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細胞生物学- 細胞生物学部門 -

ようこそ岩井研究室へ

がん治療の革命を起こした免疫チェックポイント阻害剤ニボルマブ(商品名:オプジーボ)。2018年ノーベル生理学医学賞を受賞した京都大学本庶佑教授の研究室でニボルマブの開発を行った経験と、全国有数のがん拠点病院である日本医科大学ならではのアドバンテージをいかして、当研究室では、がん免疫の基礎研究と新しい診断・治療法の開発に取り組んでいます。免疫システムの二大特徴である「自己寛容」と「免疫記憶」を研究テーマとして、実臨床に役立つ研究を目指しています。

本研究室の関連記事

日本内科学会雑誌108巻9号, p1766-1771, 2019 (クリックするとPDFファイルが開きます)
日本医科大学広報誌 OneHealth 第531号 (クリックするとPDFファイルが開きます)
2018年ノーベル生理学医学賞プレスリリース (クリックするとPDFファイルが開きます)

 

研究内容

免疫チェックポイント阻害剤抗PD-1抗体(ニボルマブ)は、他に治療法のない末期がん患者さんの約20%で効果があり、がん治療の革命を起こしました。けれども残念ながら残りの80%の患者さんには効果がありません。岩井研究室では、お薬が有効な患者さんを見分ける診断法や、お薬が無効な患者さんに対する新しい治療法の開発に取り組んでいます。その治療の成否の鍵を握るのが記憶T細胞です。免疫記憶には大きな個人差があります。当研究室では基礎研究と臨床研究を横断的に展開することによって、免疫記憶の個人差が生まれる分子基盤を解明したいと思っています。さらに、効率よく免疫細胞が機能するためには、適切な場所に移動する必要があります。当研究室では、生きたマウスの脳や肝臓で細胞の"動き"をリアルタイムに観察することが可能なインビボイメージングの技術を確立しました。この最新技術を応用して、CNSループス(中枢神経症状を呈する全身性エリマトーデス)やがん転移における免疫細胞の遊走機構の解明にも取り組んでいます。

1.がん免疫療法および診断法の開発

免疫チェックポイント阻害剤に対する感受性を判断する診断法や、がん特異的キラーT細胞やその記憶T細胞を誘導するワクチンの開発に取り組んでいます

2.T細胞記憶とT細胞疲弊の分子メカニズム

同じ抗原に対してT細胞記憶ができる人とT細胞疲弊になる人がいます。このような個人差が生じる分子基盤の解明を目指しています。

3.インビボイメージングシステムを用いた免疫細胞遊走の解析

生きたままの状態で、細胞の動きを観察するインビボイメージングの最新技術を用いて、脳の自己免疫病やがん転移モデルの解析を行っています。