診療内容
内科系
上部・下部消化管、肝臓、胆嚢、膵臓などの良・悪性疾患や消化不良症、便通異常などの機能的疾患など幅広く診療をおこなっていますが、とくに内視鏡診断、治療に力を入れています。内視鏡では、病気の早期診断のほか吐下血に対する緊急内視鏡による止血術、食道静脈癌硬化療法、胃・大腸のポリープや早期癌に対するポリペクトミーおよび粘膜切除術(EMR)、総胆管結石に対する内視鏡的乳頭切開術(EST)などの治療を積極的に行っています。
また、胃十二指腸潰瘍に対するヘリコバクター・ピロリ除菌療法、潰瘍性大腸炎に対する顆粒球除去法、肝炎に対するインターフェロン療法、重症急性膵炎に対する動注療法など最新の治療を行っています。
食生活の欧米化、高齢、ストレスを原因として最近日本人に増えてきた、逆流性食道炎の「むねやけ」に対する専門外来も開いております。
外科系
食道がん、胃がん、大腸がん、直腸がん、肝臓がん、膵臓がんの手術を中心に、「がん治療ガイドライン」に従い、内視鏡治療(内視鏡的粘膜切除術)、腹腔鏡手術(低侵襲性手術)、縮小手術・拡大手術(開腹手術)までがんの進行度に合わせて、最適な外科治療を行っております。がんの治療とともに、患者さんの生活の質(QOL)の向上を目指し、充分な説明のもと質の高い医療を提供させて頂きます。
良性疾患では、胆石症(腹腔鏡手術で対応)・鼠径ヘルニア(脱腸)・肛門疾患(痔)などの一般腹部外科領域、急性虫垂炎(盲腸)・胃十二支腸潰瘍穿孔・腸閉塞などの腹部救急領域、小児ヘルニア・幽門狭窄などの小児外科領域まで、幅広く各種消化器外科専門医が対応しております。
食道
食道がんの標準治療は、手術、抗癌剤治療、放射線治療を組み合わせた集学的治療が一般的です。当科では「食道がん治療ガイドライン」に則って、病気の進行度に合わせた、最も適した治療法を選択しております。早期がんに対しては、大きな手術を行わず、内視鏡的粘膜切除術を行い、高度進行がんには開胸、開腹による3領域リンパ節郭清をともなう拡大手術を行い、がんの治療を目指しております。また、先進的な取り組みとして、全国に先駆けて食道がん手術に鏡視下手術を取り入れております。鏡視下手術は、従来の開胸手術と比べて、患者さんへの侵襲が少なく、早期回復が利点であり、今後益々発展する術式と思われます。治療の難しい食道がんではありますが、根治性と低侵襲性の両立を目標に、最善、最新の治療を提供させていただきます。
良性疾患では、近年増加傾向にある逆流性食道炎を中心に、胸やけ外来を開設しておりますので、お気軽にご相談ください。
胃・十二指腸
胃がんに対しては「胃がん治療ガイドライン」に準拠した治療を行っており、早期がんでは、内視鏡的粘膜切除術(EMR)、腹腔鏡補助下胃切除術を積極的に行い、進行がんでは開腹手術をがんの進み具合に応じて選択しております。開腹手術においても、個々の患者さまに応じて縮小手術、機能温存手術、拡大根治術を選択し、過不足のない最適な手術を行っております。また、術後のQOLを重視する観点から再建方法にも工夫をしており、胃を全部切除した場合は、胃の代わりに小腸を折りたたんで袋を作製し、なるべく多くの食事がとれるように努めています。
最近では、胃がん、大腸がんに対して、抗癌剤感受性試験を導入し、副作用の少ない、より効果のある抗癌剤による治療、オーダーメード治療の実践を目指しております。
ピロリ菌外来では、胃十二指腸潰瘍の原因菌とされているヘリコバクター・ピロリ菌の除菌治療を中心に、薬物治療による潰瘍の再発予防を積極的に行っております。また、アスピリン内服に合併する胃粘膜障害の診断治療は循環器内科と連携して行っております。
肝胆道膵臓疾患
ウィルス性肝疾患
最新のエビデンスに基づき、インターフェロン、抗ウィルス薬を主体とするB型、C型肝炎治療を行なっています。肝硬変に移行した症例についても、適応を検討した上で肝細胞破壊の阻止、肝硬変の進展抑止を目的としたインターフェロン治療を積極的に導入しています。
脂肪肝
生活習慣病の一環でもある非アルコール性脂肪性肝炎について、主な原因である内臓脂肪蓄積、合併する糖尿病、高血圧、脂質異常症の治療を、計画的ダイエットをはじめとする生活習慣指導を基本的治療方針とし、適切な薬物治療と組み合わせて行なっています。
肝硬変症
さまざまな疾患に起因する肝硬変に合併する食道胃静脈瘤については、出血に対する緊急的、待機的な内視鏡的治療、その後の根治的治療である内視鏡的硬化療法、血管閉塞治療、薬物治療を行なっています。こうした疾患では肝硬変に合併する門脈圧亢進症により出現する血管走行の異常を適切に把握することが治療選択に重要であり、放射線科と連携して正しく血管構築を診断した上で治療にあたっております。
肝硬変に起因する難治性の腹水について、薬物治療などの通常治療に抵抗する症例については高度先進医療である経頸静脈的肝内門脈大循環短絡術(TIPS)の適応を付属病院(東京都文京区)消化器内科と随時連携して検討しております。
肝臓がん
ラジオ波熱凝固療法、肝動脈塞栓療法、手術治療(開腹・腹腔鏡)、化学療法と多岐にわたる肝臓がん治療法の適応を適切に判断し、放射線科(血管内・低侵襲治療センター)とも連携して最適な治療を提供することを心がけています。
胆道疾患
手術適応のある胆石症などの胆嚢疾患については、ほぼ全例腹腔鏡手術を行っています。合併する総胆管結石に対しては、内視鏡的結石除去を先行して行なっています。胆道・すい臓がんは一般的に予後不良とされていますが、早期発見につとめ、手術及び術前術後の抗癌剤・放射療法など集学的治療を行い、予後の改善を目指しております。また、手術をせずに内視鏡的に黄疸を解除する胆道ステント術を積極的に行い、QOLの向上に努めています。
大腸(結腸・直腸)
大腸(結腸・直腸)がんでは、「大腸がん治療ガイドライン」に従い、転移のない早期がんに対しては積極的に内視鏡的粘膜切除術を行い、進行がんには腹腔鏡手術、開腹手術を選択しております。当科では他臓器浸潤のある大きながん以外は基本的に腹腔鏡手術を選択しています。直腸癌手術においても常にQOLを重視して、可能な限り神経と肛門を温存しておりますので、人工肛門となるケースは非常に希です。術後の肝再発、局所再発につきましても積極的に切除するとともに、肝動注療法や抗癌剤治療、放射線治療などを併用した集学的治療を行っています。
腹腔鏡手術
腹腔鏡手術は従来の開腹手術に比べ、傷が小さく、術後の痛みが少ない、患者さまに優しい手術治療法です。術後の回復も早く、入院期間も短くなるのが特徴です。当科では胆嚢摘出術の他、食道・胃・大腸の病気に対して、良性疾患だけではなく、がんに対しても、がんの部位、病期の進み具合に応じて腹腔鏡手術を行っております。鼠径ヘルニア(脱腸)の手術も現在はほとんどが腹腔鏡で行われています。
最近は一つの小切開で手術を行う「単孔式腹腔鏡手術」も導入しています。臓器ごとに専門医を配置して、慎重な適応の決定と手術経験のもと、安全な腹腔鏡手術を提供しております。
検査内容
- 上部・下部内視鏡
- 超音波内視鏡
設備等
電子内視鏡、CT、MRI、DSA、超音波、アルゴンレーザー、LCS、リニアック、ラジオ波