虚血性心疾患(心筋梗塞や狭心症)に対するカテーテル治療について
当科では、急性心筋梗塞や狭心症に対しての心臓カテーテル治療(経皮的冠動脈インターベンション:PCI)を積極的に行っています。特に急性心筋梗塞に対しては、迅速な診断、検査、治療が必要であり、院内に循環器内科医師が365日24時間常駐し、いつでも緊急で心臓カテーテルが実施できる体制をとっています。また、当院では救命救急センターへ搬送されてくる重症例(心肺停止やショック状態の患者さん)も多く、救命救急センター医師と協力し、経皮的人工心肺装置(VA-ECMO)や大動脈バルーンパンピング(IABP)などの機械的サポートも積極的に導入し、患者さんの救命率向上に取り組んでいます。2023年4月より、血管造影室(カテーテル治療を実施する部屋)が2室に増え、緊急症例への対応が実施しやすくなりました。
安定した狭心症の患者さんについては、外来で冠動脈CTや運動負荷検査などを行い、必要に応じて短期入院で心臓カテーテル検査を行います。その結果に基づき、必要が必要な病変があれば、カテーテル治療を検討いたします。
当院では2021年から冠動脈の高度石灰化病変(石のように硬い狭窄病変)に対するカテーテル治療において、ロータブレータ(硬い石を削ることができるドリルのようなカテーテル)が使用できるようになりました。これを使用することにより、従来のバルーン(風船)では治療できなかった難しい病変に対するカテーテル治療が可能となり、成績向上が期待できます。
下肢動脈に対するカテーテル治療について
近年の高齢化に伴い、全身の動脈硬化による症状がある患者さんが増えています。特に足の血管の動脈硬化により、血管が狭窄したり閉塞する下肢閉塞性動脈硬化症が多くなっています。初期の症状としては、歩くと足が痛くなったり、冷たく感じることがあります。病状が進行すると、安静時にも足先の痛みが出現したり、足の指に潰瘍(傷)ができて治りにくくなり、最終的には壊死してしまい指や下肢の切断に至ります。
足の動脈に対しても、心臓の冠動脈と同様にカテーテル治療を行うことができ、患者さんの血管の状態により、バルーン(風船)による拡張やステント(金属の網状の筒)を入れることにより、足の末梢側への血流を回復させます。足の潰瘍(皮膚のただれ)や壊死(細胞が死んだ状態)ができてしまった場合は、血流を回復させることと並行して傷の処置が必要となり、院内の形成外科や皮膚科と連携して治療に当たっています。
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心臓や血管の手術について
当院には心臓血管外科がなく、心臓や血管の手術が必要と判断した場合は、日本医科大学付属病院(文京区千駄木)や日本医科大学武蔵小杉病院、近隣の心臓血管外科のある病院を紹介しています。患者さんの病状や必要な手術を考慮し、最適と考えられる病院を紹介させていただきます。
お問い合わせ(平日・夜間・休日救急外来)
日本医科大学多摩永山病院
〒206-8512 東京都多摩市永山1-7-1
TEL: 042-371-2111(代表)