【公開セミナー】外傷病者における尿中-NGALの意義について
<演題> 外傷病者における尿中-NGALの意義について
<演者> 日本医科大学千葉北総病院救命救急センター 金丸 勝弘 先生
<日時> 2010年6月24日(木曜日)15:00~16:00
<場所> 武蔵小杉病院C館1F 第 1・第 2 会議室
<要旨>
急性腎傷害(AKI)は、重症外傷にしばしばみられる合併症で、中等症以上のAKI合併でICU死亡率が2倍との報告もあり、予後を大きく左右する因子である。AKIの診断には、2000年にBrandtらによって確立されたRIFLE分類が頻用されるが、この分類は血清クレアチニンと尿量を基準に用いており、例えば外傷にAKIを合併していたとしても、診断には48時間あるいはそれ以上の時間を要することが欠点となる。このAKIの診断の遅延は、腎機能を保護すべき機会を失している可能性につながる。尿中-NGAL(neutrophil gelatinase-associated lipocalin)は25kDaのリポカリンファミリーに属し、AKIのバイオマーカーとして最近注目されているもので、受傷後血清クレアチニ
ンの上昇よりも早期に検出される。この観点から、尿中-NGALがAKIの非侵襲的な早期のバイオマーカーとして注目されている。AKIのマーカーとして、血清クレアチニンやNAG(N-acetyl-β-Dglucosaminidase)やαミクログロブリンなどをしのぐとされる尿中-NGALの有用性と、演者らが取り組む外傷病者における尿中-NGALの意義について解説させて頂く。