日本医科大学付属病院の呼吸器内科に勤務しながら、自分をさらにステップアップさせたくて大学院進学を決めました。取り組んだテーマは、肺がんを治療するオシメルチニブという薬についてです。この薬はがん細胞が持つ特定の分子だけを標的にするため副作用が少ないことが特徴ですが、長期間使用すると薬の効果がなくなる「耐性」が生じるという問題がありました。その仕組みを解明して克服できないか研究したのです。さまざまな論文を調べましたが、その際にイメージを膨らませる癖がつきました。「この抗がん剤治療はなぜ有効なのか」「なぜ耐性になってしまうのか」「そのためにはどのようにアプローチすればいいのか」などと考えながら読んでいます。 大学院在学中は病理部の研究にグループに配属され、アメリカの学会にも同行しました。がん関連の学会や研究会にも参加し、非常に刺激を受けることができました。今後も診療も研究を両立しながら、患者さんに最善の治療法をエビデンスだけでなく、ご自身やご家族の考え方、置かれている環境なども考慮した上で一緒に考えていく医療を提供していきたいと思います。37 2年間で内科24週以上、救急12週以上、外科、小児科、産婦人科、精神科及び地域医療をそれぞれ4週以上研修し、その中で一般外来研修を4週以上行います。2年次には将来のキャリアに応じた診療科を自由に選択して研修を行う期間もあります。また、小児科、産婦人科の専門医を目指す特別プログラムも設けています。研修を通してプライマリ・ケアの基本的な診療能力(態度・技能・知識)を身につけ、チーム医療が実践できる豊かな人間性を備えた医師を育成します。 日本医科大学では、卒前・卒後の一貫性ある医師養成実現に注力しており、指導医―研修医―StudentDoctorの屋根瓦式教育体制が充実しています。学生は先輩の背中を見て学び、研修医は学生を指導することで学びを深めることができます。医学部医学科を卒業して医師国家試験に合格すると、臨床医を目指して卒後臨床研修に進みます。卒後臨床研修は、医学及び医療の果たすべき社会的役割を認識しつつ、多岐にわたる診療の能力を育みます。 2年〜5年間の専門研修(後期)に入ると、全員が専門分野を持って学びます。この時点で、多くの人が臨床医として自らが所属する診療分野を決定します。 研究の道で自らを研鑽することを望む場合には、専修医の身分のまま大学院生(社会人選抜)として大学院医学研究科の各分野に進学することもできます。研修では、指導医のもとで入院患者さんの診療にあたり、専門医として医療安全への再度の理解と実践をするとともに、多くの患者さんに接して経験を積み、必要な診療知識、手技を身につけていきます。各診療科において豊富な臨床症例数を経験できるほか、日本専門医機構により認定された基本領域またはsubspeciality領域の「専門研修プログラム」を用意しており、キャリアパスの具体的表示をしています。さらに、臨床研究、基礎研究が行える体制も備えています。〈2008年 卒業〉高度先端医療の現場で幅広い経験を積み、診察能力と医師としての人間性を育む◎臨床研修(初期):卒後2年 ◎専門研修(後期):2年〜5年間専門研修(後期)プライマリ・ケアの基本的な診療能力を身につける充実した卒後教育が未来を開く臨床研修(初期)卒後臨床研修将来の進路を見据えて専門知識と技術・経験を蓄積するがんの分子標的治療薬の薬物耐性と克服法の研究をとおして論文の読み方が進化しました日本医科大学付属病院 呼吸器内科 勤務 恩田直美GRADUATES
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