TOP MESSAGE 1876年創立の私立学校・済生学舎を前身とする日本医科大学は私立の医学教育機関のなかで最も長い歴史を誇り、これまで1万人以上の医師・医学者を輩出してきました。 「済生救民」を建学の精神とし、黄熱病の研究で知られる野口英世や第二次世界大戦後にドイツでチフス治療に奔走した肥沼信次も、本学で育ちました。学是「克己殉公」はこれら多くの先輩方が実践され、今も校風として着実に受け継がれています。特に救命救急にはその精神が反映され、社会において主導的な役割を果たしています。 本学は、全講義をライブラリー化することで学生が時間的・空間的な制約から解き放たれて自由に学べる環境を実現しました。これは、学習進度に合わせた個別化教育を可能にします。e-Learningを併用することで海外留学や研究配属の期間の延長など、望む自由な課題に取り組めます。早稲田大学、東京理科大学の研究室に所属して最先端のテクノロジーを掘り下げて研究することも可能です。 クリニカル・クラークシップ(臨床実習)では、VR、アンドロイド、ICT、CC-EPOC※の活用により、チャンスに左右されず網羅的系統的に臨床経験が積めます。BigPad(大型電子黒板)を活用して少人数グループで学ぶ医学統合プログラムでは、討議の過程※Clinical Clerkship E-Portfolio of Clinical trainingの略。 クリニカル・クラークシップ(臨床実習)の成果をオンラインで記録・評価するシステム。1●Akihiko Gemma 1983年日本医科大学医学部卒業。1986年、国立がんセンター研究所病理部で研修。1989年、日本医科大学大学院を修了。1995年、NationalCancerInstitute/NIHに留学。日本医科大学講師、助教授、講座主任(教授)、大学院教授、医学部長を経て、2015年10月に日本医科大学学長に就任。専攻は内科学(呼吸器・感染・腫瘍)。を記録することで、グループ間の学習成果の共有化が図れます。 今後、より若い世代は、これまで数理・データサイエンス・AIについて深く学習する機会が与えられます。彼らに負けない様に、充実したカリキュラムも整備しました。国から「数理・データサイエンス・AI」教育のリテラシープラスに認定されています。 AIやロボット、ビッグデータなどの先端技術の活用が進むなか、医師に求められる役割は大きく変わります。医師に課せられた使命を果たす上で本質的でない作業は、AIやアンドロイドに代替させることが当たり前となるでしょう。 では何が医師にとって本質的なミッションかというと、“人”の心を理解し、寄り添うことであると考えます。社会の国際化が進むなかで多様な価値観を受け入れ、認め合う精神の豊かさもたいせつなものになっていくでしょう。すなわち人間性豊かな医師や医学者であることが今後ますます重要になります。厳しさの増す医学部受験生時代に置いてきたものを取り戻し、HUMANITY形成を意識することが大切となります。 加速するDXの時代に医師・医学者としての一歩を踏み出すことになる皆さんにこそ、日本医科大学の「済生救民」「克己殉公」を受け継いでいただきたいと願っています。長い時を超えて受け継がれてきた志テクノロジーが一人ひとりの才能を開花させるAI時代に必要とされる「人々に寄り添い、人々に尽くす、心豊かな人材」テクノロジーで時間と空間を超え一人ひとりが無限に成長できる個別化教育へ日本医科大学 学長弦間昭彦
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