[老人病研究所公開セミナー] STAT3とアルギニンメチル基転移酵素PRMT5を介した新しい癌幹細胞様細胞の維持機構
<演者> 免疫部門 阿部 芳憲 先生
<日時> 2014.9.25(木) 15:00~16:00
<場所> 武蔵小杉病院 C館1F 会議室
<要旨> アルギニンメチル基転移酵素PRMT5は胚性幹細胞の増殖や多能性維持に関わる分子であるが、最近になって、様々な癌でPRMT5の発現亢進が報告されている。我々は癌細胞においてPRMT5が、そのコファクターであるMEP50と共に、細胞の癌化と深く関わる転写制御因子、STAT3によって発現が誘導されることを見出した。次に癌細胞株においてPRMT5やMEP50を発現抑制させたところ、癌細胞に含まれる癌幹細胞様細胞の割合が減少することが分かった。また、癌細胞にIL-6を処理してSTAT3を活性化すると癌幹細胞様細胞の割合が増加したが、PRMT5やMEP50を発現抑制すると、IL-6を処理しても癌幹細胞様細胞の割合に変化はなかった。以上のことからSTAT3-PRMT5/MEP50経路が癌幹細胞様細胞の維持を通して、細胞の癌化に重要な役割を果たしていると考えられた。