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[老人病研究所公開セミナー] 心停止後症候群に対する水素吸入療法の臨床応用に向けた取り組み

<演者> 慶應義塾大学医学部救急医学教室 林田 敬 先生
<日時> 2014.7.31(木) 15:00~16:00
<場所> 南館2階 会議室
<要旨> 心停止後症候群(PCAS)は非常に予後不良である。PCASの病態増悪には、全身性虚血再灌流障害が関与していることが知られている。太田らは、分子状水素ガスが活性酸素の除去作用を有し、脳梗塞モデルにおいて虚血再還流障害を抑制することを発見した(Nat Med 2007)。さらに我々は、ラット急性心筋梗塞モデルにおいて水素吸入が心筋虚血再灌流障害を軽減し梗塞範囲を減少し(BBRC 2008)、ラットPCASにおいても低体温療法と同程度に予後改善効果を有することを示した(JAHA 2012)。現在、さらなる検討(①脳組織学的、②投与タイミング、③非高濃度酸素下での有効性、④低濃度での有効性)を行い、水素吸入療法の臨床応用に向けた取り組みを行っている。また、現在我々は、水素の有用性に関する基礎的検討と並行して、水素投与が可能な人工呼吸システムを開発し、倫理委員会の承認を得て、PCAS患者に対する水素吸入療法の臨床研究を開始した。今回、その現状と今後の展望について報告したい。