日本医科大学大学案内2026
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CURRICULUMS TUDE NT S VOI CE 累積型プログラムの「個体の正常構造と機能」の授業では、講義で学修したのちに解剖学実習に臨んだため、知識の確実な定着に繋がったことを実感しています。実習前には必ず実習動画で全体像を掴んでから、教科書と実習書を精読して難解な箇所を確認し、実習後は学んだことを整理して時間をかけて吸収しました。  実際に目で見て自らの手を動かすことで、人体の構造を立体的に捉えられるようになり、臓器や組織の特徴を十分に理解できた一方で、それらは一人一人が少しずつ異なり、決して教科書通りではないことを知りました。解剖学実習を通して生命の尊さに触れ、命を預かるということにはどれほどの知識が必要で、どれほどの責任が伴うものなのか、深く心に刻みました。ご献体から学んだかけがえのない知識と託された願いを胸に、これからも医学と真□に向き合い、医療に貢献できるよう努めてまいります。 31 生命現象は、タンパク質、核酸、糖鎖などを中心としたさまざまな生体分子が相互に作用しあうことによって機能しており、それらは生体分子の化学的性質に基づいています。そのため医学の基盤となる生命科学を学ぶ学生にとっても、化学を学ぶことは生命現象を理解する上で重要です。 自然にかかわるさまざまな現象の理解や法則性を見いだす学問が自然科学ですが、医学も自然科学の一部です。したがって、医学生も科学的な考え方を身につける必要があります。将来、基礎医学や臨床医学の研究者となる者だけでなく、臨床で患者を診察する医師にとっても科学的思考能力は必須です。化学もまた自然科学の一部であり、さまざまな仮説を実験によって実証するところが医学とも共通しています。生命科学概論(化学)では、講義による基礎的知識の修得と、実験による器具の取り扱いや技術の修得の両方を求めています。講義で知識を身につけるとともに、実際に実験を行うことにより、自然現象の観察、得られたデータの解釈などを通じて、科学的思考法をしっかりと習慣づけてもらいます。 個体の正常構造と機能では、マクロな視点から人体の正常構造を理解するとともに、構造に関連した機能をあわせて学修します。 本科目では、学修の過程として「人体解剖学実習」を行います。「献体」によって提供されたご遺体の解剖を通して、人体の構造を学ぶだけでなく、「生命の尊厳」・「医の倫理」を直視することで、医師として高いレベルのモラルを修得します。また、われわれの生体機能が複雑な神経ネットワークを介して制御・統御されている仕組みを形態科学の観点から修得し、生理学的機能と一体化して学修することで、生体を立体的に、そして、ダイナミックに捉える習慣を身につけることを目標とします。 生体の臓器や組織はその機能を発揮するため、独特な構造を有しています。臓器や組織は障害により正常機能が低下すると、恒常性が失われて疾病が発生します。その原因となる「病因」と、疾病が発生するメカニズムである「病態」について学びます。 組織や臓器で病変が形成される過程で起こる、細胞障害、細胞死、再生修復反応や、遺伝性疾患、代謝障害、循環障害、感染、炎症、腫瘍などで各臓器に起こる様々な病変、疾患を、実際の病理組織画像を用いて学修します。これらを通じて、生命の基本的な動態や疾患の本態を学び、将来、臨床医、医学研究者として生きていくための基礎知識を身につけていきます。生命科学概論(化学)個体の正常構造と機能生命の尊さと、命を預かる責任を心に刻む病因と病態自然にかかわるさまざまな現象を理解することで将来の臨床や研究に臨むための基盤を築くPOINTPOINT生体分子の作用を学ぶことは生命を知ること実際の病理組織画像で学修累積型プログラム主要科目紹介担当教員 中村 成夫 教授1989年東京大学薬学部卒業。1994年東京大学大学院薬学系研究科博士課程修了、博士(薬学)取得。1994年九州大学工学部助手、2002年宮崎大学工学部助教授、2004年共立薬科大学助教授、(合併後)慶應義塾大学薬学部准教授を経て、2011年日本医科大学化学教授。医学部 医学科3年 船戸萌衣02

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