Nippon Medical School Brochure 2025
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担当教員中村 成夫 教授1989年東京大学薬学部卒業。1994年東京大学大学院薬学系研究科博士課程修了、博士(薬学)取得。1994年九州大学工学部助手、2002年宮崎大学工学部助教授、2004年共立薬科大学助教授、(合併後)慶應義塾大学薬学部准教授を経て、2011年日本医科大学化学教授。27 個体の正常構造と機能では、マクロな視点から人体の正常構造を理解するとともに、構造に関連した機能をあわせて学修します。 本科目では、学修の過程として「人体解剖学実習」を行います。「献体」によって提供されたご遺体の解剖を通して、人体の構造を学ぶだけでなく、「生命の尊厳」・「医の倫理」を直視することで、医師として高いレベルのモラルを修得します。また、われわれの生体機能が複雑な神経ネットワークを介して制御・統御されている仕組みを形態科学の観点から修得し、生理学的機能と一体化して学修することで、生体を立体的に、そして、ダイナミックに捉える習慣を身につけることを目標とします。 「システム生理学(現・刺激受容と情報伝達)」の授業を通じて、知識を単に覚えるのではなく、原理を理解することの重要性を学びました。この学問は正常な生命現象を機能の面から理解するものであり、私たちが日常的に行っている動作や現象について、その原理や仕組みを理解します。解剖学など他の科目の周辺知識も活かしながら学ぶことで、さらなる理解が深まります。 とくに視覚や聴覚の原理について学ぶ際に、目や耳の構造がどのように機能しているのかを理解することは非常に興味深く、また、実習では脳の学習や神経伝導について体験しながら学ぶことが印象的でした。自分の理解の甘さを痛感することもありましたが、それがモチベーション向上につながりました。ここで学んだ人体の正常な構造の知識を活用しながら、臨床の授業や基本臨床実習にむけて学びを進めたいと思います。 生命現象は、タンパク質、核酸、糖鎖などを中心としたさまざまな生体分子が相互に作用しあうことによって機能しており、それらは生体分子の化学的性質に基づいています。そのため医学の基盤となる生命科学を学ぶ学生にとっても、化学を学ぶことは生命現象を理解する上で重要です。 自然にかかわるさまざまな現象の理解や法則性を見いだす学問が自然科学ですが、医学も自然科学の一部です。したがって、医学生も科学的な考え方を身につける必要があります。将来、基礎医学や臨床医学の研究者となる者だけでなく、臨床で患者を診察する医師にとっても科学的思考能力は必須です。化学もまた自然科学の一部であり、さまざまな仮説を実験によって実証するところが医学とも共通しています。生命科学概論(化学)では、講義による基礎的知識の修得と、実験による器具の取り扱いや技術の修得の両方を求めています。講義で知識を身につけるとともに、実際に実験を行うことにより、自然現象の観察、得られたデータの解釈などを通じて、科学的思考法をしっかりと習慣づけてもらいます。 生体の臓器や組織はその機能を発揮するため、独特な構造を有しています。臓器や組織は障害により正常機能が低下すると、恒常性が失われて疾病が発生します。その原因となる「病因」と、疾病が発生するメカニズムである「病態」について学びます。 組織や臓器で病変が形成される過程で起こる、細胞障害、細胞死、再生修復反応や、遺伝性疾患、代謝障害、循環障害、感染、炎症、腫瘍などで各臓器に起こる様々な病変、疾患を、実際の病理組織画像を用いて学修します。これらを通じて、生命の基本的な動態や疾患の本態を学び、将来、臨床医、医学研究者として生きていくための基礎知識を身につけていきます。CURRICULUM累積型プログラム生命科学概論(化学)STUDENTS VOICE個体の正常構造と機能生命現象を解剖学の知識も活かして理解しました医学部 医学科3年 田熊悠基病因と病態生体分子の作用を学ぶことは生命を知ること病理組織画像で学修POINTPOINT実際の主要科目紹介自然にかかわるさまざまな現象を理解することで将来の臨床や研究に臨むための基盤を築く02

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