[先端医学研究所公開セミナー] 分子状水素は脂質のフリーラジカル連鎖反応に介入してシグナル伝達と遺伝子発現を制御する
<演者> 細胞生物学部門 井内勝哉 先生
<日時> 2015.5.28(木) 15:00~16:00
<場所> 武蔵小杉病院 C館1F 会議室
<要旨> 新しい概念の抗酸化物質である水素(H2)は、炎症が関与する様々な生活習慣病に対して効果を示すことから、H2の抗炎症作用の分子機構が注目されている。しかし、H2の抗炎症作用の正確な分子機構は明らかになっておらず、H2が最初に反応または結合する標的は未知である。そこで本研究では、炎症の引き金になる脂質過酸化に着目し、酸化ストレスによる過酸化脂質の生成や活性に対するH2の影響を調べた。その結果、酸化ストレスによる脂質過酸化が低濃度のH2によって調節されることが分かった。さらに、この過酸化脂質の調節を介して、H2は炎症性シグナルや遺伝子発現を制御することが分かった。