[老人病研究所公開セミナー] ケロイド発生におけるEMT (上皮間葉転換) の役割について
<演者> 病理部門, 会津中央病院 形成外科 桑原 大彰 先生
<日時> 2013. 7. 25(木) 15:00~16:00
<場所> 武蔵小杉病院C館1F 第1・第2 会議室
<要旨> ケロイドとは、コラーゲンの増生を原因とする炎症性、隆起性病変であるが、しばしば掻痒や疼痛を伴い、またその醜形により多くの患者に苦痛を与える疾患である。早期改善を望む患者が多い一方でケロイドの発生メカニズムはまだ明確には理解されておらず、特効薬の開発も待たれるところである。
近年、腫瘍細胞の転移や創傷治癒過程に関与するとされるEMT (Epithelial-Mesenchymal Transition; 上皮間葉転換) がケロイドの類似疾患である肥厚性瘢痕においても深く関わっていることが報告されている。さらに、ケロイドで高発現している炎症性サイトカインがEMTを誘導することも知られてきている。そこで、我々はケロイドにおけるEMT関連遺伝子について検討したところ、正常皮膚と比較してケロイドにおいて上昇していた。ケロイド発生におけるEMTの関連が示唆されたため、その役割を明らかにするための研究をすすめており、現状について報告する。