[老人病研究所公開セミナー] 定期的な運動は脳内セロトニン量に依存せずにうつ様行動を改善した
<演者> スポーツ科学教室 李 ホソン 先生
<日時> 2013. 2. 28(木) 15:00~16:00
<場所> 武蔵小杉病院C館1F 第1・第2 会議室
<要旨> 多くの抗うつ剤は脳内のセロトニン(5-HT)量を高めて抗うつ作用をもたらすとされているが、脳内5-HT量の変化と抗うつ作用の発現には時間的ずれがあるため、脳内5-HTとうつ症改善の関係には疑問点も多い。一方、運動も抗うつ作用をもたらし、その抗うつ作用は運動による脳内5-HTの増加の可能性があると考えられているが、その作用機序の詳細は明らかにされていない。以上のことを踏まえて我々は、運動の抗うつ作用に対する脳内5-HT量の関与の有無を調べるため、トリプトファン(5-HT前駆体)欠乏食飼育で脳内5-HTを低下させたマウスに慢性的なストレスと定期的な運動負荷を行い、この時のうつ様行動、脳内の5-HTとノルアドレナリン量、海馬の神経新生を調べた。その結果、運動による抗うつ作用には脳内の5-HT量よりもノルアドレナリン量が関与することが示された