日本医科大学大学案内2026
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CURRICULUMS TUDE NT S VOI CE 病棟実習で入院患者さんの回診に行く際は、先生方が一人ひとりの患者さんのお名前、病状、検査結果、どういう人なのかを把握しており、その上でコミュニケーションをとることの重要性を実感しました。さらにカンファレンスでは診療科全体で情報を共有し、患者さんにとってその治療が一番良いのかを検討しており、とくに難しい症例はチームで議論することでより良い医療を提供できるということも学びました。 実際に患者さんとお会いして、どのような症状があり、どのようなことに困っているのかがわかりました。それまでは講義で病気について学んでいましたが、実習を通して「病気ではなく、人を診る」ことが実感を持って学べました。同じ病気の患者さんでもその背景はそれぞれ異なるため、きちんとコミュニケーションをとって、その患者さんにとって何が一番良いのかを考える力をつけることができたと思います。35 内分泌学、糖尿病学、代謝学は、全身の恒常性維持機構(体液の量・電解質、血糖などの栄養素、血圧・血流、体温、成長、エネルギー代謝、性周期などの維持機構)を明らかにする学問であり、これらの学問領域を一元的に学ぶことによって、生命体をさらに統合的に、広く深く理解することができます。 さらに、恒常性維持機構の破綻によって生じる疾患、すなわち肥満症、糖尿病、内分泌疾患、高血圧症、脂質異常症に対する診療だけでなく、心血管疾患の一次・二次予防や、生活習慣病に関連する癌の早期発見など、広範な診療能力の習得を目指します。また、これら慢性疾患に対する診療を通じて、患者さんに常に寄り添うヒューマニティーズ教育を実践しています。 本学の救急医学の特徴は、患者さんの初期診療から根治手術、そして集中治療までのトータルケアを行う、いわゆる自己完結型救急医療にあります。多発外傷や広範囲熱傷、脳卒中、急性循環不全など、救命処置や集中治療が必要な重症患者さんに対し、初期治療からリハビリテーションまで一貫した診療を行います。 この中でバイタルサインのチェック、血液ガス分析、各種画像診断、呼吸・循環管理など、患者さんのいのちをつなぐ基本知識と技能を修得します。また学生は医療チームで働く多職種とのかかわりのなかで、将来のチームリーダーとなるべく倫理観や態度を学びます。 座学ではシミュレータやバーチャルリアリティなど、多彩な教育ツールを活用し、リアリティのある授業を展開します。さらにドクターカー同乗実習を通して、救急現場からのシームレスな診療を体験することで、教科書では学べない救急医療の緊迫感を体感します。国内外への災害医療や緊急医療支援などの講義や実習を通して、本学の学是である「克己殉公」の精神、病める人々に尽くす心を涵養します。 病棟医の指導のもとに、新規入院患者さんを受け持ち、問診、身体所見の取得、心電図やレントゲン写真などの基本となる検査の読影と解釈についてトレーニングしてもらいます。そこから問題リストを作成し、診断・検査計画、そして治療計画を立案してもらい内科一般の基礎から循環器まで幅広く学んでもらうことが目標です。 また、担当する患者さんを中心に検査、治療などには介助あるいは見学の形で参加してもらいます。朝の入院時カンファレスや教授の病棟回診時では、自らが担当した症例のプレゼンテーションやディスカッションを行います。救急医学循環器内科学一人ひとりの患者さんに一番良い治療を考える内分泌糖尿病代謝内科学救急患者の入院から治療までの流れを体験し、病態の理解・臨床技術を深めるPOINT日本医科大学の救命救急科は自己完結型主要科目紹介担当教員 横堀 將司 大学院教授2005年日本医科大学大学院医学研究科修了。1999年日本医科大学付属病院高度救命救急センター。2000年国立病院機構東京災害医療センター脳神経外科。2001年武蔵野赤十字病院脳神経外科。2003年日本医科大学付属病院高度救命救急センター。2010年米国マイアミ大学医学部脳神経外科客員研究員。2020年日本医科大学大学院教授。医学部 医学科5年 武藤知香03 臨床実習

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