診断

画像診断

病理診断

画像診断

マンモグラフィ

正常乳腺組織と乳癌のX線の透過性の違いで診断する検査法です。乳房を挟んでX線を照射し撮影します。正常乳腺組織と比べ、乳癌は白く、脂肪は黒くなります。また、石灰化というカルシウムが沈着した像が白い点や線として見つかり、この像が乳癌によっておこる場合があります。脂肪の多い乳房のほうが診断しやすい検査です。
マンモグラフィ診断で乳癌の可能性はカテゴリ1から5に分類され、カテゴリ3以上は超音波などの画像診断、さらに病理診断として細胞診や針生検が必要となります。

超音波検査

組織での超音波の透過性、反射の違いを利用し診断する検査法です。正常乳腺組織や脂肪に比べ、乳癌は黒く映ります。また、嚢胞などの液体も黒く映ります。マンモグラフィに比べ、超音波検査ではより小さい腫瘤が見つかりやすいと考えられます。逆に、腫瘤でない石灰化病変は見つかりにくいとされます。マンモグラフィと同じく、カテゴリ分類がなされ、カテゴリ3以上は乳癌の可能性があり、細胞診や針生検による病理診断が必要となります。

MRI

乳癌と診断され、その広がりを診断することに多く用いられる検査です。乳癌の広がりが3次元的に詳しくわかります。ガドリニウムという造影剤を用いますので、喘息の方にはこの検査は施行できないとされています。
マンモグラフィや超音波検査と違って乳癌の診断に必須の検査ではありません。一方、海外ではHBOC(遺伝性乳癌卵巣癌症候群:Hereditary Breast and Ovarian Cancer Syndrome)の方に乳癌早期発見のためにスクリーニング検査として推奨されています。

CT

一般にMRIと同様な目的で用いられることが多い検査です。CTの利点は、リンパ節、肝臓、肺などへの転移の有無を同時に調べることができるということです。ヨードの入った造影剤を用いますので、ヨードに対するアレルギーを有する方にはこの検査は施行できません。

病理診断

手術や薬物療法を行う前に乳癌の確定診断を得ることが必須です。この確定診断は画像診断ではなく、病理診断によってなされます。病理診断にはいくつかの方法があります。

穿刺吸引細胞診

超音波検査をしながら細い針を腫瘍に刺し、針の中に細胞を吸引し、吸引した細胞をスライドグラスに吹き付け、顕微鏡で観察する検査です。皮膚を切開することはなく、皮膚に傷痕も残りません。安価であり、かつ、短時間でできるため、多く行われています。ただし、偽陰性(乳癌なのに乳癌と診断されない)、偽陽性(乳癌でないのに乳癌と診断される)が少なからずあるため、慎重に判断することが必要となります。

針生検

超音波検査をしながら、局所麻酔後に2~4回ほど、バネ式の針を腫瘍に刺します。くぼみのある内筒針が最初に腫瘍に刺さり、遅れて外筒針が腫瘍に刺さり、内筒針のくぼみの部分に組織が取り込まれますので、その針を引き抜き、外筒針を戻し、内筒針のくぼみの部分から組織を採取します。細胞診と異なり、組織が採取されますので、診断の精度は高くなります。さらに、乳癌細胞の性質を免疫組織化学染色という方法で調べることができますので、治療方針の決定に役立ちます。

吸引補助下針生検

針生検とほぼ同様の原理ですが、内筒針が腫瘍に刺さった後、吸引圧がかかり、腫瘍組織が内筒針のくぼみに引き込まれ、その後、外筒針が腫瘍に刺さり、内筒針の中に組織が取り込まれます。針生検に比べ、針も太く、採取される組織量が多く、より正確な診断が可能となります。この検査はさらに以下の2つの方法に分けられます。

バコラ生検

超音波検査をしながら、局所麻酔下に腫瘍に針を刺します。吸引装置が手元の装置に内蔵されています。組織を採取するためにはいったん針を抜く必要性があります。

マンモトーム生検

超音波検査をしながら、腫瘍に針を刺す場合と、マンモグラフィを撮影しながら、腫瘍に針を刺す場合の二通りの方法があります。前者を超音波ガイド下マンモトーム生検、後者をステレオガイド下マンモトーム生検と呼びます。ともに局所麻酔下で行います。バコラ生検と違って、吸引装置が外付けになっています。組織の採取に針を抜く必要性がなく、採取された組織が自動的に外部に移動します。
ステレオガイド下マンモトーム生検は、超音波検査で異常所見が認められず、マンモグラフィのみで異常が認められる症例(特に石灰化のみの症例)に行われます。