担当教員小川 令 大学院教授1999年日本医科大学医学部卒業。2005年日本医科大学大学院卒業、2006年形成外科講師、2007年米国ハーバード大学形成外科留学、2009年形成外科准教授、2015年より日本医科大学大学院教授。専門分野は再建外科(特に熱傷・瘢痕・ケロイド治療)。 患者さんが外来や病棟で不定愁訴を訴えることがあります。不定愁訴の中には患者さんの人生や思いが背景にあることがありました。不定愁訴をくみ取るためにはラポール形成が必要であり、傾聴や共感が大切だということが印象的でした。 実習では担当患者さんを受け持つことがありました。その患者さんの現在の状態や治療、今後についてより深く知るために成書のほか、UpToDateやPubMedを利用することで最新の知識を手に入れようとしていました。臨床実習では一人として同じ患者さんはいないことを強く感じました。一例一例にきちんと向き合って、今の状態だけでなく、患者さんの過去や未来まで気に掛けることができるようになったと思います。また患者さんとよりよい関係を作るうえでの傾聴や共感の部分も上達したと思います。32 老若男女、体の様々な問題を扱うのが形成外科です。われわれに専門臓器はありませんが、しいて言えば「顔」は形成外科が担当する1つの専門臓器と言えます。 「顔」に関しては、皮膚から筋肉、神経、骨まですべてを形成外科が扱います。腕の骨を骨折すれば、整形外科が治療しますが、顔の骨を骨折した場合は形成外科が治療します。顔面神経麻痺で動かなくなった筋肉を移植したり、神経をつないだり、顔の傷を治療するのもわれわれの専門です。 大きな事故で命が助かっても、人目が気になって家から外に出られず社会復帰できなければ、患者さんの苦しみは相当なものでしょう。われわれは、患者さんの整容・機能の回復をお手伝いし、生活の質(QOL)の改善に努めます。 これを達成するために日々、再生医学、創傷治癒学、移植学を学び研究を行って、臨床に応用しています。「形成外科学」の講義では基礎研究から臨床まで、人体の臓器・組織の形成から再建、再生までを幅広く学びます。 産婦人科学は、次世代の創成を担うgenderとしての女性を意識しながら、また、多様性(diversity)もたいせつにして、女性の長いライフビジョンを見据えた健康を整えていくことを目的としています。その内容は、周産期医学、生殖医学、婦人科腫瘍学、女性のヘルスケア(女性医学)の4領域に分別されますが、すべてを合わせて女性の、さらにはパートナーや子どもたちの健やかな一生に寄り添うための重要な臨床科目です。 そして、産婦人科の実習では、命の誕生という感動の場に立ち会うこともできます。臨床実習では戸惑うことも多いかもしれませんが、これらの目的や感動を共有しながら学んでもらえたらと思います。形成外科学消化器外科学STUDENTS VOICE消化器疾患を網羅するPOINTすべての産婦人科学形成外科はクリエイティブな発想が求められるPOINT主要科目紹介 消化器外科は、数多くの外来患者さんを診察しつつ、平均70人前後の入院患者さんの対応をして、年間1,400件以上の手術を行っており、大学病院としては極めて患者さんが多いのが特徴です。特定の臓器に特化すると研修医や医学生の教育にも偏りが生じてしまいます。幅広い患者さんのニーズに対応できる医師を養成するためにも、すべての消化器疾患を対象とする診療方針をたいせつにしています。 また当科では、どのような患者さんも決して断ることなく受け入れ、最後まで諦めないことを心がけています。どのような状況になっても、わずかな可能性があれば全力で取り組んでいます。そのため、「手術ができない」と言われるような難しい患者さんも多く受診されています。このような手術前後(周術期)の管理が難しい患者さんを積極的に受け入れてきた結果、周術期のコントロールが極めて上手な医師が増え、さらに患者さんを受け入れられる好循環ができています。患者さんが当院で手術し、喜んで帰っていかれるのを見るのは医師として至極の喜びです。皆さんが消化器外科の臨床実習で、さまざまなことを体験し学んでくれる日を心待ちにしています。1人として同じ患者さんはいないことを理解しました医学部 医学科6年 髙木優維メッセージ動画HPで公開中!患者さんの生活の質(QOL)改善を目的とした外科学を学ぶ
元のページ ../index.html#33