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[老人病研究所公開セミナー] 炎症誘発癌の発生メカニズムの解析:大腸炎でのp53の機能抑制

<演題> 炎症誘発癌の発生メカニズムの解析:大腸炎でのp53の機能抑制
<演者> 免疫部門 谷村 篤子 先生
<日時> 2013. 5. 30(木) 15:00~16:00
<場所> 武蔵小杉病院C館1F 第1・第2 会議室
<要旨> 癌抑制遺伝子p53は、癌遺伝子による増殖ストレスによって活性化し、その細胞をアポトーシスや老化の誘導により排除する。従って、癌化の過程ではp53自身が失われるか、このp53による監視機構を回避する必要がある。一方で、癌は慢性炎症に伴って発生する傾向にあることが、病理学的解析や実験発癌等で示されている。そこで、マウス炎症誘発大腸癌の系でのp53の機能を解析した結果、大腸炎症組織ではp53の転写誘導機能は正常に保たれており、細胞周期抑制因子p21の発現は誘導されるものの、細胞周期の停止が起こらないことを見出した。更に、p21欠損マウスでは変異原の投与のみで炎症を起こさなくても大腸腫瘍の発生が見られ、炎症がp21の機能を抑制することでp53の監視機構を回避させているのではないかと推測された。