[老人病研究所公開セミナー] 癌転移における上皮間葉転換の役割と治療標的としての可能性
<演者> 統御機構診断病理学 石渡 俊行 先生
<日時> 2014.11.21(金) 15:00~16:00
<場所> 武蔵小杉病院 南館2F 講堂
<要旨> 上皮間葉転換(EMT)は発生段階や再生修復のみならず、癌細胞にもみられることが近年、報告されている。線維芽細胞増殖因子受容体のFGFR-2は選択的スプライシングにより、上皮細胞に発現するIIIbアイソフォームと間葉系細胞に発現するIIIcアイソフォームが作られる。我々はこれらのアイソフォームの癌細胞における役割について研究してきた。IIIcを多く発現しているヒト大腸癌、膵癌症例は予後が悪く、培養癌細胞にIIIcを過剰発現させると細胞の遊走能、転移能が亢進した。一方、FGFR-2のスプライシングを調節するESRP1を癌細胞に過剰発現させるとIIIbが増加し、癌転移が抑制された。今回、癌転移におけるEMTの重要性と、治療標的としての可能性について報告する。