開催日時 | 令和6年6月7日(金)18時00分~19時00分 |
開催場所 | 橘桜会館2F 橘桜ホール |
演 題 | 医療DXの進歩と未来への展望:VRでひらく医療 |
講 師 名 | 上路 健介(株式会社ジョリーグッド 代表取締役 CEO) |
講演内容 |
医学教育や治療のデジタル化は加速している。現在ではVirtual Reality教材を用いた医学教育のみならず、うつ病やPTSDの治療機器としてもVRを活用するまでに発展している。 本講演では、演者が目指す医療DXの現状と未来像に関して情報を共有し、在宅診療がピークを迎える2040年に向け医療をより一般化していくための方略について、医療者の立場として議論する場としたい。 医療をもっと身近に感じてもらうために演者が推進している「ひらけ医療」プロジェクトについても、議論を深める予定である。 主催分野:救急医学分野 |
開催日時 | 令和6年6月11日(火)18時00分~19時00分 |
開催場所 | 教育棟2F 講堂 |
演 題 | 分子生物学から出発したがんの診断、治療、予防を目指す研究 |
講 師 名 | 村上 善則(先端医学研究所 分子生物学部門 特命教授) |
講演内容 |
がんは1981年以来、日本人の死因第1位を占めているが、年齢調整死亡率は多くのがんで減少傾向にあり、臨床、基礎研究の成果が示されつつある。しかし、進行がんは依然予後不良で、早期の予防、診断、治療に加え、浸潤や転移を抑制する新規対策が望まれる。演者は1983年に医学部を卒業し、短い臨床経験の後、がんの分子生物学的研究を開始し、国立がん研究センター、東京大学等で、がんの遺伝子、ゲノム研究に携わり、本年4月より先端医学研究所にて研究する機会を戴いた。現在進めている細胞膜タンパク質を標的とするがんの診断・治療の研究、新規免疫チェックポイントの研究、そしてゲノム多型に基づく個別化予防について概説したい。 主催分野:分子細胞構造学分野 |
開催日時 | 令和6年7月19日(金)18時00分~19時30分 |
開催場所 | 教育棟2F 講堂 |
演 題 | 対人コミュニケーションの障害に対する治療薬開発:自主臨床試験・医師主導治験による取り組み |
講 師 名 | 山末 英典(浜松医科大学 精神医学講座 教授) |
講演内容 |
自閉スペクトラム症の中核症状として認められる対人コミュニケーションの障害は、一般人口の36人に1人の割合で認められるが(CDC 2023)、承認された治療法がなく、大きなアンメットニーズとなっている。 演者らは、実験動物での社会行動促進作用が確立されているオキシトシンの経鼻投与を用いて、複数の無作為割付試験を自主臨床試験および医師主導治験の枠組みで行い、臨床症状の改善に加えてその背景の脳内メカニズムについて示し、当該領域で世界をリードしてきた。講演では、これらの研究成果及び今後の開発戦略について概説する。 主催分野:薬理学分野 |
開催日時 | 令和6年7月26日(金)18時00分~19時00分 |
開催場所 | 教育棟2F 講堂 |
演 題 | 体内浸透圧環境の生理的意義と細胞による感知の分子メカニズム |
講 師 名 | 名黒 功 (順天堂大学薬学部 生体応答情報学教室 教授) |
講演内容 |
水と溶質(主にNa+)の量のバランスで決まる浸透圧環境は、腎臓の尿産生など体内の水の輸送に必須の環境である。一方で、近年がん腫瘍部や高食塩摂取時の皮膚で高浸透圧環境が形成され、免疫細胞の機能を変化させるなど局所浸透圧環境の新しい生理・病理的意義が注目されている。演者は浸透圧応答性キナーゼASK3の解析をはじめ浸透圧環境と細胞の相互作用について分子レベルの研究を進めており、液–液相分離(LLPS)を介した浸透圧感知機構など新しい概念を提唱している。本講演では、刷新されつつある生体の浸透圧環境の意義について分子スケールの視点から最新の知見を紹介したい。 主催分野:分子遺伝医学分野 |
開催日時 | 令和6年9月12日(木)18時00分~19時00分 |
開催場所 | 教育棟 講義室3 |
演 題 | 免疫チェックポイント分子PD-1の機能を制限する機構の発見とその応用 |
講 師 名 | 岡崎 拓(東京大学 定量生命科学研究所 分子免疫学分野 教授) |
講演内容 |
抑制性免疫補助受容体PD-1の機能阻害によるがん免疫療法、いわゆる免疫チェックポイント阻害療法の成功により、がん細胞に特異的なT細胞の活性化がPD-1によって抑制されていること、およびPD-1の機能を阻害することによりそれらを活性化してがんを治療し得ることが明らかとなった。一方、PD-1の機能を誘導・増強することにより、自己の組織に反応するT細胞の活性化を抑制して自己免疫疾患を治療できると期待されるが、PD-1の機能を誘導・増強する方法の開発は期待通りには進んでいない。本特別講義では、近年我々が見出したPD-1の機能を制限する機構および本機構を標的とした自己免疫疾患に対する新規治療戦略について紹介する。 主催分野:細胞生物学分野 |
開催日時 | 令和6年11月13日(水)18 時00分~19時00分 |
開催場所 | 教育棟 講義室3 |
演 題 | 臨床応用を見据えた遺伝子改変ブタからの最新の異種移植研究 |
講 師 名 | 山田 和彦(ジョンズ・ホプキンス大学 外科 教授・Director, Xenotransplantation Program) |
講演内容 |
山田和彦教授は昭和62年に日本医科大学を卒業され、本学、泌尿器科学講座に在籍、1996年からはアメリカ合衆国のマサチューセッツ総合病院/ハーバード大学医学部に留学、移植免疫学や異種移植研究を継続され、2015年7月にはColumbia大学 外科学の教授、2022年には異種移植の臨床応用を計画されているジョンズ・ホプキンス大学から異種移植プロジェクトリーダー・外科学教授として招かれ、世界の第一線でご活躍されています。本学の大学院生や教員に向けた、アメリカでの研究生活やブタ臓器を用いた最先端の異種移植研究のご講演を頂く予定です。 主催分野:解析人体病理学分野 |
開催日時 | 令和6年12月6日(金)18時00分~19時00分 |
開催場所 | 講堂 |
演 題 |
Real-time IntraVital Microscopy (IVM): In Vivo Cellular-level Imaging of Internal Organs in a Live Animal |
講 師 名 | Pilhan Kim(Professor,Graduate School of Medical Science and Engineering,Korea Advanced Institute of Science and Technology (KAIST), Republic of Korea) |
講演内容 |
本講義では、韓国KAISTのPilhan Kim教授に、リアルタイムで動物体内の臓器を細胞レベルで観察するIntra-vital imaging技術についてご紹介いただきます。この技術は、生体内の細胞動態や細胞間・細胞-微小環境間の相互作用を可視化し、従来の実験手法では困難であった病態生理学的情報の取得を可能にします。特に、遺伝子発現やタンパク質活性、細胞動態、細胞間相互作用、さらには外部刺激に対する生理的応答を生体内で直接観察することができます。また、この技術は新規治療法や診断法の開発にも有効であり、様々なバイオ医薬品の標的細胞への送達や薬効モニタリングにも応用できます。本講義では、生体内の各種臓器における病態生理学的情報の取得を可能にするIntra-vital imaging技術とその応用例についてご説明いただきます。 主催分野:分子細胞構造学分野 |
開催日時 | 令和6年11月26日(火)18時00分~19時00分 |
開催場所 | 講堂 |
演 題 | 分子標的薬の開発にいたるがん遺伝子研究の歴史 |
講 師 名 | 仙波 憲太郎(早稲田大学理工学術院 先進理工学部 教授) |
講演内容 |
1980年代から本格化したがん遺伝子ハンティングにより、正常な細胞をがん細胞に形質転換させる「がん遺伝子」が数多く発見された。生物の発生や細胞の増殖や分化といった生命現象のインフラともいえる遺伝子の発見とその研究は、発がん機構の理解だけでなく、様々な生命現象の解明に貢献した。続いて、今世紀のゲノム解析技術の発展は、がん患者ごとにがんの性質を理解し、それに合わせた治療法を開発する潮流を生み出している。この講義では、演者が所属した研究室におけるがん遺伝子の発見の経緯から、現在行っている研究までを紹介したい。 主催分野:アレルギー膠原病内科学 |
開催日時 | 令和6年12月23日(月)18時30分~19時30分 |
開催場所 | 講堂 |
演 題 | 腸内細菌代謝産物による免疫細胞の遺伝子発現制御とアレルギー性・炎症性疾患への効果 |
講 師 名 | 西山 千春(東京理科大学 先進工学部・生命システム工学科 教授) |
講演内容 |
食物繊維が腸内細菌によって代謝される際に産生される短鎖脂肪酸が、アレルギー反応のエフェクター細胞であるマスト細胞の機能を調節することによって抗アレルギー効果を発揮することや、多価不飽和脂肪酸が乳酸菌の代謝を経て抗炎症性作用を獲得することなど、私たちの研究成果を中心に、食が宿主の免疫恒常性維持に寄与する分子機構を紹介させて頂きます。 主催分野:アレルギー膠原病内科学 |
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