瘍の症状でもあるからです。耳鼻咽喉科・頭頸部外科医の診察をうけることをお勧めします。

のどのつかえ感

のどのつかえ感とは、つかえ感のみで食事が実際にはつかえない場合をいいます。「水や唾液が落ちにくい」、「のどに何かがある感じ」、「のどがイガイガする」などの症状もあわせて、咽頭違和感と表現します。慢性扁桃炎・咽頭炎、甲状腺疾患、首の骨すなわち頸椎の変形、脳神経の変性疾患、心臓疾患、さらに更年期、精神疾患の一症状となることがあります。咽頭や食道の悪性腫瘍の初期症状となることもあるので要注意です。様々な原因から生ずる症状なので、血液、内視鏡、X線写真、超音波検査などが必要になります。